北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十七年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.12.12/13)

2015-12-11 22:58:58 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 冬の嵐、ルミナリエの会場が倒壊するなど突風被害が相次ぎましたが、皆様ご無事でしょうか。

 今週末の自衛隊関連行事ですが、那覇基地航空祭2015、この一つ。エアーフェスタ那覇は南西諸島最大の自衛隊行事として知られ、また、旧海軍小禄飛行場という那覇空港の一角が航空自衛隊那覇基地で、東京大阪からの航空便が多く、実は首都圏京阪神地区からの日帰りが可能な航空祭としても知られています。そして南西諸島への大陸からの脅威増大へ対応すべく、年々強化されている。

 航空自衛隊南西航空混成団司令部、第83航空隊、第204飛行隊、南西防空管制群第4移動警戒隊、同第5移動通信隊、第5高射群、航空救難団那覇救難隊、同那覇ヘリコプター空輸隊、南西航空施設隊、警戒航空隊飛行警戒監視群第603飛行隊、海上自衛隊第5航空群、陸上自衛隊第15旅団第15ヘリコプター隊、那覇基地にはこれだけの部隊が展開しています。

 那覇基地へは、ゆいレール赤嶺駅から徒歩で、人の列が続いていますので迷う事は無いでしょう。ゆいレール開通で那覇空港と那覇中心部から首里まで結ばれましたが、航空祭へも非常に便利になりました。ただ、那覇基地は広大な基地で、高台にある基地正門から飛行展示を間近に見る事が出来るエプロン地区までは1km近くありますのでご注意ください。

 航空祭のプログラムは盛りだくさんです。0800時からT-4とF-15の4機によるOPフライト、そして0900にはF-15第一回機動飛行、0950より陸空ヘリコプター編隊飛行、1030からは陸海空合同編隊としてF-15にE-2CとU-125やLR-2とP-3Cによる編隊飛行、1100からは10機の大編隊、1300から救難飛行展示、1330よりのF-15第二回機動飛行、というもの。

 大混雑の代名詞、という印象がある航空祭ですが、那覇基地航空祭はそれほど混雑しません、しかし、最前列付近は混雑しまして、人口密度は小牧基地航空祭と同程度、余裕は広いのであります。航空祭の途中にホットスクランブルが掛かる事があり、突如迅速に滑走路脇へ待機し一気に二機が離陸すれば緊急発進かもしれません。また、海空自衛隊の電子戦機が実任務で飛行する事もあります。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・12月13日:那覇基地エアーフェスタ2015…http://www.mod.go.jp/asdf/naha/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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陸上防衛作戦部隊論(第四〇回):装甲機動旅団編制案の概要 後方支援部隊への視座

2015-12-10 21:33:22 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団後方支援部隊
 装甲機動旅団特集は今回で第四〇回を数える事となりましたが、いよいよ最後の要点、後方支援についてその私案を議論する事とします。

 今回から数回に分けて装甲機動旅団の後方支援部隊について、近接戦闘部隊と長距離戦闘部隊や戦闘支援部隊について記載してきましたが、後方支援部隊です。装甲機動旅団は限られた戦車を集中運用する旅団ですが、もともと新防衛大綱での戦車定数削減を受けての戦車をもつ旅団と持たない旅団を分けるという苦肉の策の産物ですので、その装備する戦車はかつての乙師団戦車大隊よりも戦車が少なく、その分、一両と云えど失えないという事情と近接戦闘部隊の損耗に曝される矛盾を両立させねばなりません。

 広域師団は装甲機動旅団と航空機動旅団の二個旅団を基幹として編成する、としましたが、その上で後方支援部隊については旅団が主力を構成し、師団は指揮に重点をおく編成としました、このため後方支援の主力はあくまで旅団が独自に展開しなければなりません、これは、機動旅団が航空機動と装甲機動の進出速度が根本的に異なる点に起因するもので、一方の旅団と一方の旅団、二つは相互に協同するものではあっても、即応性と展開能力が異なる事はこれまでに記した通り。

 故に師団に後方支援を依存した場合にはその機動性に影響が及びかねません、故に旅団は独立した能力を持たなければならないのです。そこで、装甲機動旅団については後方支援部隊を後方支援連隊とし、航空機動旅団は後方支援隊を置く。後方支援隊ではなく後方支援連隊としたのは、装軌車が多く、また航空部隊は航空機を運用する性格上、野整備隊の拠点を大きく動かす必要はありません。しかしながら機械化部隊は別です。

 戦車部隊を含む装甲機動旅団については骨幹戦力にあたる機械化大隊は機動をもって防御力の要諦を為すため、頻繁に段列が機動する必要があります、すると全般支援大隊をおくとともに随伴する直接支援中隊、普通科と特科と機甲科の直接支援部隊を統合した場合混成支援大隊規模の支援部隊が欠かせず、結果的に後方支援部隊は連隊規模となってしまうのです。旅団、装甲機動旅団の最大の課題は大量に装備する装甲車両の整備と稼動率維持にほかなりません。

