■超大国の非知性主義
共和党指名候補へ指名されましたトランプ候補は、指名候補争いでの一つの主要公約にイスラム教徒の入国禁止を挙げていました。これは現在はあまり取り上げられませんが、こうした安直な発想の指導者候補を支持する国とどのように付き合ってゆくべきなのか、リスクです。

共和党候補に指名されて後触れられなくなったように、共和党指名が確実になりますと、非現実的な政策についてはやや語調を弱めたものとなりましたが、この意味がどのようなものであるのかを本人と支持者が正確に認識しているか、という問題があります。逆に、安易な思い付きを具体的な政権公約に掲げる可能性を示唆しているものであり、その一言一言で世界の安定は大きくかき乱される、という可能性があるということ。

安直にこうした政策への支持が集まる事の危険性について。イスラム教徒は世界三大宗教と云われる通り現時点で17億人、2040年には世界の経済人口の三分の一近くを入国禁止するというものであり、併せてアメリカ国内へイスラム教徒を入国させないと云う事であれば、必然的に中東産油国との関係を非常に悪化させることとなりますが、この事実をどの程度認識しているのか、またアメリカが中東諸国から政治的のみならず人との移動と交流を禁止する事で経済的にも距離を置くのであれば、どうなるのか。

これは結果的に中東でのパワーバランスの変容を起こすものとなりますし、イスラム教徒の入国を禁止するのであればアメリカ国籍を持つイスラム教徒は出入国の地涌を失いという国際人権規約A規約に反する施策を国内法として制定するのか、という意味にも繋がりますし、事実上アメリカを鎖国させるという宣言に他なりません。

非知性主義、これは知性よりも大衆迎合主義的な政策でも支持するという新しい価値観がアメリカで定着しつつある、という非常にさびしい実情を示しているのかもしれません。非知性主義の蔓延、アメリカ大統領選挙での大きな憂慮すべき命題は、トランプ氏の躍進そのものではなく、あの程度のポピュリズムを理論的に矛盾点を突いて合理的な政策以外の提案を払拭する有権者の認識が落ちているという事に他なりません、仮にトランプ氏が大統領に当選するかしないかを度外視したとして、あの程度の候補を支持した世論の大きさが相当規模に上る、という事実には変わりないでしょう。

実際問題かなり矛盾をはらんだ政策を受け入れるアメリカの世論の後退性については、あたかも我が国が2009年に自民党から民主党へ政権交代を成りましたあの時の民主党を支持していた我が国の選挙民の論理体系を併せて考えますと納得する部分があるのですが、それ以上にアメリカはこれまで世界における国際公序の牽引車であり、自由主義に依拠した世界政治への関与の度合いを強め国際社会に地位を築いてきたと云う事実、と。

事なかれ主義を社会の価値観の起点に置いたといわれる我が国との対比があったにもかかわらず、朝令暮改朝三暮四を地で行く候補者への支持の集まりには、非知性主義というものの実情を突き付けられた印象が拭えません。そしてポピュリズム、大衆迎合主義の発展型として生じている非知性主義は、迎合する施策が大きく異なる事からこれはトランプ氏の発言に見られるように朝令暮改として一つの支持層がウケる政策を掲げつつその政策はもう一方にウケないという状況がしょうじる為、影響がでます。

即ち、此処を本来の政治家は政治システムにおける利益配分として利害を調整するものなのですが、ウケない層にたいしてウケる政策を呈示する、事により相互の矛盾が発生した場合でも調整せず、朝令暮改に終始する、その矛盾を誰も気にしない、という非知性主義が構成されます。これは一人花火大会の様にはた目には無害のようにも見えるものですが。

言い換えれば、これも前述する民主党鳩山政権時代の様に、一貫した政策とその根底の政治哲学に基づかない政策を採る為、次に何をやらかすのか分からない、という不確定要素を世界政治に押し付ける事となる訳です。非知性主義の蔓延は、一旦広まれば打撃を受けるまで政策が継続される点で、一旦知性を否定すれば回帰するには非常に大きな時間を要する、リスクといえるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
共和党指名候補へ指名されましたトランプ候補は、指名候補争いでの一つの主要公約にイスラム教徒の入国禁止を挙げていました。これは現在はあまり取り上げられませんが、こうした安直な発想の指導者候補を支持する国とどのように付き合ってゆくべきなのか、リスクです。

