■装甲車両の災害派遣
大規模災害派遣を念頭に考えた場合、防災の第一線と指揮命令系統での情報集約の困難という問題へいかに応えるかが一つの重要な要素となるでしょう。
この問題について、一つの試金石となる視点が先日アメリカにおいて実施されましたカスケーディアライジング2016演習という防災演習での州兵部隊が運用するストライカー装甲車部隊による情報通信というものでした。カスケーディアライジング2016演習はアメリカ西海岸からカナダ南部にかけ位置する世界有数の巨大断層帯が再び動いた場合を想定した演習です。
この断層、過去には1700年にも活動しており、その地震規模は東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震に匹敵する規模の地震であり、広範囲が津波に襲われるほか、自動車交通網などを徹底的に破壊し、孤立地位が多数広く分布する、という懸念があります。カスケーディアライジング2016演習は、その状況の再来を想定し実施されたものです。
ストライカー装甲車にはFBCB-2情報伝送端末が搭載され、戦術インターネットにより独立した通信体制が確立しています。FBCB-2はデータ通信による情報優位の完全な確立を目指したもので、戦闘部隊の戦闘状況や彼我の展開状況と補給拠点や火力拠点などの情報を常時伝送し暗号化しいかなる状況においても接続する施策として整備されましたが、カスケーディアライジング2016演習においてはストライカー装甲車を一つの移動通信端末として運用してました。
実際、シアトルでの州知事による演習訓示に際してはその後ろにストライカー装甲車が停車している様子が世界に報じられています。通信の途絶は、四月の熊本地震においても重大な問題となりました、特に我が国での大規模地震に際しては、日本の人口密度の高さと居兄巨大な地震であっても救援物資を日本全体として不足するという状況は中々考えられませんが、考えられるのはその救援物資を必要な地域に必要な時間内に配給できるか、という問題なのです。
そして熊本地震により明らかとなりましたが、自治体庁舎が地震被害により使用不能となる可能性、自家発電施設等への被害などにより結果的に自治体の情報収集機能がマヒするという事態はやはり危惧された通り発生するものでした。更に2011年の東日本大震災では沿岸部の自治体庁舎そのものが津波被害に遭いその機能を喪失した他自治体の首長にも犠牲者が出た、という事例もある。
この為大規模地震災害においては残念ながら平時に機能するインフラの多くが使用不能となる可能性がある訳です。一方で必要な物資の収拾については避難所毎に情報伝送装置等を整備する必要があります、そして自衛隊にはFBCB-2に相当する野外通信システム広帯域多目的無線機が配備されています。
野外通信システム広帯域多目的無線機は現行の可搬式小型端末ではデータ送信能力に限度がありますが車載型の能力は比較的その能力余地が大きく、仮に自衛隊の装備体系に更に広範に情報伝送能力を有する車載型の広帯域多目的無線機を配備する事が出来れば、単なる装甲車両であっても指揮中枢の一翼を担う事が出来るかもしれません。
被災地の孤立状況等をかなり正確に伝送し、且つ車両そのものの発電能力に合わせ継続的に情報網を確立する事は出来るでしょう。これは野外通信システム広帯域多目的無線機車載型とこれに併せての装甲車両の広範な装備を震災対策に併せて整備するという防衛上の意味もありますが、広帯域多目的無線機の応用は検討されるべきです。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
大規模災害派遣を念頭に考えた場合、防災の第一線と指揮命令系統での情報集約の困難という問題へいかに応えるかが一つの重要な要素となるでしょう。
この問題について、一つの試金石となる視点が先日アメリカにおいて実施されましたカスケーディアライジング2016演習という防災演習での州兵部隊が運用するストライカー装甲車部隊による情報通信というものでした。カスケーディアライジング2016演習はアメリカ西海岸からカナダ南部にかけ位置する世界有数の巨大断層帯が再び動いた場合を想定した演習です。
この断層、過去には1700年にも活動しており、その地震規模は東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震に匹敵する規模の地震であり、広範囲が津波に襲われるほか、自動車交通網などを徹底的に破壊し、孤立地位が多数広く分布する、という懸念があります。カスケーディアライジング2016演習は、その状況の再来を想定し実施されたものです。
ストライカー装甲車にはFBCB-2情報伝送端末が搭載され、戦術インターネットにより独立した通信体制が確立しています。FBCB-2はデータ通信による情報優位の完全な確立を目指したもので、戦闘部隊の戦闘状況や彼我の展開状況と補給拠点や火力拠点などの情報を常時伝送し暗号化しいかなる状況においても接続する施策として整備されましたが、カスケーディアライジング2016演習においてはストライカー装甲車を一つの移動通信端末として運用してました。
実際、シアトルでの州知事による演習訓示に際してはその後ろにストライカー装甲車が停車している様子が世界に報じられています。通信の途絶は、四月の熊本地震においても重大な問題となりました、特に我が国での大規模地震に際しては、日本の人口密度の高さと居兄巨大な地震であっても救援物資を日本全体として不足するという状況は中々考えられませんが、考えられるのはその救援物資を必要な地域に必要な時間内に配給できるか、という問題なのです。
そして熊本地震により明らかとなりましたが、自治体庁舎が地震被害により使用不能となる可能性、自家発電施設等への被害などにより結果的に自治体の情報収集機能がマヒするという事態はやはり危惧された通り発生するものでした。更に2011年の東日本大震災では沿岸部の自治体庁舎そのものが津波被害に遭いその機能を喪失した他自治体の首長にも犠牲者が出た、という事例もある。
この為大規模地震災害においては残念ながら平時に機能するインフラの多くが使用不能となる可能性がある訳です。一方で必要な物資の収拾については避難所毎に情報伝送装置等を整備する必要があります、そして自衛隊にはFBCB-2に相当する野外通信システム広帯域多目的無線機が配備されています。
野外通信システム広帯域多目的無線機は現行の可搬式小型端末ではデータ送信能力に限度がありますが車載型の能力は比較的その能力余地が大きく、仮に自衛隊の装備体系に更に広範に情報伝送能力を有する車載型の広帯域多目的無線機を配備する事が出来れば、単なる装甲車両であっても指揮中枢の一翼を担う事が出来るかもしれません。
被災地の孤立状況等をかなり正確に伝送し、且つ車両そのものの発電能力に合わせ継続的に情報網を確立する事は出来るでしょう。これは野外通信システム広帯域多目的無線機車載型とこれに併せての装甲車両の広範な装備を震災対策に併せて整備するという防衛上の意味もありますが、広帯域多目的無線機の応用は検討されるべきです。
北大路機関:はるな くらま
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