 そこで、旅団規模の部隊に連隊規模の支援部隊は過大な編成ではないか、との指摘はあるやもしれませんが、例えば履帯破損等は訓練時であれば整備支援を受け即座に第一線へ復帰できるでしょうが、戦闘時であれば撃破される要因となりますので即座に支援する、場合によっては攪乱射撃を受けつつも排除し整備支援を行う必要がありますし、複合装甲などを破損した場合、迅速に再整備し戦闘復帰出来るのか出来ないのかも、戦闘部隊の能力を大きく左右します。

 戦車と装甲戦闘車は文字通り近接戦闘部隊の宿命として重装備同士の殴り合いに近い戦闘に曝される事となりますので、損傷は宿命的なものといえるもの。また、戦車や装甲戦闘車は不通に装甲するだけでも損傷します、しかし、適切な整備支援を行うならば数百kmの自走機動にも耐えられることが実戦で証明されています。つまり、いかに整備するかが、競合地域から第一線までの機動において損耗を抑えるかに繋がる、ということ。

 つまり、近接戦闘部隊として相手との直接照準戦闘という戦闘による損耗と共に不整地突破能力が大きな機動力の反面複雑な構造を有する装軌式車両を運用するが故の移動による車体の損耗、後方支援部隊はともに対処しなければならないわけで、もちろん戦車小隊と整備小隊を1:1で配備する訳にはいかないのですが、可能な限りの自動化と整備支援による戦闘稼動率の向上は、そのまま部隊の戦闘力に繋がります。そして、機動旅団としての装甲機動旅団ですので、戦略機動が念頭となり移動という負担は元より多くとる必要がある。

 装甲機動旅団は旅団型普通科連隊を基幹とした編成部隊をもち、特にその三個普通科中隊のうち一個普通科中隊を軽装甲機動車中隊としつつ二個普通科中隊を装甲戦闘車中隊、として、このうち二個の装甲戦闘車中隊に戦車中隊をあわせ、機械化大隊として運用する方式を提示しています、このため、装軌車については250kmごとのC整備を行う必要があり、移動一つとっても整備を、もちろん有事の際にはこの限りではないのでしょうが、この負担が軽くはありません。

 C整備は74式戦車の場合で20名程度の整備小隊で十時間近くを要し、10式戦車はある程度自動化されているという視点、しかしアクティヴ懸架装置の整備負担増大などの視点、電子装置整備の比率増大というものがあります、もっともC整備は走行系統の整備に重点がおかれているのですが。装備定数ですが、戦車中隊は13両編成、装甲戦闘車は14両編成、と普通科連隊の項目と戦車大隊の項目で、稼動率や戦術機動性と運用面から適正数を提示しましたが、機械化大隊はこれにより41両の装軌車両を装備することとなります。

北大路機関:はるな くらま
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超駆逐艦ズムウォルト公試開始 アメリカ海軍14000tの先進ステルス駆逐艦一番艦

2015-12-09 23:13:48 | 先端軍事テクノロジー
■ズムウォルト公試開始
 アメリカ海軍の将来駆逐艦、ズムウォルト級駆逐艦の一番艦ズムウォルトが、バス鉄工所を公試に向け初出航しました。

 ズムウォルト級駆逐艦一番艦のズムウォルトは、現在のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦を上回る満載排水量14000tという、我が国全通飛行甲板型護衛艦と並ぶ規格外の大きさの駆逐艦ですが、最大の特色は徹底したステルス性を持つ船体に一体化した強大な打撃力です、新型レーダーSPY-3を搭載、先進誘導電動機を搭載した統合電電機推進方式が採用され、艦砲は155mmで射程118kmという強力な対地打撃力を有すると共に、80セルのVLSを搭載します。

 新駆逐艦、1988年にジェームズメカトーフ退役大将が発表した打撃巡洋艦構想に起源をもち、ステルス実験艦シーシャドウを建造、1995年にステルス大型船体へ500発の巡航ミサイルを搭載するアーセナルシップ構想へは転します、1997年にこの構想をSC-21海洋火力支援実証艦構想として対地攻撃力の大きなステルス巡洋艦とする案に転換されました。

 これらの研究を元にアメリカ国防調達委員会が将来駆逐艦とする案に纏められ、各種ミサイルを搭載する80基のVLSを装備する将来駆逐艦DD21計画と250基のVLSを装備する発展型に当たる将来巡洋艦構想が示され、2000年には一番艦にズムウォルト大将を冠しDD1000ズムウォルト級として建造される事となりました。

