■沿岸部のミサイル部隊と連携
将来小型護衛艦と沿岸防備システム、という視点を前回提示した訳ですが、この部分をさらに踏み込んで。
この沿岸防備システムとは有事の際の統合任務部隊を編成する場合、陸上自衛隊と航空自衛隊の一部部隊を沿統合任務部隊に加えると共に陸上自衛隊の戦力投射任務に資する任務を海上自衛隊が実施するというものです。沿岸防備システム、若しくは装備体系、というべきでしょうか、この装備群は、北欧諸国が限られた装備体系において国土防衛を実施する上で構築した沿岸砲兵部隊のような装備システム、というものを念頭に置くものです。
これは、沿岸砲台や地対艦ミサイルに地対空ミサイルと高射機関砲、機動砲兵と小型舟艇部隊にコルベットなどを組み合わせた部隊で、スウェーデン沿岸砲兵隊、冷戦後の今日には水陸両用戦軍団に改編され、軍団隷下に一個連隊を置くという編成を採っていますが、この編成、若しくはフィンランド海軍と沿岸防備に当たるウーシマー旅団を念頭とした運用を考えています。
沿岸防備システム、具体的には、コルベットやミサイル艇は単体で洋上運用を行った場合、確実に大型水上戦闘艦には太刀打ちできません、コルベットは限られた艦上容積を打撃力に置くことが基本であり、艦隊防空用艦対空ミサイルや広域防空を展開可能となる大型の多機能レーダー等を搭載する能力はありません。
もちろん、満載排水量1000t程度の小型水上戦闘艦艇であっても無理をすればその搭載は可能です、アメリカのロッキードマーティン社等はイスラエルに対し、小型艦用イージスシステムを提示した事例があります。ただ、基本的な傾向として小型水上戦闘艦艇は波浪による行動能力の限界や燃料搭載能力と乗員居住区画の限界などから長期間の行動を行う事は出来ません野でこの部分を配慮する必要がある。
これら資材を搭載する事は結果的に合理的ではなく、それを踏まえたうえで小型水上戦闘艦艇には艦対艦ミサイルを第一に搭載し、その上で近距離用地対空ミサイルを転用した艦上防空システム、高射機関砲、船体規模に余裕がある場合には後継の小さな艦砲を搭載する、という選択肢を採っています、そして足りない防空能力は、ミサイル艇は沿岸部へ退避します。
沿岸部の錯綜地形へ退避する事で自己位置を秘匿するという意味もありますが、陸上に展開する地対空ミサイルの支援下へ退避するという意味も非常に大きいのです、艦隊防空艦を整備できる海軍は少ないのですが、多くの諸国は地対空ミサイルを防空砲兵が装備しています、また、世界でも陸上自衛隊の野戦防空に当たる高射特科部隊の装備は高い水準にあります。航空攻撃を受けた際には沿岸に展開する防空部隊の防空網下に退避し、また、打撃力も陸上からのミサイルによる支援を受け行動するのが基本です。
将来小型護衛艦は、沿岸防備システムを構成する場合、第一に陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊の目となります、射程180kmという88式地対艦誘導弾やさらに高性能化した12式地対艦誘導弾システムは、その能力を最大限活かすには洋上情報収集能力が沿岸部に展開する標定小隊のレーダーや電子隊による電子標定、将来的に小型無人機による標定を行う方針ですが、この部分は共同運用により能力を向上させることができるでしょう。
海上自衛隊の哨戒機部隊や航空自衛隊の早期警戒機に当たるような高度な索敵装備を陸上自衛隊は保有していません。そこで、将来小型護衛艦は無人機母艦として沿岸部から索敵を実施する事で、危険な外洋に展開せずとも高度な情報収集と情報管理を行う事が可能となります。この種の任務はデータリンクを構成する事により比較的早く実現しますが、将来小型護衛艦も地対艦ミサイルを膨大な打撃力の持続性とする事が出来ます。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