共和党候補に指名されて後触れられなくなったように、共和党指名が確実になりますと、非現実的な政策についてはやや語調を弱めたものとなりましたが、この意味がどのようなものであるのかを本人と支持者が正確に認識しているか、という問題があります。逆に、安易な思い付きを具体的な政権公約に掲げる可能性を示唆しているものであり、その一言一言で世界の安定は大きくかき乱される、という可能性があるということ。

安直にこうした政策への支持が集まる事の危険性について。イスラム教徒は世界三大宗教と云われる通り現時点で17億人、2040年には世界の経済人口の三分の一近くを入国禁止するというものであり、併せてアメリカ国内へイスラム教徒を入国させないと云う事であれば、必然的に中東産油国との関係を非常に悪化させることとなりますが、この事実をどの程度認識しているのか、またアメリカが中東諸国から政治的のみならず人との移動と交流を禁止する事で経済的にも距離を置くのであれば、どうなるのか。

これは結果的に中東でのパワーバランスの変容を起こすものとなりますし、イスラム教徒の入国を禁止するのであればアメリカ国籍を持つイスラム教徒は出入国の地涌を失いという国際人権規約A規約に反する施策を国内法として制定するのか、という意味にも繋がりますし、事実上アメリカを鎖国させるという宣言に他なりません。

非知性主義、これは知性よりも大衆迎合主義的な政策でも支持するという新しい価値観がアメリカで定着しつつある、という非常にさびしい実情を示しているのかもしれません。非知性主義の蔓延、アメリカ大統領選挙での大きな憂慮すべき命題は、トランプ氏の躍進そのものではなく、あの程度のポピュリズムを理論的に矛盾点を突いて合理的な政策以外の提案を払拭する有権者の認識が落ちているという事に他なりません、仮にトランプ氏が大統領に当選するかしないかを度外視したとして、あの程度の候補を支持した世論の大きさが相当規模に上る、という事実には変わりないでしょう。

実際問題かなり矛盾をはらんだ政策を受け入れるアメリカの世論の後退性については、あたかも我が国が2009年に自民党から民主党へ政権交代を成りましたあの時の民主党を支持していた我が国の選挙民の論理体系を併せて考えますと納得する部分があるのですが、それ以上にアメリカはこれまで世界における国際公序の牽引車であり、自由主義に依拠した世界政治への関与の度合いを強め国際社会に地位を築いてきたと云う事実、と。

事なかれ主義を社会の価値観の起点に置いたといわれる我が国との対比があったにもかかわらず、朝令暮改朝三暮四を地で行く候補者への支持の集まりには、非知性主義というものの実情を突き付けられた印象が拭えません。そしてポピュリズム、大衆迎合主義の発展型として生じている非知性主義は、迎合する施策が大きく異なる事からこれはトランプ氏の発言に見られるように朝令暮改として一つの支持層がウケる政策を掲げつつその政策はもう一方にウケないという状況がしょうじる為、影響がでます。

即ち、此処を本来の政治家は政治システムにおける利益配分として利害を調整するものなのですが、ウケない層にたいしてウケる政策を呈示する、事により相互の矛盾が発生した場合でも調整せず、朝令暮改に終始する、その矛盾を誰も気にしない、という非知性主義が構成されます。これは一人花火大会の様にはた目には無害のようにも見えるものですが。

言い換えれば、これも前述する民主党鳩山政権時代の様に、一貫した政策とその根底の政治哲学に基づかない政策を採る為、次に何をやらかすのか分からない、という不確定要素を世界政治に押し付ける事となる訳です。非知性主義の蔓延は、一旦広まれば打撃を受けるまで政策が継続される点で、一旦知性を否定すれば回帰するには非常に大きな時間を要する、リスクといえるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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