北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-ロシア軍Su-34戦闘爆撃機近接航空支援投入と反攻作戦封じる錯綜地形と地雷41万5000発

2023-08-16 07:00:03 | 防衛・安全保障
■防衛情報ーウクライナ戦争
 制空権という概念無き航空戦力の枯渇したウクライナ軍へ最新鋭戦闘機が陳腐な爆弾による航空支援が襲いかかっている、制空戦闘機の重要性を示します。

 ロシア航空宇宙軍は虎の子Su-34戦闘機による近接航空支援を開始した可能性がある、これはウクライナ側が第一線で撮影した映像に低空より自由落下型爆弾を投下するSu-34戦闘機の映像があり、これまでSu-25攻撃機など近接航空支援用に開発された機体のみに限っていた近接航空支援を拡大した事となります。しかし利点だけではありません。

 Su-34戦闘機はロシアが冷戦後実用化した数少ない第4.5世代戦闘機であり、長距離打撃力を持つ西側のF-15Eに当たる戦闘爆撃機であるため、これを機銃などで簡単に反撃される低空の近接航空支援に投入するという現状は、ほかに投入できる選択肢が払底した、若しくは長射程ミサイル枯渇を示す数多い事例を一つ追加した、ともいえるでしょう。
■休耕地に茂る樹木
 東富士演習場のススキはじめ日本でも川の中州などに短期間で立派な樹木が育つ事が往々にしてありますが戦場では錯綜地形となってしまう。

 ウクライナ南部地域の休耕地が戦闘を複雑化させている、8月3日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告が南部地域での反転攻勢への不確定要素に関しての分析を公表しました。これによれば、戦闘により放置された南部の休耕地が18か月間を経て、低木などが育つ状況となっており、ロシア側防御陣地を遮蔽する結果になっているとのこと。

 低木と雑草は敷設された地雷原を処理しにくいものとするとともに機械化部隊の坑道を阻害します。他方でイギリス国防省の分析として、この雑草と低木は歩兵の浸透作戦。ウクライナ軍歩兵部隊の奇襲や迂回等行動に自由度を与える一助となる可能性を示唆していますが、併せて両軍とも行動に制約が加わる結果の方が大きいとも分析しています。
■41万5000発
 地雷などだけで実に41万5000発が処分されている。自衛隊の地雷処理装備は決して潤沢ではありませんが攻撃用装備の供与を自粛する一方でこうした装備位は供与してはどうかと思う。

 ウクライナ国家緊急事態局によればロシアから奪還した国内において41万5000発の爆発物を処理したと発表しました。7月29日の更新では更に250発の爆発物を処理したとしています。これは917平方キロメートルのロシア軍敷設地雷や不発弾などの処理を行った結果とのことですが、ロシア軍の敷設した爆発物被害の大きさを物語ります。

 41万5250発は農地や市街地と占領地などに散布され、建機による敷設や砲弾とロケット弾による地雷散布、また不発弾発生率がアメリカ製クラスター兵器の200倍以上というクラスター弾不発弾などが含まれ、しかし地雷除去は戦闘地域の0.5%で行われたのみ、不発弾を処理しなければ農耕さえできない状況となり長期の禍根を残す事でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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8.15終戦記念日:昭和は遠くになりにけり,価値観の変容と本土決戦主義/専守防衛からの議論無き脱却

2023-08-15 20:00:00 | 国際・政治
■平和を考えているか
 平和ってなんだろう、戦争が無い状態が平和だというならば飢餓や圧政や貧困でも戦争さえ無ければ平和なのか、という素朴な疑問を寄せられた際にはどうこたえるべきでしょう。

 本日は終戦記念日、昭和20年の今日、日本はポツダム宣言の受諾を公式表明し第二次世界大戦は終わりました。欧州大戦と呼ばれた第一次世界大戦から二十余年の時を経て始まった第二次世界大戦は、航空機と潜水艦といった各種兵器はより洗練され、大洋狭しと繰り広げられた航空母艦同士の艦隊決戦やレーダーと電子空間に及んだ戦争となった。

 核兵器が使用された最初であり現在は最後の世界大戦となっている第二次世界大戦は日本の降伏により終戦を迎えることとなりました。これは基本的人権と人間の尊厳や海洋自由原則といった国際公序が普遍化するというかたちでの終戦となり、一応、戦後の日本では平和が訪れた日、として認識されています。現実問題として本土決戦が避けられたが。

 無条件降伏と占領統治、憲法改正と平和憲法、朝鮮戦争と東西冷戦。昭和は遠くになりにけり。これは昭和の終焉と平成から令和への移ろいを経まして落ち着いた2023年という視点から見返しますと、当時と現代の価値観や死生観が根本から異なりますし、なにより国際公序への考え方や情報共有の水準が違い過ぎる点が当時を想像することが難しくなる。

