■自衛隊南西防空の緊張
中国機の南西諸島での活動増大について、防衛省はその活動が異常に増大していると発表しました。
防衛省の河野克俊統合幕僚長は6月30日の記者会見において、今年4月から6月までの三か月間に実施された航空自衛隊による対領空侵犯措置任務において、中国機による南西諸島方面への接近が極めて異常な規模で増大しており、昨年度の同時期よりも80回以上増大し、昨年度の114回と比較し1.5倍以上となっているとのことでした。
中国機に対する沖縄県及び鹿児島県の南西諸島への対領空侵犯措置任務は、今年1月から3月にかけて既に200回を超える非常に憂慮する状況となっており、今回の記者会見では4月から6月までの期間も、1月からの異常な数値が常態化し推移していることを示しています。併せて、中国海軍はこの航空機による異常な活動に呼応するように、今年尖閣諸島付近での接続水域において航行を実施しており、不測の事態の緊張が否定できません。
河野統幕長は、更に中国航空機の接近が、従来鹿児島県島嶼部へ接近する経路を主としてとっていた事に対し、昨今は沖縄県南部、先島諸島及び尖閣諸島方面への接近が異常増大しているとのことで、現在、先島諸島は自衛隊の駐留が宮古島分屯基地のレーダーサイトのみで、この脅威の急激な増大に対し自衛隊の駐留による防衛体制の整備を計画中です。
対領空侵犯任務は、防空識別圏に飛行計画を提出せず侵入した国籍不明航空機に対し、全国の航空自衛隊基地より要撃機を緊急発進させ、国籍不明機を誰何するもので、領空侵犯へ展開する事を阻止するという平時における重要な位置づけを有しています。防空識別圏は我が国民間旅客機の航空管制管区に合わせて設定される飛行情報区に合わせて設定されているため、国籍不明機の侵入は民間航空機へも重大な懸念が否定できません。
防衛省では、那覇基地の第83航空隊を第9航空団へ改編させ、戦闘機を従来の1個飛行隊から2個飛行隊へ増勢すると共に、第603警戒飛行隊を新編し、早期警戒機による警戒管制任務を強化していますが、この増勢措置を含めた場合でも、一日平均の規模がこのまま推移した場合、平時の防空任務は飽和状態となる懸念が生じるでしょう。
那覇だけで一日平均2回以上、飛行場の発着枠には上限があり、那覇基地は那覇空港と滑走路を共用しており、併せて那覇空港は日本有数の過密空港として知られています、今後さらに緊急発進が増大する場合、民間機が嘉手納基地等へ行先変更の必要性が生じる可能性があります。この為、翁長県知事が那覇市長時代から那覇空港第二滑走路工事として埋め立て事業を推進しており、工事が完了する事で、多少は滑走路の発着枠へ余裕が出るのでしょうか。
任務増大、嘉手納基地あたりに航空自衛隊の補助飛行場がそろそろ必要になりそうな状況とも言えます。また、場合によっては訓練時間を確保し、且つ事故発生率を縮小する観点から、F-35と並行し調達する支援戦闘機という位置づけ、これまで当方は有事の際には航空消耗戦となる観点から、運用基盤を補助基地と併せる事で航空優勢を維持できる、との見解を示してきましたが、平時の挑発に対して、長期化するほど中国軍の行動が常軌を逸しているとは想定外でした。
アメリカ製造が維持されているF/A-18F戦闘機の導入、米空軍が運用するF-15CやF-16Cの余剰機取得や貸与の要請、欧州製戦闘機のJAS-39などの取得など、戦闘機の増勢は真剣に検討する必要性が分水嶺を越える時期が近いといえるやもしれません。他方、もう一つは戦闘機数に対して操縦要員と整備要員を増勢し、機体当たりの稼働率を高める措置を、そろそろ検討しなければならない時期になっているのかもしれませんね。
ただ、忘れてはならないのは我が国が沖縄戦の悲劇を繰り返してはならない、という事です。沖縄戦においては、沖縄第32軍からの防衛戦力を抽出し弱体化させ、航空戦力は飛行場のみ建設しましたが必要な航空戦力を展開させない事で連合軍の上陸を許し、県民多数を巻き込む凄惨な地上戦へ展開させてしまいました、無防備こそ平和との誤解がありますが、無防備が生んだのは沖縄戦で戦力を増強した台湾や九州へは上陸していません。防衛費で如何に負担があろうとも、同胞を見捨てない決意が改めて、必要です。
北大路機関:はるな くらま
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
