■トルコ7.15事変,12時間の攻防
7月15日夜、トルコにおいて軍事クーデターが発生、その後12時間の攻防戦の末、鎮圧部隊により制圧されましたが、世界を衝撃が襲いました。

トルコ軍の一部部隊が蜂起し首都主要地点や国営放送局などを占拠し市民に対し全土に戒厳令を布告、外出を禁止しました。クーデター部隊はトルコのアタチュルク国際空港を占拠しボスポラスダータネルス海峡上の橋梁を占拠し閉鎖、全ての国際線は着陸地の変更を余儀なくされています。エルドアン大統領は脱出に成功しましたが、大統領派の参謀総長はクーデター部隊に拘禁されました。クーデター部隊は戦車部隊を動員し、主要道路部分へ進出、交通を遮断しました。この第一報が伝わったのは日本時間で三連休の初日に当たる今朝、ジブチに展開中の航空自衛隊輸送機による邦人救出の必要性が出てくるのか、と危機感を感じたしだい。

クーデター勃発、世界へ衝撃が走り、我が国も艦艇情報連絡室を設置し邦人安全情報の収集へ奔走しています。トルコ政府はこれにたいし、政府軍は戦闘ヘリコプターや戦車部隊を含めた鎮圧部隊を編成、夜間に勃発したクーデター事件は大規模な夜間市街戦闘へ展開します。クーデター部隊の背景にはイスラム系宗教団体ギュレン教団が存在するとトルコ内務省は分析しており、従来、イスラム主義的政権運営を進めたエルドアン大統領の政策にあわせ勢力を拡大してきましたが、2013年のトルコ反政府運動へギュレン教団が関与したことでトルコ政府は教団をテロ組織へ指定、その後、トルコ内務省へギュレン教団が組織的賄賂を実施し懐柔を図ったことが判明し大量更迭を実施しています。

エルドアン大統領は脱出に成功した、と続報が入ります。首都アンカラを離れ最大の都市イスタンブールにおいて指揮を執り、鎮圧部隊を編成、ユルドウルム首相はこの事案に対し、一部の将校が指揮系統を無視し政権の転覆を謀ったとし、市民へ抵抗を呼びかけました。一方、クーデター部隊指揮官は、全権を掌握したとして民主的秩序保持と人権保護のために立ち上がったと説明したものの、陸軍部隊の大半と海軍空軍及び憲兵隊が同調せず、クーデター部隊のヘリコプターを空軍の戦闘機が首都上空において撃墜、国会議事堂付近に展開したクーデター部隊主力にたいし戦闘ヘリコプターが航空攻撃を敢行、更に重要地域を占拠したクーデター部隊を鎮圧部隊の戦車部隊が包囲、投降させました。一時は双方が勝利宣言を出しましたが、急速に鎮圧部隊優位へと転じてゆく。

軍事クーデターは失敗した、ウミットドウンダール参謀総長代行が発表しました。欧州とアジアの重要な中継地で発生したクーデター事案は賃悪されました、クーデターに荷担した兵士2839名が鎮圧部隊により拘束されました。しかしこの鎮圧作戦による戦闘で、クーデター部隊104名、警察及び鎮圧部隊43名、一般市民47名、実に194名もの死者が出ています。大統領府に復帰したエルドアン大統領は、次なるクーデターがいつ発生してもおかしくないとして、市民へ協力を呼びかけるとともに、今回のクーデターへの関与した全ての関係者を厳しく処罰し、クーデターの根源を絶つと宣言しています。ただ、今後の粛軍が長期化すれば、トルコ国内での新しい対立を生む可能性があり、今後の対応に注目すべきです。