将来小型護衛艦と沿岸防備システム、という視点を前回提示した訳ですが、この部分をさらに踏み込んで。
この沿岸防備システムとは有事の際の統合任務部隊を編成する場合、陸上自衛隊と航空自衛隊の一部部隊を沿統合任務部隊に加えると共に陸上自衛隊の戦力投射任務に資する任務を海上自衛隊が実施するというものです。沿岸防備システム、若しくは装備体系、というべきでしょうか、この装備群は、北欧諸国が限られた装備体系において国土防衛を実施する上で構築した沿岸砲兵部隊のような装備システム、というものを念頭に置くものです。
これは、沿岸砲台や地対艦ミサイルに地対空ミサイルと高射機関砲、機動砲兵と小型舟艇部隊にコルベットなどを組み合わせた部隊で、スウェーデン沿岸砲兵隊、冷戦後の今日には水陸両用戦軍団に改編され、軍団隷下に一個連隊を置くという編成を採っていますが、この編成、若しくはフィンランド海軍と沿岸防備に当たるウーシマー旅団を念頭とした運用を考えています。
沿岸防備システム、具体的には、コルベットやミサイル艇は単体で洋上運用を行った場合、確実に大型水上戦闘艦には太刀打ちできません、コルベットは限られた艦上容積を打撃力に置くことが基本であり、艦隊防空用艦対空ミサイルや広域防空を展開可能となる大型の多機能レーダー等を搭載する能力はありません。
もちろん、満載排水量1000t程度の小型水上戦闘艦艇であっても無理をすればその搭載は可能です、アメリカのロッキードマーティン社等はイスラエルに対し、小型艦用イージスシステムを提示した事例があります。ただ、基本的な傾向として小型水上戦闘艦艇は波浪による行動能力の限界や燃料搭載能力と乗員居住区画の限界などから長期間の行動を行う事は出来ません野でこの部分を配慮する必要がある。
これら資材を搭載する事は結果的に合理的ではなく、それを踏まえたうえで小型水上戦闘艦艇には艦対艦ミサイルを第一に搭載し、その上で近距離用地対空ミサイルを転用した艦上防空システム、高射機関砲、船体規模に余裕がある場合には後継の小さな艦砲を搭載する、という選択肢を採っています、そして足りない防空能力は、ミサイル艇は沿岸部へ退避します。
沿岸部の錯綜地形へ退避する事で自己位置を秘匿するという意味もありますが、陸上に展開する地対空ミサイルの支援下へ退避するという意味も非常に大きいのです、艦隊防空艦を整備できる海軍は少ないのですが、多くの諸国は地対空ミサイルを防空砲兵が装備しています、また、世界でも陸上自衛隊の野戦防空に当たる高射特科部隊の装備は高い水準にあります。航空攻撃を受けた際には沿岸に展開する防空部隊の防空網下に退避し、また、打撃力も陸上からのミサイルによる支援を受け行動するのが基本です。
将来小型護衛艦は、沿岸防備システムを構成する場合、第一に陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊の目となります、射程180kmという88式地対艦誘導弾やさらに高性能化した12式地対艦誘導弾システムは、その能力を最大限活かすには洋上情報収集能力が沿岸部に展開する標定小隊のレーダーや電子隊による電子標定、将来的に小型無人機による標定を行う方針ですが、この部分は共同運用により能力を向上させることができるでしょう。
海上自衛隊の哨戒機部隊や航空自衛隊の早期警戒機に当たるような高度な索敵装備を陸上自衛隊は保有していません。そこで、将来小型護衛艦は無人機母艦として沿岸部から索敵を実施する事で、危険な外洋に展開せずとも高度な情報収集と情報管理を行う事が可能となります。この種の任務はデータリンクを構成する事により比較的早く実現しますが、将来小型護衛艦も地対艦ミサイルを膨大な打撃力の持続性とする事が出来ます。
北大路機関:はるな くらま
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