 駆逐艦と云いますと、しらね型護衛艦のような形状の艦艇が一般的ですが、ズムウォルトはことなり、レーダーは絶壁の如く築かれたタンブルホーム型船体に搭載され、イージスシステムのSPY-1後継を期して開発された系譜にあたるレーダーSPY-3を搭載、SバンドXバンドのデュアルバンドレーダーDBR方式を採用、イージス艦の苦手とする低空の小型超音速を含め320km圏内の制空権を握るもので、海軍先進データリンク NIFC-CAと連接する事でイージス艦の長射程SM-6艦対空ミサイルの誘導も可能という。

 船体部分は主要部にHSLA-65特殊高張力鋼が採用され、上部構造物には炭素繊維複合素材を採用、従来の水上戦闘艦よりも船体防御への装甲部分が意識されているほか、徹底したステルス性により船体のレーダー反射面積は、ステルス性を考慮したアーレイバーク級ミサイル駆逐艦と比較しても二十分の一程度と、ミサイル艇程度の大きさに抑えられ、大型船体ですがレーダーでは見つからず、そしてミサイル攻撃を受けた場合でも生存性を確保した一隻として完成しています。東郷電機推進方式を採用し、現在155mm単装砲2門を搭載していますが2020年代にはこの艦砲をより長射程で発射速度の大きなレールガンへ換装する計画があり、これにより250km程度先の内陸目標を艦砲射撃の圏内に収められる。

 ズムウォルトは、ステルス性を活かし沿岸へ接近し陸上へ艦砲による大打撃を与える任務から、空母機動部隊防空の最大戦力としての機能も期待されます、一番艦ズムウォルトに続き、二番艦マイケルモンスーア、三番艦リンドン・B・ジョンソン、が建造中、しかし建造費44億ドルと、ニミッツ級原子力空母50億ドルに並ぶ高価な先進艦となり、イラクアフガニスタン戦費が嵩む時期に建造が重なったためアメリカと云えど数を揃えられないのが難点です。当初は十数隻、18000t級の派生型が計画されましたが、2010年の時点で建造費見積が30億ドルを超えるとされ、縮小されました。その分アメリカ海軍の期待は大きく、就役後は海上自衛隊との合同演習などでもその雄姿を見せる事となるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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12.8:真珠湾攻撃太平洋戦争開戦記念日、平和への祈念と永続への覚悟を共有

2015-12-08 22:32:08 | 北大路機関特別企画
■平和への祈念と永続への覚悟
本日は12月8日、開戦記念日です。1941年のこの日我が国がアメリカの真珠湾軍港を空母6隻で奇襲、太平洋戦争がはじまりました。四年間の激戦を経て敗戦、その後平和憲法が制定され今に至る平和が続きますが、その我が国へテロの脅威が迫っています。

勝利か滅亡か 脅威はここまで来た、日本は平和憲法制定以来最大の難局を迎えており、国民は存亡の危機に立たされている、対テロ戦争の勝敗は洋上で決せられるものであり、敵が日本本土沿岸に侵攻して来てからでは手遅れである、刺又では間に合わぬ、正規部隊だ、特殊作戦部隊だ、対テロ戦争の勝敗は防衛力の増強にかかっており、敵のテロ攻勢に対して刺又で対抗することはできない。

と、まあ挑発的な文章で始めましたが、これは毎日新聞1944年2月23日朝刊の“勝利か滅亡か 戦局はここまで来た”という有名な論説記事を捩ったもので“竹槍では間に合わぬ 飛行機だ、海洋航空機だ”“大東亜戦争の勝敗は海洋航空兵力の増強にかかっており、敵の航空兵力に対して竹槍で対抗することはできない”、という大本営発表を批判的に掲載した記事を元としました。

毎日新聞の記事は、戦局の悪化を相次ぐ玉砕が報じられ肌で感じているところへ大本営発表が連戦連勝を報じ国民不信が高まっていた中で大きな支持を集め陸海軍部からも称賛された記事ですが、時の東条首相が激怒し、毎日新聞廃刊を求めた“竹槍事件”へ発展します。敢えてこの記事を捩って掲載しました背景には、日本の対テロ訓練へ依然として刺又が用いられる牧歌的なものへの批判的な意味を込めています。竹槍事件については様々な文献がありますが、東宝が1970年に公開した映画「激動の昭和史 軍閥」などはその俯瞰風景を掴むには最適の作品でお勧めしたいところ。
オバマ大統領は、カリフォルニア州での乱射事件を漸くISILのテロ事件であることを認め、先月のパリ同時多発テロ以降、イギリスでの刃物連続襲撃事件もテロ事件として扱われ、テロの脅威が顕在化している中で、特にホームグロウンテロ、テロリストが海外から侵入するのではなく自国生まれのテロが事件を起こす、という懸念がパリとカリフォルニアで現実的となりまして、日本国内では銃器や爆薬の入手は困難ですが、自動車や刃物を用いた、秋葉原通り魔連続殺傷事件型のテロという懸念は常にあり、すでに海外では邦人襲撃事件や人質殺害事件が繰り返し発生し、ISILが我が国をテロの標的として名指ししているなかにあって、現状のテロ対策が充分であるのか、という疑問を禁じ得ません。

