北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

特集【第24回参議院選挙と安全保障】第五回・・・反安保法協力,民進党・共産党の安保政策不一致

2016-07-04 22:33:46 | 北大路機関特別企画
■野党間の矛盾する防衛政策観
 共産党と民進党の野党連合、安全保障関連法制への反対を掲げ呼号し候補者の一本化を図っていますが、現実的に可能なのでしょうか。

 民進党の民主党時代の防衛政策は、代議士個人の防衛理論としては、西村代議士、前原代議士、長島代議士、かなり踏み込んだ議論がありましたが、党の政策として政権公約画定の際に具現化することができませんでしたので、党内にも様々な施策があることを示しますが、政権与党を担った事がありますので、その具体例だけはおぼろげながら見えています。

 民主党政権時代には、ヘリコプター搭載護衛艦いずも建造、動的防衛力として現在の統合機動防衛力整備への指針、F-35戦闘機選定、防衛大綱への機甲師団維持、潜水艦部隊の大幅な増強の防衛大綱への盛り込み、など具体的な施策は示されています、ここに共産党は同意しているのか、と。

 こうした意味で、民進党の防衛政策は民主党政権時代の論点が応用できますし、いわゆる非正規戦力への攻撃へも自衛隊と警察海上保安庁の合同任務を可能とする領域警備法を整備する案を野党時代にも提出、安全保障関連法制へは反対していましたが、自衛隊海外派遣を政権交代以前の野党時代には自民党の特措法を根拠とする時限的な施策に反対し、安全保障への国際任務での恒久法整備を提唱していました。

 また、自衛隊の海外派遣も自衛隊のアフガニスタンへの復興支援を提要したのは政権交代以前の民主党であり、自民党以上に自衛隊の海外任務への積極性を掲げていました、もちろん、装備の充実なしに後方支援など任務を問わず部隊を送ることは人員の損耗に直結しますので、なにをやるにも装備の充足と、装甲車両の充実なしには当方は反対でしたが、積極的な指針が示されていたことは理解できるでしょう、しかし、共産党と防衛政策で合意できるのか。

 共産党の防衛政策ですが、長らく人民戦争を提示していました、綱領からは削除されていますが、代わりとなる防衛政策が示されていませんので、実質的にはこの理論のほかに腹案がないことを示しているとしかいえません。共産党は戦後初の総選挙を経ての日本国憲法制定決議に際し、自衛戦争の権利を放棄している、という視点を含め反対しました。

 自衛権の必要性を提示した共産党、しかしその後、自衛隊には反対しますが人民のための軍隊編成を代案として長らく堅持し、さらには山村工作隊として1950年代半ばまで武装ゲリラ闘争と交番襲撃などを実施していました。具体的には国民皆兵制を冷戦時代には提示していました、この歴史を振り返り、手のひらを翻し、護憲と非武装を掲げるようになっていまして、どうしても不信感が拭えません。

 それは、専守防衛を掲げつつ、しかし、専守防衛とは国土が戦場になるまで防戦しないという非常に過酷な犠牲を強いられる施策であることを示さず理想だけを提示されていますと、万一防衛政策を担った際の、専守防衛の損害が国民国土ともに及んだ場合、責任転嫁されないかが不安でなりません。過去の国民皆兵制度推奨路線、山村工作隊の非道、これらと向き合って真摯な反省を示してのみ、次に進めるのではないか、と考えます。

 これらの違いをふまえ、安全保障関連法案の廃止を掲げるのであれば、領域警備と国際貢献の充実を具体化し、さらに集団的自衛権に頼らずとも国土防衛を実現できる防衛力の強化を盛り込んだ、法案を、名称は国家防衛法でも国民平和維持法でもよいのですが、公約と合わせて具体化し、示すことができるような安全保障面での野党合議を先に行い、示すべきではないでしょうか。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする