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北欧スウェーデンとフィンランド-NATO加盟準備へ共同首脳声明,日本海ではロシア太平洋艦隊ミサイル演習

2022-04-15 07:01:02 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ウクライナ情勢に関する朝の話題ですが、今回はウクライナ侵攻の影響が欧州の北欧地域と極東の日本海へ既に及んでいる厳しい状況についてまとめました。

 北欧のスウェーデンとフィンランドが長年の中立政策を転換、数週間以内にNATO北大西洋条約機構へ加盟を申請する。これは13日にフィンランドのマリン首相がスウェーデンを訪問しストックホルムにて首脳会談を実施、この際にスウェーデンのアンデション首相との共同会見に臨み、両国首脳が公式にNATO加盟交渉開始を表明したというものです。

 ノルディックバランス政策もこれまでとなるのでしょうか。ノルディックバランス政策とはスウェーデンやフィンランドなどの北欧諸国が、重武装を維持しつつ中立政策という冷戦時代にNATOにもソ連にも距離を置く政策を採用していたもので、中立政策といいますと日本では非軍事と曲解されますが、重武装により時刻は独力で守るという施策という。

 フィンランドなどは冷戦時代はもちろん、冷戦以降も1990年代からいまの2020年代に至るまで徴兵制を堅持しています。一方で、1990年代に主力戦車選定に際し、ソ連がT-72戦車を、アメリカがソ連と同額に値引きした破格でM-1戦車を提示した際に敢えてT-72を採用、一方戦闘機はミグではなくアメリカのF/A-18をF-18として採用していました。

 F-18とはF/A-18の“A”が攻撃を示すためにロシアを刺激しない様にF-18としました、一方で2021年に次期戦闘機を選定する際には、ロシア製戦闘機は候補とならずアメリカ製F-35戦闘機を採用していますし、T-72戦車に続く後継戦車はドイツ製レオパルド2へ。他方、一国での防衛を実現する為に軍需産業は盛んで装甲車はいま自衛隊へ提案されている。

 スウェーデンも武装中立政策を長年堅持しています、第二次世界大戦中にも中立政策を維持していた為、両国からの非常に強い軍事圧力に曝され、またボールベアリングなど工業部品を供給していた為に双方からの攻撃を受けた事例もあります。また軍需産業も非常に盛んで、欧州標準装甲車と呼ばれるCV-90や安価で使いやすいJAS-39戦闘機などを造る。

 NATO加盟、この背景にはウクライナ侵攻に衝撃を受け、特にフィンランドはソ連に二度にわたり侵攻された経験がある危機感が無関係ではありません。一方、ロシア軍がこの数日間、フィンランドロシア国境へ地対空ミサイル部隊などを集結させる軍事的恫喝に転じており、こうした行動の危機感が逆にNATO加盟への世論を強める可能性も、あります。

 軍事圧力は、日本海でも。日本はNATOへ加盟する動きはありません、しかしロシア海軍は14日、キロ級潜水艦ペトロパブロフスクカムチャクツキーとウォルホフの2隻を含む16隻の艦船が参加する軍事演習を日本海において実施したと発表し、ここでは日本海において潜水艦からカリブル巡航ミサイル発射訓練を行い、洋上の目標へ命中させたとのこと。

 カリブルの射程は2700kmあり、日本海から東京をも射程内におさめるもの。日本海では海上自衛隊とアメリカ海軍の原子力空母エイブラハムリンカーン空母打撃群により演習が実施されています。カリブルはウクライナ侵攻に際し相当数を発射していまして、今回の訓練ではまだ太平洋艦隊にカリブルの在庫があるという事を誇示したのかもしれません。

 エイブラハムリンカーン空母打撃群の任務は、北朝鮮により繰り返される弾道ミサイル実験と核実験兆候に備えるものではありますが、ウクライナ侵攻へ極東のロシア東部軍管区からも相当数の兵力をウクライナへ派遣しており、無関係とされる演習へも緊張する現状があるのかもしれません。欧州と極東、現在の状況は恰も火薬庫への導火線が伸びている印象もあるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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