国際テロ情報収集ユニットが本日設置され、テロ情報収集へ各国との連携が図られるかたちとなりましたが、情報交換のための組織であり、情報収集機構は既存の情報機関、防衛省情報本部や外務省情報局に公安調査庁等の情報を内閣情報調査室が集約した現在の構造を強化したものに過ぎず、情報収集をヒューミントやコミントとエリント等の部分で強化し、脅威を察知した際には迅速に排除できる体制の構築が必要でしょう。

私見としては憲法が認めた国民の権利は最大限保護されるべきという視点があり、また日本国憲法の精神を今後も永続的に進めてゆくべきという立場ではありますが、憲法原理主義となり必要な施策が執られない事による国民へ不幸な結果が及ぶことは憲法の空文化を意味し、絶対に防がねばなりません。管区機動隊と同規模の管区警衛隊、主要警察署ごとの銃器対策班設置、治安出動出動基準緩和、利用者1万名以上主要駅への特別機動隊配置準備、警察特殊部隊へのカービン配備、防爆警備車増強、通信傍受基準緩和、施策などは幾つか考えられますが、テロを未然に防止するための権利制限は、テロ後の過剰な権利制限よりも国民負担が軽く、テロが起きる以前に平和への祈念と永続への覚悟を共有する機運が必要だと考えます。

北大路機関:はるな くらま
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C-17 vs MV-22 自衛隊機として視た戦域間輸送機と可動翼機の必要性を比較する

2015-12-07 23:36:46 | 防衛・安全保障
■JSDF / C-17 vs MV-22
 手遅れシリーズ、と題するべきでしょうか、生産終了となったC-17輸送機と自衛隊が導入するMV-22可動翼機、どちらが自衛隊に優先度があったのか、という視点の記事です。

 C-17輸送機は、戦域間輸送機として、これまで大きな輸送力を持つが大きな飛行場と長い滑走路が必要なC-5のような戦略輸送機と前線飛行場の未整備で短い滑走路に着陸できるが搭載量と航続距離が制限されたC-130のような戦術輸送機の長所を持ち合わせ、重装備を長距離輸送出来るが前線の滑走路へも着陸可能、という機体です。C-17を無理にでも導入しておけばよかった、という生産終了を紹介した記事でのコメントをお寄せいただき、敢えて掲載してみました。

 MV-22は自衛隊が新しく創設する水陸機動団の機動用に17機を導入する事とした機体で、従来の輸送ヘリコプターの二倍の速度と三倍の航続距離を有しますが、その分の搭載量が限定され基本的に車両の空輸を考えておらず、24名の完全武装人員かM-151ジープ程度であれば輸送可能、しかし九州から尖閣諸島まで直接展開可能という機体です。

 自衛隊が導入したのはMV-22ですので、今更C-17の有用性を説いても致し方ないのですが、C-17輸送機は最大78.11tの装備を搭載可能で、貨物室は高さ6.2mと幅6.26mに全長26.8mという容積を誇り、これは陸上自衛隊の89式装甲戦闘車を同時に3両、96式装輪装甲車であれば貨物室幅上2両を並べて尚余裕がり、6両を同時空輸可能というもの。

 90式戦車の重量50tも、C-17輸送機であれば1両搭載でき、90式戦車と89式装甲戦闘車各1両を搭載したとしても充分輸送可能です。仮に南西諸島有事の際にC-17が12機自衛隊に配備されているならば、北海道千歳基地で東千歳駐屯地の装甲戦闘車と北千歳駐屯地の戦車を各1個中隊自走展開させ輸送機に搭載し、三時間ほどで沖縄の那覇基地へ、距離的に24時間で3任務飛行可能ですので、宮古諸島へも戦車中隊と装甲戦闘車中隊を、次の飛行で段列必要物資を輸送できるでしょう。

 また、島嶼部防衛の切り札、88式地対艦誘導弾も発射器2両が搭載可能です、ただ、88式地対艦誘導弾は構成車両が非常に多く、1個中隊に標定小隊等を付与する編成でも大所帯となりますが、C-17輸送機が10機程度あれば北海道から沖縄の離島へ展開可能で、高速輸送船等35ノットや40ノットの船舶で輸送するよりも、北千歳の特科団が展開するのならば、C-17の方が早い。