中東と欧州とアジア安定のかなめ、というべき地域に所在するトルコです。トルコは欧州とアジアや中東の中間点にあり、特にイラクやシリアと国境を接しているためISILなどのテロ組織対策における欧州の最前線である。同時に黒海を隔ててロシアとむかいあい、現在は独立国となったグルジア/ジョージアがソ連邦の一員であった時代にはソ連本土と国境を接していまして、ロシアの中東への影響度増大への抑止力となっています。一方、南部山間部にはクルド族問題が根ざしていますが、同時にNATO北大西洋条約機構の一員でありアメリカの同盟国、米軍基地も所在となっています、特にこの状況から陸軍力の規模が大きく、アメリカ陸軍の規模を上回る兵力を有するアメリカの同盟国はトルコと韓国ぐらいでしょう。

邦人が多数居留しているのもトルコの特色で、特にイラクやシリアという治安が内戦により最悪の状態となっている国が隣国にあるため比較的治安が周辺国よりは安定しています。今回、クーデター事案は早期に沈静化したため、邦人救出という必要性はありませんでしたが、ここまで極端に情勢が悪化するとは考えられておらず、仮に鎮圧作戦が失敗した場合があったとすれば、陸軍兵力が大きく長期化する可能性があったため、孤立事案ともなれば非常に救出が大変なこととなったでしょう、一方、トルコ隣国は、クリミア半島武力併合、グルジア紛争、ISIL攻勢、ここでトルコの安定が喪失すればこの地域の最後の均衡が破綻しかねず、予断を許しません。

今回のクーデターは軍が一枚岩として実施したものではなく、ギュレン教団の影響下にある一部将校が武装蜂起したもので、これはエルドアン大統領が軍を掌握できていないということでは必ずしもなく、ギュレン教団の影響度の大きさに起因するものと考えられます。ギュレン教団はイスラム思想の普及を目指す団体であると同時に、教育普及や無償学習塾などの支援を通じてトルコ社会に深く基盤を有しており、クーデター事案を受け今後エルドアン大統領がギュレン教団関係者を全て法的に監視ないし処罰する施策をとった場合、影響は更に長期化する可能性が否定できません。
北大路機関:はるな くらま
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7月15日夜、トルコにおいて軍事クーデターが発生、その後12時間の攻防戦の末、鎮圧部隊により制圧されましたが、世界を衝撃が襲いました。

トルコ軍の一部部隊が蜂起し首都主要地点や国営放送局などを占拠し市民に対し全土に戒厳令を布告、外出を禁止しました。クーデター部隊はトルコのアタチュルク国際空港を占拠しボスポラスダータネルス海峡上の橋梁を占拠し閉鎖、全ての国際線は着陸地の変更を余儀なくされています。エルドアン大統領は脱出に成功しましたが、大統領派の参謀総長はクーデター部隊に拘禁されました。クーデター部隊は戦車部隊を動員し、主要道路部分へ進出、交通を遮断しました。この第一報が伝わったのは日本時間で三連休の初日に当たる今朝、ジブチに展開中の航空自衛隊輸送機による邦人救出の必要性が出てくるのか、と危機感を感じたしだい。

クーデター勃発、世界へ衝撃が走り、我が国も艦艇情報連絡室を設置し邦人安全情報の収集へ奔走しています。トルコ政府はこれにたいし、政府軍は戦闘ヘリコプターや戦車部隊を含めた鎮圧部隊を編成、夜間に勃発したクーデター事件は大規模な夜間市街戦闘へ展開します。クーデター部隊の背景にはイスラム系宗教団体ギュレン教団が存在するとトルコ内務省は分析しており、従来、イスラム主義的政権運営を進めたエルドアン大統領の政策にあわせ勢力を拡大してきましたが、2013年のトルコ反政府運動へギュレン教団が関与したことでトルコ政府は教団をテロ組織へ指定、その後、トルコ内務省へギュレン教団が組織的賄賂を実施し懐柔を図ったことが判明し大量更迭を実施しています。