中国機の南西諸島での活動増大について、防衛省はその活動が異常に増大していると発表しました。
防衛省の河野克俊統合幕僚長は6月30日の記者会見において、今年4月から6月までの三か月間に実施された航空自衛隊による対領空侵犯措置任務において、中国機による南西諸島方面への接近が極めて異常な規模で増大しており、昨年度の同時期よりも80回以上増大し、昨年度の114回と比較し1.5倍以上となっているとのことでした。
中国機に対する沖縄県及び鹿児島県の南西諸島への対領空侵犯措置任務は、今年1月から3月にかけて既に200回を超える非常に憂慮する状況となっており、今回の記者会見では4月から6月までの期間も、1月からの異常な数値が常態化し推移していることを示しています。併せて、中国海軍はこの航空機による異常な活動に呼応するように、今年尖閣諸島付近での接続水域において航行を実施しており、不測の事態の緊張が否定できません。
河野統幕長は、更に中国航空機の接近が、従来鹿児島県島嶼部へ接近する経路を主としてとっていた事に対し、昨今は沖縄県南部、先島諸島及び尖閣諸島方面への接近が異常増大しているとのことで、現在、先島諸島は自衛隊の駐留が宮古島分屯基地のレーダーサイトのみで、この脅威の急激な増大に対し自衛隊の駐留による防衛体制の整備を計画中です。
対領空侵犯任務は、防空識別圏に飛行計画を提出せず侵入した国籍不明航空機に対し、全国の航空自衛隊基地より要撃機を緊急発進させ、国籍不明機を誰何するもので、領空侵犯へ展開する事を阻止するという平時における重要な位置づけを有しています。防空識別圏は我が国民間旅客機の航空管制管区に合わせて設定される飛行情報区に合わせて設定されているため、国籍不明機の侵入は民間航空機へも重大な懸念が否定できません。
防衛省では、那覇基地の第83航空隊を第9航空団へ改編させ、戦闘機を従来の1個飛行隊から2個飛行隊へ増勢すると共に、第603警戒飛行隊を新編し、早期警戒機による警戒管制任務を強化していますが、この増勢措置を含めた場合でも、一日平均の規模がこのまま推移した場合、平時の防空任務は飽和状態となる懸念が生じるでしょう。
那覇だけで一日平均2回以上、飛行場の発着枠には上限があり、那覇基地は那覇空港と滑走路を共用しており、併せて那覇空港は日本有数の過密空港として知られています、今後さらに緊急発進が増大する場合、民間機が嘉手納基地等へ行先変更の必要性が生じる可能性があります。この為、翁長県知事が那覇市長時代から那覇空港第二滑走路工事として埋め立て事業を推進しており、工事が完了する事で、多少は滑走路の発着枠へ余裕が出るのでしょうか。
任務増大、嘉手納基地あたりに航空自衛隊の補助飛行場がそろそろ必要になりそうな状況とも言えます。また、場合によっては訓練時間を確保し、且つ事故発生率を縮小する観点から、F-35と並行し調達する支援戦闘機という位置づけ、これまで当方は有事の際には航空消耗戦となる観点から、運用基盤を補助基地と併せる事で航空優勢を維持できる、との見解を示してきましたが、平時の挑発に対して、長期化するほど中国軍の行動が常軌を逸しているとは想定外でした。
アメリカ製造が維持されているF/A-18F戦闘機の導入、米空軍が運用するF-15CやF-16Cの余剰機取得や貸与の要請、欧州製戦闘機のJAS-39などの取得など、戦闘機の増勢は真剣に検討する必要性が分水嶺を越える時期が近いといえるやもしれません。他方、もう一つは戦闘機数に対して操縦要員と整備要員を増勢し、機体当たりの稼働率を高める措置を、そろそろ検討しなければならない時期になっているのかもしれませんね。
ただ、忘れてはならないのは我が国が沖縄戦の悲劇を繰り返してはならない、という事です。沖縄戦においては、沖縄第32軍からの防衛戦力を抽出し弱体化させ、航空戦力は飛行場のみ建設しましたが必要な航空戦力を展開させない事で連合軍の上陸を許し、県民多数を巻き込む凄惨な地上戦へ展開させてしまいました、無防備こそ平和との誤解がありますが、無防備が生んだのは沖縄戦で戦力を増強した台湾や九州へは上陸していません。防衛費で如何に負担があろうとも、同胞を見捨てない決意が改めて、必要です。
北大路機関:はるな くらま
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