 特に戦車を最前線近くの前線飛行場まで輸送出来るのは大きな強みです。10式戦車は90式戦車よりも軽量であるため、10式戦車1両と96式装輪装甲車2両を同時空輸できます。自衛隊は現在運用中のC-1輸送機の後継として国産のC-2輸送機を開発しました、26tを搭載して6000kmが飛行可能、最大搭載量は37tという輸送機で、燃料と弾薬を抜けば機体強度に適合するかは別として74式戦車は搭載可能です、が、10式戦車は44tあり、搭載できません。

 問題はC-17輸送機は非常に取得費用が高い、という事です。単純比較ですがC-17輸送機の米軍納入価格は空軍納入費用で1億8000万ドル、対してMV-22の海兵隊納入費用は6000万ドルですので単純比較で3倍です。すると、自衛隊がMV-22導入ではなくC-17を導入するとした場合で、MV-22の17機分の予算では5機から最大で6機しか導入出来ないこととなります。それ以上導入しようとすれば、C-1輸送機の後継機であるC-2輸送機の装備計画に影響が出かねない。

 自衛隊がC-17を導入する場合、考えられるのは国際貢献任務に用いられるC-130H輸送機の後継機で、例えば耐用年数が残るC-130H輸送機でもKC-130へ改修し、C-17を配備した場合、まず、中東やアフリカを含む全ての地域に自衛隊が最大級の重装備を自前で空輸する事が出来ます。他方、C-130H輸送機は15機ですので、これを5機から6機に置き換えて、稼働率を維持できるか、という視点は残ります。

 また、C-17輸送機は当然ながら尖閣諸島への空輸に相当の限界があります、尖閣諸島に500m程度の臨時滑走路があれば、搭載量を限定して離発着が可能ですが、MV-22であればヘリコプターのようにホバーリングが可能です。C-17はローターを取り外したCH-47輸送ヘリコプターを空輸可能ですが、米軍の事例でローター装着から任務飛行まで緊急時13時間、通常時17時間の組み立て時間を要し、それならば尖閣諸島まで那覇駐屯地の第15ヘリコプター隊はもちろん、それだけあれば木更津の第1ヘリコプター団でも間に合うでしょう。

 人員だけであれば、海上状況次第で海上へ落下傘降下する事は可能です、物量傘も米軍がGPS誘導方式の落下傘を開発しており、仮に実用化し自衛隊が導入出来たとすれば、尖閣諸島へ多少の装備を輸送する事も出来るでしょうが、MV-22による人員の輸送、81mm迫撃砲や01式軽対戦車誘導弾に91式携帯地対空誘導弾を確実に空輸した方が、という視点もあるかもしれません。

 ただ、平時から沖縄本島の那覇駐屯地には第15ヘリコプター隊にUH-60JA多用途ヘリコプター8機とCH-47J/JA輸送ヘリコプター8機が装備されていまして、尖閣諸島を行動半径に含めている他、一時間半で展開可能です。MV-22は九州北部に配備される計画ですので、那覇のCH-47の方が早く到着する可能性もあります。自衛隊は陸空併せて70機のCH-47J/JAを装備していますので、このように見ますとMV-22の重要性は、あれば便利な機体ですが、南西諸島防衛には必須の機体ではないといえるでしょう。

 過去の記事にありますので、敢えて書きますが、自衛隊にはMV-22を17機導入する予算でAH-64D戦闘ヘリコプターであれば34機で3個飛行隊所要、CH-47JA8機とUH-60JA8機のヘリコプター隊でも3個隊所要の予算となり、例えば対戦車ヘリコプター隊残る4個の内3個を戦闘ヘリコプター隊に改編する、第13旅団と第14旅団に第11旅団を第12旅団型のヘリコプター重視編成へ改編できるもので、MV-22は必ずしも必要ではなく別に必要である機種が多い、という事を示しています。

 MV-22の能力を見ますと、確かに速力と行動半径は大きいのですから、自衛隊が例えば朝鮮半島有事や台湾海峡有事へ邦人救出に直接空中機動部隊を展開させるという状況か、若しくはアフリカ内陸部などへ洋上のヘリコプター搭載護衛艦から展開させるという想定、沖縄へ自衛隊を配備しない事情等があり九州から沖縄へ急速展開するとの必要性が無ければ、MV-22は絶対必要、とは言い切れない。

 ただ、C-17でもUH-60JA多用途ヘリコプターを同時に3機空輸できますので、海外派遣任務へ航空機を緊急輸送する必要があればC-17でも対応可能です、今更遅い、ともいわれるかもしれませんが邦人救出任務へ適合する機体、また南西諸島防衛でも尖閣諸島へ直接展開する事は難しくとも北海道の戦車装甲戦闘車部隊と地対艦ミサイル部隊を迅速に沖縄本島や奄美大島に宮古島や石垣島と与那国島へ展開可能、先島諸島へ地対艦ミサイル連隊を展開させれば尖閣諸島を射程へ収められます。無理でも導入していたらば、非常に使い勝手はよい航空機となったでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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航空打撃戦、空爆という任務 イギリスがISIL攻撃へキプロス島アクロティリ空軍基地へ戦闘機12機を展開

2015-12-06 21:21:31 | 防衛・安全保障
■作戦機8機
 一国への空爆、と言いますと太平洋戦争の空襲しか身近に知る人のいない我が国では戦略爆撃機数百機での絨毯爆撃を毎日反復、という印象が強いのですが、意外と小規模でも可能です。

 連載記事としまして“航空防衛作戦部隊論”にて、戦闘機を8機単位で有事の際に分散運用する、という提案を行いました際に、知人から果たして8機単位の分散運用で一拠点当たりの作戦部隊規模として適正なのか、という指摘を頂きました。また、別の方から、仮に我が国本土にてISILによる大規模テロがあったとして、策源地攻撃をおこなう必要性が生じた際に自衛隊で対応できるのか、というお話がありました。

 しかし、8機、という規模、そして空爆作戦というものは、例えば湾岸戦争の開戦第一撃のような大規模航空作戦は航空自衛隊が元々想定していませんので不可能ですが、8機という数字が持つ作戦能力には一行の余地があるようです、何故ならば、イギリス空軍がイラク全域のISIL空爆へキプロス島アクロティリ空軍基地に準備していた航空機が、トーネード攻撃機8機、という規模であった為です。イギリスは、1日にシリアへのISIL空爆が議会で承認される事となり増派されましたが、増派規模はBBCによればタイフーン戦闘機2機とトーネード攻撃機2機、支援機4機、というもので戦闘機と攻撃機は増派を含めても12機でしかありません。

 分散運用、という観点からイギリスの事例を見てみますと、更に少ない規模の分遣隊を派遣する事例があります、それはフォークランド諸島への分遣隊派遣の事例で、これは実際の空爆任務ではなく緊急発進に備えて戦闘機を前方展開させる、というものだったのですが、フォークランド諸島分遣隊派遣の際には2機から3機のタイフーン戦闘機を展開させる事で対応した事もありました。もちろん、”航空防衛作戦部隊論”に提示する分散運用は、大規模な航空戦闘を継続する航空優勢確保への航空撃滅戦への対応というものですので、一概に比較はできません。

 即ち、ISIL対処やポテンシャルのための前方展開というものとは意味合いが異なりますが、分散、しかし派遣するというだけでも意味を持つ事例がある、という事が読み取れるでしょう。ISIL空爆の場合は、ISILは戦闘機を運用する基盤を持ちませんので空対空戦闘は、ロシア機等との偶発戦闘等を例外とすれば想定しなくてよいのですし、高射火器もレーダー警戒網と連動する組織防空能力や高高度目標を迎撃できる短距離地対空ミサイル以上の防空装備を持ちませんので、低空親友や防空制圧戦は不要、極端に言えばP-3Cのような機体でも誘導爆弾JDAMの運用機として使用可能です。

 もちろん、これはテロが起きる前に報復作戦の準備を、という意味では全くなく、南西諸島防衛における航空機の分散運用という視点に主軸を置き、分散運用航空機、という観点から8機という部隊規模のポテンシャルを見たものなのですが、この8機という作戦機でも一定水準の航空作戦を展開可能であり、興味深い事例としてみる事が出来るでしょう。

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C-17輸送機生産終了へ 画期的輸送機、ボーイング社271号機を製造後ロングビーチ工場を閉鎖

2015-12-05 20:22:35 | 先端軍事テクノロジー
■戦域間輸送機C-17
 C-17輸送機、いよいよ生産が終了します、ボーイング社は現在製造中のカタール空軍向けの機体を最後にC-17の製造ラインを閉じる事を発表しました。

 この輸送機は2007年に終了計画が提示されましたが、その後、アメリカ空軍と友好国同盟国への輸出が継続され、遂に2015年に製造修了となったかたち、一機当たり米空軍向け費用で1億8000万ドルと高価であり、豪州空軍への輸出費用は初度調達相違を加え邦貨換算で一機400億円を超えたともいわれました。

 高価な輸送機ですが、60t級の第三世代戦車を含む陸軍大半の装備を輸送出来、しかも短距離離着陸性能が高かった為、短い未整備の前線飛行場へ米本土から直接装備を空輸できました、従来は大型だがその分舗装された長大な滑走路を必要とする戦略輸送機が前線から離れた拠点へ輸送し、其処からは小型の戦術輸送機が前線へ運ぶという輸送方式が立てられていましたが、C-17は戦域間輸送機という新しい区分を誕生させています。

 C-17の生産終了によりボーイング社はカリフォルニア州のロングビーチ工場を閉鎖します、C-17は米空軍に223機と同盟国友好国へ48機供給され、航空自衛隊も1990年代半ばに、海外派遣の増大を背景にC-17輸送機の導入が検討された、とも言われ、当時のC-130H輸送機よりも非常に大きな輸送能力が期待されましたが、当時は現在ほど海外派遣が増大するとは考えられず採用は見送られました、しかしボーイング社により多くの売り込みが行われていました。

 またアメリカ空軍は当初120機程度で生産を修了する冷戦後の調達削減計画が立てられていましたが、9.11同時多発テロ以降、戦域間輸送機の重要性が再び高まり、実に223機もの多数が装備されるに至りました、NATOとイギリス空軍にカナダ空軍とオーストラリア空軍、アラブ首長国連邦空軍、クウェート空軍、カタール空軍、インド空軍に輸出され、高価ですが導入した諸国は、愛称”グローブマスターズクラブ”とよばれています。

 国際安全保障上や人道上の危機が生じた場合にはグローブマスターズクラブへ輸送支援要請が出されます、個の輸送機でなければ運べない重装備などを空輸する必要が生じた際のもので、グローブマスターズクラブの出動は2013年のマリ危機におけるフランス軍空輸支援、2011年の東日本大震災に伴う対日緊急支援任務などがありました。


北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.12.05/06)

2015-12-04 21:52:21 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 急な寒波、と先週冒頭に記しました以上の急激な低気圧が日本列島を覆い特急サンダーバードは運休となっていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

 新田原基地航空祭、ここまで寒くなったらば暖かい南国に行くしかない、という今週末の自衛隊関連行事は一つだけ、宮崎県の新田原基地航空祭です。基地には椰子が植えられ、埴輪が並ぶ新田原基地は南国そのもの、日曜日に航空祭が行われます、宮崎市や最寄の日向新富駅からシャトルバスが運行、南九州ですので比較的混雑しないのが売りの航空祭です。

 新田原基地には、第5航空団、飛行教導群、飛行教育航空隊、が展開していまして、南西諸島北部と南九種防空へはF-4EJ改を運用する第301飛行隊が当たると共に、飛行教導群と飛行教育航空隊がF-15を運用しています。ただ、旧称飛行教導隊として親しまれ且つ恐れられる飛行教導群は小松基地へ移設予定、F-4EJ改もF-15飛行隊と交代予定ですので、西方防衛強化の過渡期にある航空祭、という位置づけでみることもできるでしょう。

 航空祭ですが、基地内からは完全に逆光となります、そこで基地の滑走路を隔てて反対側の民有地が高台となっており、土産物店や居酒屋が並ぶ眺鷹台、という撮影ポイント化していますので、飛行展示の一部をこちらで撮影される方もいます。また、基地は高台にありますが日向新富駅から4kmの位置にあり、シャトルバスの混雑を避け徒歩で移動する方もいます。飛行展示は中々の迫力、飛行教導群の仮設敵塗装による飛行展示ははここでしか見られません。


■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・12月06日:新田原基地航空祭2015…www.mod.go.jp/asdf/nyutabaru/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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岐阜基地航空祭2015詳報【第十二回】 岐阜飛行開発実験団、航空祭終幕来年もよろしく!

2015-12-03 22:21:09 | 航空自衛隊 装備名鑑
■岐阜基地航空祭2015詳報
岐阜基地航空祭2015詳報、今回が最終回です、当日の帰投機を全機撮影しましたのでその写真と共に。

パッチ、撮影位置からの撤収ですが露店の前を通ります、その模擬売店で売られますパッチ、航空祭と云えばこちらも名物です。刺繍で一つ一つ丁寧に織り込まれたパッチは一つの工芸品といえ、飛行隊や航空団、大規模な訓練や作戦などに展開した際に有志の間で特注し数百枚単位で製造されるものです、一枚のお値段は1000円から2500円ほど。

ワッペンと云いますかパッチを一枚千円から千数百円を高いと考えるかどうかは人によりけりと思いますが、刺繍を積み重ねて、そして縫製に特殊技巧を経る事で容易には解れない一品として仕上がっていまして、所謂アイロンプリントで染料を白いだけの布地に塗りたくったものとは根本的に違う。

護衛艦の識別帽などが、パッチと並ぶものと考えます、刺繍で仕立てられていますので、ある程度の擦過では崩れませんし、実用品として身に着けるだけでなく、部屋に並べてみるだけでも航空祭をおもい出すことが出来ますし、来客の際などにもさり気なく並べてみますと、意外な会話の展開などもありました。

部隊でつくられるものは数百枚単位で注文されるのですが、部隊も数百人いますので一般に大量に出回る事はありません、もちろん、有名な飛行隊などのパッチは大量につくられますので大量に入手できるものですが、場合によってはそれだけ人気があり入手できないものもありますので、手に入れておきたい。