 終戦記念日は、台風七号の本土直撃が重なることとなり、これは稀有な事例とはいえるのでしょうが、終戦記念日政府行事はCOVID-19感染拡大下を思い出させるほどの縮小開催となり執り行われました。これは災害との重なりではあるのでしょうが、それでもNHK中継を含め、ああ終戦か、という程度に受け止められている様な印象さえ受けてしまう。

 しかし、終戦記念日、日本にとり終戦記念日とは日露戦争でも日清戦争でも応仁の乱でもなく、やはり終戦といえば第二次世界大戦の終戦を示すものであり、ここから日本の価値観が大きく転換した事はやはり事実なのでしょう。一方で、終戦記念日、という考え方を世界、特に周辺国や友好国と今までのように共有するには限界が近いようにも思えます。

 終戦の価値観、一応、ロシアや中国などは対日戦勝記念日を掲げていますが、問題は日本が示した国際公序と似た、つまり力による現状変更による人間の尊厳への侵害や、海洋自由原則に相反する海洋閉塞主義の強要、単に対日戦勝記念日を国際公序と異なる正義の闘争ではなく、当時の競合国の脱落を記念したかたちとなっているのではないか、と。

 国際公序という視座に立てば、連合国の制度はそのまま国際連盟から国際連合への発展的昇華により、第二次世界大戦のような戦争は根絶されるはずでしたが、現実はそうなっていません。結果的に日本は戦後、戦時中までの軍事へそそいだ国家資源を経済と教育に注いだことで経済的な発展を実現することとなり、その発展は新しい義務を生んでいました。

 安全保障という視点からは、これが終戦記念日とその後の価値観は、果たして平和というものに指向しているのだろうか、少し考えさせられることがあるのです。むろん、これは一国平和主義という視座から早い時期に批判は存在していましたが、結局のところ平和を目的とせず手段とした平和憲法を堅持しているため、それが国民の選択ではあるのですが。

 平和憲法が問題ではなく、平和を目的とした憲法が必要であり平和を手段とし、結果的に国民が平和を享受できない状態であっても瑕疵は無いとした理念を憲法が利用されていることが問題であり、この状況が放置されているのは、果たして平和というものを正面から考えているのか、考える努力をしているのかという素朴な危機感を受けてしまうのです。

 反撃能力。もう一つ考えさせられるのは、2022年末に示された国家安全保障戦略に明示された反撃能力という概念で、これは伝統的な専守防衛の終焉を意味する、つまり、周辺国が日本本土に侵攻するまでは戦わず、逆に日本が侵略されて初めて、国土で国民の居住する国内で大規模な地上戦と国民を巻き込み戦うという従来の理念を脱したということ。

 専守防衛は、国土が戦場になる、という前提があり、つまり侵攻された地域の住民や工業地帯や人口密集地の住民は戦闘に巻き込まれるか、ミサイルや航空攻撃による被害をある程度耐えなければなりません、絨毯爆撃を第二次世界大戦のように行う可能性は低いものの、ミサイルや自爆型無人機が数千から一万数千来ることは想定しなければならない。

 政治はこうした視点から、国家防衛戦略に今後防衛力整備により国土戦を避ける防衛体制への転換を目指すとしています。もちろん、これは、結果としての平和を国民が享受するには、少なくとも、本土決戦主義、と揶揄されるような防衛政策よりは国民の生命財産に資するものなのかもしれませんが、憲法解釈の限度を超えているのではないか、とも。

 本土決戦主義からの脱却は、個人的には必要だと考えます、けれどもその際には一内閣の憲法解釈ではなく、憲法改正を伴うべきであり、また政権与党以外の政党は現状の矛盾と、そして本土決戦主義の是非を含めて議論する、またはそうした政治家を国民が選び代議士とする選択肢があって然るべきなのですが、国会の議論はそこまで踏み込みません。

 神学論争と揶揄されている通り、本来ならば現在の本土決戦主義という専守防衛の堅持か、反撃能力という国土と国民を戦争に巻き込まないが域外での戦闘を基本とする防衛戦略への転換かを議論すべきですが、具体的な防衛戦略まで言及することなく、後追いで、泥縄式に防衛政策を追認するか、議論せず金額などを批判するという状況に留まります。

 大和とか敷島とか扶桑とか、いっそ日本国家が日本という名前を超えることができたならばこうした忸怩たる思いといいますか、敗戦や終戦というものの見方を自分事ではなく歴史として受け止められたのかもしれませんが、結局は自我自存の拠り所として共通する価値観、一億の日本人が共有できる価値観を直ぐには見つけられず、今に至ったよう思う。