エルドアン大統領は脱出に成功した、と続報が入ります。首都アンカラを離れ最大の都市イスタンブールにおいて指揮を執り、鎮圧部隊を編成、ユルドウルム首相はこの事案に対し、一部の将校が指揮系統を無視し政権の転覆を謀ったとし、市民へ抵抗を呼びかけました。一方、クーデター部隊指揮官は、全権を掌握したとして民主的秩序保持と人権保護のために立ち上がったと説明したものの、陸軍部隊の大半と海軍空軍及び憲兵隊が同調せず、クーデター部隊のヘリコプターを空軍の戦闘機が首都上空において撃墜、国会議事堂付近に展開したクーデター部隊主力にたいし戦闘ヘリコプターが航空攻撃を敢行、更に重要地域を占拠したクーデター部隊を鎮圧部隊の戦車部隊が包囲、投降させました。一時は双方が勝利宣言を出しましたが、急速に鎮圧部隊優位へと転じてゆく。

軍事クーデターは失敗した、ウミットドウンダール参謀総長代行が発表しました。欧州とアジアの重要な中継地で発生したクーデター事案は賃悪されました、クーデターに荷担した兵士2839名が鎮圧部隊により拘束されました。しかしこの鎮圧作戦による戦闘で、クーデター部隊104名、警察及び鎮圧部隊43名、一般市民47名、実に194名もの死者が出ています。大統領府に復帰したエルドアン大統領は、次なるクーデターがいつ発生してもおかしくないとして、市民へ協力を呼びかけるとともに、今回のクーデターへの関与した全ての関係者を厳しく処罰し、クーデターの根源を絶つと宣言しています。ただ、今後の粛軍が長期化すれば、トルコ国内での新しい対立を生む可能性があり、今後の対応に注目すべきです。

中東と欧州とアジア安定のかなめ、というべき地域に所在するトルコです。トルコは欧州とアジアや中東の中間点にあり、特にイラクやシリアと国境を接しているためISILなどのテロ組織対策における欧州の最前線である。同時に黒海を隔ててロシアとむかいあい、現在は独立国となったグルジア/ジョージアがソ連邦の一員であった時代にはソ連本土と国境を接していまして、ロシアの中東への影響度増大への抑止力となっています。一方、南部山間部にはクルド族問題が根ざしていますが、同時にNATO北大西洋条約機構の一員でありアメリカの同盟国、米軍基地も所在となっています、特にこの状況から陸軍力の規模が大きく、アメリカ陸軍の規模を上回る兵力を有するアメリカの同盟国はトルコと韓国ぐらいでしょう。

邦人が多数居留しているのもトルコの特色で、特にイラクやシリアという治安が内戦により最悪の状態となっている国が隣国にあるため比較的治安が周辺国よりは安定しています。今回、クーデター事案は早期に沈静化したため、邦人救出という必要性はありませんでしたが、ここまで極端に情勢が悪化するとは考えられておらず、仮に鎮圧作戦が失敗した場合があったとすれば、陸軍兵力が大きく長期化する可能性があったため、孤立事案ともなれば非常に救出が大変なこととなったでしょう、一方、トルコ隣国は、クリミア半島武力併合、グルジア紛争、ISIL攻勢、ここでトルコの安定が喪失すればこの地域の最後の均衡が破綻しかねず、予断を許しません。

今回のクーデターは軍が一枚岩として実施したものではなく、ギュレン教団の影響下にある一部将校が武装蜂起したもので、これはエルドアン大統領が軍を掌握できていないということでは必ずしもなく、ギュレン教団の影響度の大きさに起因するものと考えられます。ギュレン教団はイスラム思想の普及を目指す団体であると同時に、教育普及や無償学習塾などの支援を通じてトルコ社会に深く基盤を有しており、クーデター事案を受け今後エルドアン大統領がギュレン教団関係者を全て法的に監視ないし処罰する施策をとった場合、影響は更に長期化する可能性が否定できません。
北大路機関:はるな くらま
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