名刺代わり、といいますか、パイロット、海軍の場合はアビエーターというそうですが、操縦士の方々はフライトジャケットの所属部隊のパッチを見える場所に縫い付けるのですが、部隊が変わるとそのパッチはフライトジャケットの背中に移動します、するとパッチが背中にどんどん増えてゆくのですが、これがどの飛行隊にいたかという履歴書の代わりになる。

パッチは航空愛好家の間では何処其処の航空祭に行った、という意味合いもありますから、初対面同士の方々でも、最初の一言が、おお貴重なパッチですね、とか、おやあの航空祭まで足を延ばされましたかあ、と会話の端緒にもなる事があります、履歴書ではありませんが、アルバム替わり、というところでしょうか。

航空祭の露店では、パッチがたくさん並びまして、値段も値段ですので、何枚も何十枚も、まあ、買う人はいるのかもしれませんが、パッチ数枚で交通費に匹敵しますのでたくさんは買えない、そこで、よくよく吟味して、これぞ、という一枚を並ぶ中から選ぶのです、すると会計に向かう際に気付けば、これも、となっていて1~3枚で済む。当初1枚といっていたのが何かおかしい気もするが。

さあ、航空祭、帰路に一つパッチを買いましょう、と露店を見ますと、うむ、撤収中、でした。閉店した直後ならば、気軽にと声を軽く邪魔するよお、と入って行って店員さんにじろじろ視線を受けつつうまく受け流しながら購入するのですが、商品が既に箱に戻っている状態ではどうしようもない、かえりましょう。

名鉄電車は、順番に徐々に来場者が帰りましたので、当方が乗車する時間にはそれほど混雑していませんでした、ICカード乗車券が普及しましたので、タッチ1秒改札、改札前や券売機にて切符を買う手間というものがなくなった、というう事も混雑緩和に大きな威力を発揮しているのかもしれません。

着陸まで、航空祭を徹頭徹尾満喫し、当方一行は正門から帰路に就きました。駅で解散、名鉄も航空祭輸送に全力を投入しているようで、名鉄各務原線の一部の駅は4両分のホーム長しかないのですが、後ろ2両の扉扱いをしないという手法にて6両編成の急行が輸送に投入されていました。

最後に当方は岐阜の街で鮨と航空祭写真を肴にビールとウィスキーと日本酒と焼酎を一杯づつ頂き、巻物とともにもう少し大きな徳利で日本酒を頂き、ほろ酔い気分で無事帰路へ。航空祭の写真を眺めつつ、一杯やると旨い、快感です。最後になりましたが、現地でお世話になりました皆様ありがとうございました。

また、岐阜基地航空祭実行委員会と航空自衛隊の皆様、当日は素晴らしい飛行展示に感謝感激です、ありがとうございました。岐阜基地航空祭は、実は当方が初めて足を運びました航空祭、そのころブルーインパルスはT-2練習機の時代です、そしてWeblog北大路機関創設の2005年から毎年足を運ぶことが出来ている唯一の航空祭です、また来年もよろしくお願いいたします。

北大路機関:はるな くらま
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榛名防衛備忘録:基地警備用強化小銃HK-416/M-27

2015-12-02 23:39:49 | 防衛・安全保障
基地警備用強化小銃HK-416/M-27
航空自衛隊の基地警備について、2000年代より軽装甲機動車の配備が進み、MINIMI分隊軽機の配備が進んでいるが依然として小銃は64式小銃のままです。

HK416小銃、航空自衛隊向けの小銃として、9mm機関拳銃と併用する装備に勧めたいのがこのドイツ製小銃です。アメリカ海兵隊にもM27ISRとして採用されました。航空自衛隊の任務は基地警備という施設警備任務が基本ですから、あまり長い小銃は向きません、陸上自衛隊と海上自衛隊の採用する89式小銃も短いのですが、HK416はアメリカのM4A1をドイツのH&K社が改良したものでさらに短い。

M27ISRとして採用されていると紹介しましたが、ISRとは歩兵支援小銃の意味でMINIMI分隊軽機の補完用に用いられているとのこと、二脚を装着しACOG四倍照準眼鏡を装着することで、30発弾倉を装着する小銃なのですがMINIMIのように遠距離を制圧する事が可能ということで、海兵隊員に第二次大戦中のBAR自動小銃のようなものか、と問うと、そうだ、とのことでした。

施設警備任務ということですが航空基地警備となれば交戦距離は必然的にながくなりますから、一定以上の射程が必要です。その程度ならば89式小銃でも対応できるのでは、という問いがあるやもしれませんが、アメリカ海兵隊では純然たる小銃であるM16A4とともにM27を装備しています、軽装甲機動車にMINIMIを搭載し、降車要員へHK416を装備させることが、理想的な警備装備といえるやもしれません。
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