 日本が敗戦したのであり、日本が続いている。ただ、世界を見れば第二次世界大戦の延長線上で現在の各国情勢があるわけではありません、第二次世界大戦とニジェールクーデターは関係ありませんし、ロシアはそのつもりかもしれませんがロシアウクライナ戦争にナチスの影響はありません、台湾海峡もアフガニスタンのタリバン政権も、現代の問題だ。

 平和について。そもそも普遍的な価値観と思われる平和についても、実のところその定義は何かと問われれば確たる答えを見つけられていないのではないか。単純に平和を戦争がない状況というならば、例えば飢餓は平和か、差別は平和か、投獄や強要が社会に満ちていた場合でも戦争が無ければ平和なのか、これ即ち、平和を考えていないだけでは、と。

 終戦記念日は平和を重視するという視点では同意します、しかし、日本が参加した国際公序を守るための日本の責務に目を背ける口実となっていないか、平和とは戦争を考えない事ではない、こうした視点が必要なのではないか。昭和は遠くになりにけり、しかし次の戦争というものを回避する努力を十分行っていないよう、いま危惧してしまうのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-千本上立売,台風と蒸し暑さとかき氷にオムライス

2023-08-15 18:20:27 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 はるなさん暑さに弱いのです。

 終戦記念日ということでなにか終戦と云いますか戦時色ならぬ戦時食的な話題を考えたのですが暑さにやられそうになりまして、しかもお天気も急に蒸し暑い中の冷たい風がひゅうと吹くようになり、これは一雨来るなあと歩みを少し早めると、眩暈、熱中症も近い。

 台風の最中、ではなく台風接近の最中にちょっと出歩いた際、余り物暑さにやられまして、こういう時は即物的な涼しさがほしいと思い立ちふと立ち寄ったのは千本今出川を少しのぼりましたところ。ちょっと雨の気配も近い事だし、うろ覚えの雨宿り記憶を辿ります。

 ポンジーズテーブル。千本上立売の千本通東側にある古民家改装の静かなお店です。嗚呼美味しそうだ今から行ってみよう、と思われる方は東海道新幹線は勿論まもなく京都市営地下鉄さえも台風の為に運転打ち切りの予定ですので、台風が過ぎるまで待ってほしい。

 実はこの日、暑かった、写真には曇天で涼しそうに見えるのですけれどもそうではなく、曇天の夏の京都はめちゃくちゃな蒸し暑さで、一度流れた汗はかったく乾くことなく、しかも汗は気温で生ぬるく次の汗を滝のように生むという変な夏独特の悪循環で苦しむ。

 かき氷、そう実はこのお店の目的はかき氷でありまして、ミルクフラッペのようなヨーグルトフラッペのような、いうなれば南九州しろくま、という印象の、そこにナッツと黒糖とがじゃりじゃり入っていまして、要するに食べるかき氷、がおいしくと頂ける店です。

 写真を撮っている間に溶けてしまいそうな、それでもミルクのそれだけで仄かにというよりもしっかりと甘いかき氷に、しっかりと小倉餡が載っているのですから、疲れている時の栄養補給にも効果があるのではとおもえるほど、がっしりと重みが有り、そして冷たい。

 雨も続いている事だしこのままランチにしてしまおう、かき氷というデザートは本来食事の後なのかもしれませんが、体温が下がってランチする余裕も出た、というこの好機を逃さずに美味しいものを頂く事としました。なににするか、メニューを眺めるもういちど。。

 小倉餡の載ったかき氷を最初に見た際には、こんな大きいの食べられるかなあ、と、夏バテも気分を貶めているのでしょうねえ、憂鬱にはなりましたが、食べると火照った身体が冷えてゆき、冷えた分だけ食欲を回復させる、不思議なもので夏を一日乗り越えられたか。

 オムライスの上にハンバーグが載っている、ここはかき氷の上に小倉餡を載せたり、載せる達人のお店ですけれども、そんなオムライスがビーフシチューのようなデミグラスソースの上に浮かんでいまして、肉汁を湛えたハンバーグをきり分けると溢れておいしい。

 一つに全部載せてしまうところが不思議な味の調和を生む。デミグラスソースがビーフシチューのような味わいを醸していまして、この感じこれは、もう十五年ほど前に閉店してしまった船岡山の反対側にありました洋食屋さんのビーフシチューを少し思い出します。

 終戦記念日、思ったものとは違うものを頂いたわけですが、こういうものを自由に食べられる時代というものが、平和の定義というか戦後の定義といいますか、この日常が続くようにする事こそが、もちろん手段は色々ありますが大事なのだろうなあ、と思いましたね。

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ウクライナ情勢-ハリコフ緊張,アメリカのF16機種転換訓練支援方針とドイツのペトリオットミサイル追加供与

2023-08-15 07:00:04 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 本日は我が国では終戦記念日ですがウクライナでの戦闘は関係なく続いています。

 アメリカ政府はウクライナ空軍操縦士のF-16戦闘機機種転換訓練を受け入れる方針だ、ホワイトハウスの決定をNSCアメリカ国家安全保障協力会議のカービー戦略広報担当調整官が13日までに発表しました。これはアメリカではCNNが日本時間8月13日1654時に報道しています。ただ、その受け入れ開始時期について明確な発表はありません。

 F-16戦闘機はシステムの戦闘機であり、単純な操縦技術だけでは飛行させることは出来ません。市の上で訓練には英語が用いられ、また操縦士に加えて整備士や補給要員の養成も必要となるために時間がかかることも事実であるとカービー調整官は発言し、欧州がF-16操縦の余力がなくなった場合にアメリカが支援する、と厳しい条件を加えました。
■ハリコフ再侵攻
 ハルキウ州、第二次大戦中のハリコフ戦車戦で有名となりました地域へロシア軍が昨年に続き再度攻撃の徴候があるもよう。

 ロシア軍はウクライナ東部での再攻撃を強化している、NHKがウクライナのハルキウ州知事の発言を引用し8月13日2017日付報道において現状を報道しています。東部ハルキウ州のクピヤンシク周辺は昨年ウクライナ軍がロシア軍から奪還した地域ですが、この地域でのロシア軍再攻撃が顕著化しているとのことで、ウクライナ軍と戦闘が続く。

 ハルキウ州知事の発言として、ロシア軍の攻撃はウクライナ軍が撃退したとしていますが、同時時に地元警察当局の発言として11日と12日にもロシア軍攻撃が行われたことから、周辺住民190名を避難させたとしています。東部地域はロシア本土からの兵站線が近いことでロシア軍の補給が維持されており、南部戦線と違い活発な行動が見られます。
■ペトリオット追加供与
 ミサイルそのものの備蓄は増産砲身こそ示されていますが減り続けている現状が不安要素です、しかしこれが生命線でもある。

 ウクライナ軍は新たにドイツからペトリオットミサイル2セットの供与を受けた、ゼレンスキー大統領が12日に公開した動画の内容をNHKが8月13日2017日付報道で報じました。この装備はロシア軍の航空攻撃などから数千名の人命を救うことになるとして、ペトリオットミサイルシステム追加供与を決断したドイツ政府に謝意を表明した形です。

 ペトリオットミサイル追加供与について、現在ウクライナ軍はキエフ首都圏の防空にペトリオットミサイルを重点配置しています、これは文字通りほかに回す余力がないための苦渋の決断ですが、今回の供与により前線防空へペトリオットミサイルをまわす余裕が出た可能性がありますが、ロシア軍は逆に地方都市へのミサイル攻撃を強化しています。

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【防衛情報】パトリア6×6装輪装甲車とAMV装甲車Vegvisir周辺認識システム,エイタン装甲車配備開始

2023-08-14 20:21:41 | インポート
■■■防衛フォーラム■■■
 今回は陸軍関連の話題を集めました。自衛隊が導入するパトリアAMV装甲車に関連する話題もありますし要人輸送ヘリに限定されている機種の発展という話題など参考となる点は多い。

 フィンランド軍はパトリア6×6装輪装甲車91両を新規調達します、このパトリア6×6はパトリア社がかつて生産していたパシ装輪装甲車の延長線上にあるもので、スウェーデンやドイツとラトビアが参加するCAVS共通装甲車両システムとして開発しているもので、AMV装甲車のような第一線戦闘用ではなく各種支援任務などに当たる装甲車です。

 パトリア6×6装輪装甲車は既に試験用に3両が2022年にフィンランド軍へ納入されていて、今回の契約は本格量産への調達であるとともに70両のさらなる追加オプション契約を含むもの。パトリア社ではパトリア6×6について今回発注分は2023年内に納入、2060年代まで運用する将来装甲車両としてフィンランド軍を支援することが期待されている。

 パトリアAMV装輪装甲車のような高い防御力をもつモジュラー装甲車は装甲戦闘車や自走迫撃砲に自走防空システムや戦車駆逐車など様々な任務に対応することが可能ですが、同時にその取得費用は高価であり、物資輸送や戦闘支援用まで十分な数が調達できない現実があります、パトリア6×6はこうした支援用として開発された汎用装甲車です。
■エイタン装甲車配備開始
 装甲車の防御力を国単位で考えるイスラエル、徴兵制でわが子が乗るのかもしれないという意図があるのだろうけれども我が国のアルミ製73式装甲車はしかし。

 イスラエル国防軍は新型のエイタン装輪装甲車の受領を開始しました。最初の配備部隊となったのはナハル歩兵旅団で1948年に創設されたイスラエルで最も古い歩兵旅団のひとつ。イスラエル軍ではさすがにM-3ハーフトラックは退役しましたが膨大な数を導入したM-113装甲車の後継車両が喫緊の課題で、エイタン装輪装甲車が開発されました。

 エイタン装輪装甲車はM-113装甲車が原型車では薄いアルミ装甲を有しているのみで、あらゆる対戦車火器に対する脆弱性が指摘されていました。この為イスラエルではゼルダ増加装甲システムを開発し装着しましたが、増加装甲の過剰な装着は懸架装置や駆動系に負担を与え続け、結果的にM-113装甲車の寿命を縮めることとなってしまっている。

 M-113装甲車の後継であるエイタン装輪装甲車はM-113にゼルダ増加装甲を装着した場合と同等以上の防御力を付与し、2014年ガザ治安作戦における戦訓などが反映されています。イスラエルでは人的資源の乏しさから重装甲車両志向があり、メルカヴァ戦車車体を応用したナメル装甲車が開発されていますが、エイタンは半分の費用で調達可能です。
■パトリアAMVを改良
 自衛隊が導入するパトリアAMV装甲車にも搭載すべきと思う様な操縦手にも車長にも戦闘能力を底上げでⓀる装備と思う。

 クロアチア陸軍はパトリアAMV装甲車のVegvisir周辺状況認識システム実験を実施しました。これはAMV装甲車を開発したパトリア社がオプションとして最近開発したもので、車体上部に複数のカメラを配置し疑似合成的に360度すべての空間画像を一体化、社内でゴーグルを装着した操縦者や車長に車外にいるような光学情報を供します。

 Vegvisir周辺状況認識システムの試験にはクロアチア陸軍機械化旅団第1機械化大隊、通称タイガース大隊が協力、4両のAMV装甲車に装着し12時間にわたり走行しました。具体的には走行中の待ち伏せ攻撃などを車内から、従来のペリスコープによる狭い視界ではなく広い視野で把握し、必要ならばRWS遠隔操作銃塔により対応する試験です。
■ヴィクトール防空システム
 自衛隊のような高度な装備ではなくしかし航空自衛隊が廃棄した140基ものVADS機関砲は維持保管しておいた方が無人機攻撃を受けた場合に安心だ。

 ウクライナ軍はチェコ製ヴィクトール防空システムの追加配備を実施しました。ヴィクトール防空システムはトヨタ製ランドクルーザー70の車体に大部分にチェコ製ZPU-2-14.5mm重機関銃を双装装備したもので、一見して安普請な、途上国などで武装勢力が多用するテクニカル武装ピックアップトラックを連想させるものですが実際は違う。

 ヴィクトール防空システムに搭載されるものはチェコのエクスカリバー社が開発した見越し角計算機と暗視装置を併用した照準器が搭載され、有効射程は2㎞です。一見非力には見えますが、ロシア軍ら数千機をウクライナに向け投射しているイラン製シャヘド無人機に対しては極めて高い性能を発揮し、15両が今回募金で製造され譲渡されました。
■エストニア製無人車
 現実問題で今の普通科隊員の装備は戦闘防弾チョッキの普及を踏まえて徒歩機動では重すぎる為にこうした装備化、それを買えないならばいっそ騾馬でも飼うべきだ。

エストニアのミルレムロボティクス社製無人車両が欧州国際共同計画i-MUGSプロジェクトにおいて実用試験に成功しました。i-MUGSとは統合モジュラー無人車両システムを示し、エストニア、ラトビア、フィンランド、そしてベルギーとフランスが開発計画に参加、今回は先行開発された実証車両が歩兵部隊との共同試験に成功しています。

 i-MUGS統合モジュラー無人車両システムは1/4tカーゴと同程度の多目的無人装軌車両で、現段階では歩兵に随伴し必要な装備の運搬支援に当たるものとされています。将来には無人地上戦闘システムや工兵支援車両への応用され、機甲部隊に先行して地雷原などの啓開任務や歩兵を支援する無人自走対戦車ミサイル発射器などが期待されます。
■ドイツ,プーマ再試験
 プーマの取得費用が89式装甲戦闘車の倍以上と聞いた際に真剣に再生産すべきと思ったのは十年前の話です。

 ドイツ連邦軍は不具合の相次いだプーマ装甲戦闘車の強度実戦評価試験を実施しました。強度実戦評価試験は第33装甲擲弾兵大隊第2中隊がムンスター戦車学校射撃訓練場において実施し、プーマ装甲戦闘車18両とレオパルド2A6主力戦車5両及び工兵部隊などが参加、その支援に第9装甲旅団と第21装甲旅団などが訓練支援に当たったとのこと。

 強度実戦評価試験の実施期間は2週間、初期には機能別訓練や初歩的な訓練は行われ、徐々に戦闘射撃や降車戦闘などを組み込み、最後の二日間は総合訓練として実戦を想定した一連の流れを演練、この評価試験では良好な成績を収めたという。プーマ装甲戦闘車は今年初めのNATO演習で演習中に全車が故障機能不随に陥ったという苦い経験があります。

 プーマ装甲戦闘車は冷戦時代に大量生産されたマルダー装甲戦闘車の後継車両であり、マルダーの戦闘重量は33t、プーマは戦闘重量42tであり開発当時は卓越した防御力を誇っていましたが、駆動系や火器管制システムとデータリンクシステムに不具合が相次ぎ、更に車体管理システムの不具合から運用中に動かなくなるなどの致命的な問題がありました。
■オランダ,カラカル導入
 自衛隊では要人輸送ヘリコプターとして装備していますが、UH-2なんかよりは方面航空隊単位でこの機種を装備する又はライセンス生産して配備できれば輸送能力は画期的な程に強化される。

 オランダ軍は新ヘリコプターとしてエアバスH-225Mカラカル特殊戦ヘリコプターを導入します、ユーロコプターEC-725のエアバス型式名称であるH-225Mは、現在運用されているユーロコプターAS-532クーガー中型ヘリコプターの後継として導入され、納入は2028年から、14機を導入するとのこと。なお、AS-532は28年間運用されてきました。

 H-225Mカラカル特殊戦ヘリコプター導入の背景は、AS-532クーガー中型ヘリコプターについてメーカーによる延命改修により2030年までの運用延長が可能と示唆されていましたが、オランダ軍任務の拡大を考えた場合に新型ヘリコプターの必要性が示されたという。ヘリコプターはSOF特殊作戦軍に配備されギルゼライジェン基地に配備されます。
■チェコ,ジャッカル
 これこそ軽装甲機動車の後継で一つの選択肢となり得るのだけれども敵砲兵の曳火射撃に対する脆弱性をどうかんがえるべきなのか。

 チェコ陸軍はイギリススパキャット社製ジャッカル耐爆機動車両の導入を検討中です。これはブルノで開催中の国際防衛技術展においてジェームズカートリッジ国防大臣がイギリス防衛企業ブースを視察した際に示されたもので、ジャッカル耐爆機動車両はイギリスとチェコとの合同演習においてイギリス軍が派遣する定番の装備でもあるとのこと。

 ジャッカル耐爆機動車両、チェコ軍が導入を検討しているのは24両、珍しいオープントップ式の戦闘室を有する耐爆車両であり、自走に加えCH-47輸送ヘリコプターによる空輸に対応した機動性と、地雷原や側面からの待ち伏せ攻撃等を排除して長距離偵察を実施、イギリス軍はISAFアフガニスタン国際治安支援任務などでこの車両を活用しています。
■ハンガリーHIMARS中止
 あれはまあ首相の発言が響いているよね。

 ハンガリー政府はアメリカからのHIMARS高機動ロケットシステム導入を断念しました。これは2022年の段階でアメリカ側が輸出に難色を示していたことが画定していましたが、2023年半ばになりハンガリー国営MTI通信がその決定を国防省からの談話というかたちで遅ればせながらの報道となりました、ハンガリーのオルバン政権によるとのこと。

 HIMARSについてハンガリー軍は24両の導入を計画していましたが、ハンガリー政府がスウェーデンのNATO加盟を拒否したため、アメリカ上院のジェームズリッシュ上院議員ら超党派議員団がハンガリーへのHIMARS輸出へ難色を示し、7億3500万ドル相当の輸出交渉を中止させたとのこと。オルバン政権は民族主義的極右政権とされています。
■カラカルにNC621
 カラカルは後部ハッチこそ持っていないけれどもNH-90なんかと比較した場合胴体形状から小回りが利きそうに見える。

 フランスのエアバスヘリコプターズ社はH-225Mカラカルヘリコプターへの20㎜機関砲搭載試験を進めています、ピューマシリーズの最新型であるH-225Mは兵員25名を同時空輸可能であるヘリコプターで、後部貨物扉を有さないために軽車両の空輸能力には限界があるものの高い機動性を有しています、しかし搭載武装は機銃に限られていた。

 H-225Mカラカルヘリコプターに搭載し試験されているのはネクスター社製NC-621機関砲ポッドでM-621機関砲を内蔵しています、これまでカラカルにはFN-MAG軽機関銃航空機仕様のものが双装されたものを胴体に搭載していましたが、射程が限られていました。NC-621機関砲ポッドからの射程は2㎞に到達し、180発の弾薬を内蔵しています。
■ラトビア-NSM取得
 自衛隊の35年に渡るSSM大量取得は正しかった。

 ラトビア政府はNSM地対艦ミサイルの調達予算1億1000万ドルを承認しました。これは5月2日の閣議で少将されたもので2022年4月のラトビア議会で承認された国防資金法に基づく政府の権限として認証されたもので、国防資金法ではこのほか、2025年までに国防費をGDP比率2.5%まで段階的に増加させることも盛り込まれています。

 NSM地対艦ミサイルはノルウェーのコングスベルク社製、超音速ミサイルではなく亜音速ミサイルですがミサイル本体に低RCS構造を採用しレーダー反射面積を抑えている点が特色です。1億1000万ドルの予算にはNSMミサイル本体と移動発射装置及び標定装置、また予備部品や教育訓練支援と協力事業者の諸費用なども含まれています。

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【京都幕間旅情】JR西日本,台風7号計画運休-特急こうのとり・まいづる号と特急くろしお号行き交う京都駅

2023-08-14 18:28:10 | コラム
■臨時特急と快速電車
 台風に伴う明日の計画運休は身動きが取れませんが明後日の運転再開後はお盆休みUターンラッシュの関係上大変な混雑が予想されます。

 台風7号接近、これにより明日15日がJR東海などが大規模な計画運休を発表しています。予報円の中心はこの計画運休が発表された時点では愛知県の伊勢湾直撃経路となっていましたが、その後紀伊半島上陸に予報は動いていますが、計画運休は決定事項という。

 計画運休の15日は、基本的に日本の東西移動は不可能、東海道新幹線が止まっても近鉄の名阪特急がある、という認識はあえて捨てて、例えば九州域内とか、東北地方域内や北海道を除けば北陸本線や山陰線の移動という選択肢は考えない方が良いのかもしれません。

 問題は、16日です。帰省Uターンラッシュで、既に指定席券を確保されているという方は、台風が余程急減速しない限り、16日の明け方には台風は日本海側に出ている見込みです。ただ、自由席で移動する場合や15日からの指定席振替というのは、難しい可能性がある。

 新快速を真剣に検討してはどうか。経験則ですが帰省ラッシュの影響を新快速や快速電車は意外な程受けません、時間がかかる事は確かなのですが運休や大雨と強風の徐行が無い限り、東海道本線と山陽本線は時間はかかるが着実に移動する事が出来、代替経路です。

 臨時運行列車をしっかりと検索する。自由席主体の臨時列車というものがありまして、これは指定席や時刻表だけでは見逃されている場合があります、臨時運行列車の有無を紙媒体の時刻表臨時列車欄を確認するなど、ひと手間が安心の移動に繋がる事も実はおおい。

 新幹線を混雑していてもホームで一時間くらい待って、すし詰めでも新大阪から東京まではそれほど時間は掛かりませんので我慢するという選択肢もあるにはあるのでしょうが、明日一日の計画運休が及ぼす影響を16日連休最終日には留意して動く必要がありますね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-ウクライナ海兵隊900名イギリス訓練完了とロシア軍シャヘド136自爆用無人機コピー機の実戦投入

2023-08-14 07:00:06 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 自衛隊が水陸両用部隊創設に非常に大きな時間をかけた事を鑑みればウクライナ軍の改編は大車輪で進んでいる事になる。

 ウクライナ海軍歩兵部隊900名がイギリス海兵隊での訓練を完了した、イギリス国防省が13日までに発表した内容をアメリカのCNNが日本時間8月13日1549時に報道しました。ウクライナのゼレンスキー大統領は今年5月に海軍歩兵を海軍より独立させ独自の海兵隊とする方針を示し、また独立軍として兵力などを増強させる方針を示しています。

 イギリスには6500名規模の海兵隊が置かれ、所属は海軍ですが海兵隊員の必須資格として自衛隊のレンジャー課程にあたるコマンドー課程を修了しコマンドー隊員となることが求められており、加えて海兵隊のほかにイギリスはSAS特殊空挺部隊と対を為すSBS特殊舟艇部隊という特殊部隊を有しています。これらの部隊がウクライナ軍を訓練しました。

 海兵隊900名の訓練はイギリス国防省の半年間にわたる訓練支援計画の一環であり、詳細は省かれていますが複合ボート等を用いた強襲作戦や海浜障害物の爆破訓練、地対空ミサイルスティンガー操法訓練なども行われたとのこと。今回の志願者は従軍経験のない志願兵が大半だったとされ、訓練は想像以上に厳しかったとはなしているとのことです。
■シャヘド無人機
 このシャヘド無人機はロシア沿海州から東京や京都は勿論遠く福岡まで到達する真剣な脅威です。

 ロシアはイランのシャヘド136無人機をコピー生産開始の可能性が高い、CARイギリス紛争兵器研究所の調査結果を8月13日1033時CNN報道が報じました。ロシア軍はイランのシャヘド136無人機、シャヘド131無人機をゲラン無人機として大量に取得し運用していますが、7月にウクライナで回収されたロシア無人機残骸から新しい点が。

 CARイギリス紛争兵器研究所の調査結果によれば、機体構造や航法装置などの相違点からイランで生産されたものではなくロシアでコピー製造されたものが既に実戦投入されていることを示しているという。今回回収されたものはリバースエンジニアリングによりコピー生産したものとみられ、今後ロシアが大量生産することが危惧されています。

 シャヘド無人機については、イランが既にロシア国内へ無人機工場建設を進めており、2024年初頭にも量産体制が整うとされてきました、今回の無人機がこの工場において製造されたかについては示されていません。シャヘド無人機は低速で捕捉も難しくはありませんが2000㎞以上を飛翔し、安価であるゆえに投入数が多く深刻な脅威となっています。

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【日曜特集】小牧基地オープンベース2019【9】台風日本接近とハリケーンハンター(2019-11-09)

2023-08-13 20:22:18 | 航空自衛隊 装備名鑑
■台風7号紀伊半島へ
 CH-47とRF-4の写真を掲載しつつ話題は時事的となりますことをいつものことながら日曜日という事でお許しください。

 台風7号は太平洋上を北上し12時間以内に紀伊半島が暴風圏に入る、気象庁予報園によれば終戦記念日からその翌日にかけ近江八幡付近を通り日本海に抜ける模様です。小牧基地の航空祭話題とともに、こうした台風の話題を記しますと、またか、と思われるか。

 C-130H輸送機が配備されています小牧基地ですから、思い切って台風観測のためにC-130H輸送機を充ててはどうか、もちろん現在のC-130Hは老朽化がすすんでいますので実際にやるとなれば無人機を用いるか、C-130Jを新たに導入するか、となりますが。

 アメリカ軍にはハリケーンハンター、第53天候偵察飛行隊という部隊が存在します。いや天候偵察ならば自衛隊も上げている、航空祭でも最初に富んでいるだろう、と思われるかもしれません。しかしこの天候偵察飛行隊はハリケーンに飛びこむのが任務なのです。

 ハリケーンハンターの重要性、日本の場合はタイフーンハンターとなるのでしょうか、日本版ハリケーンハンターが必要だ、という視点です。アメリカではハリケーンに対してC-130輸送機改造の気象観測機を実際に突入させその内部から気象観測任務に充てている。

 気象庁は本日1400時から臨時の記者会見を開き、太平洋上をゆっくりと北上する台風7号について15日には紀伊半島など近畿から東海に上陸するとしており、東海地方と近畿地方について総雨量は平年8月1か月分を超えるおそれがあるとの見通しを示しました。

 西日本と東日本では土砂災害や低い土地の浸水や川の氾濫のほかに暴風にも厳重に警戒するとともに、また高波にも警戒するよう呼びかけています。南西諸島に滞留し大きな影響をもたらした台風6号、これが北上できなかったのは太平洋高気圧の影響が大きい。

 太平洋高気圧は、最新の観測によれば北太平洋上に移動している状況で、この影響を受けない事から台風がそのまま日本本土に接近している、という気象状況です。つまり太平洋高気圧もお盆なので日本本土上空から太平洋上へ帰省した、というところでしょうか。

 台風6号についても、あそこまで長期間沖縄上空に滞留するとは予報の限界であり、長期間沖縄上空に滞留し那覇空港が閉鎖されるという可能性をもう少し早く予報できていたならば、沖縄の主力産業である観光業も影響をある程度局限できたのではないか、と。

 軍事的に自衛隊がやらなければならないのか、と問われますと寧ろ、運休で大変だねえ、とだけでは済まない安全保障上のリスクとして巨大台風は警戒しなければなりません。安全保障リスクは特急料金のように払い戻しだけで済むというものではないのですから。

 日伊合同訓練、台風6号を思い出しますと、8月2日に予定していたイタリア空軍との共同訓練の開始が台風に滞留により遅延したという事例を思い出すところです。これは純粋な訓練でしたけれども、航空部隊の展開能力を気象状況は左右してしまうということ。

 ハリケーンハンター、その始まりは1944年にそもそも第53天候偵察飛行隊は創設され、大西洋上の気象観測を任務としていました。当時は第二次世界大戦の只中、アメリカ本土から欧州戦線までの海上輸送は連合軍の命運を左右する重要任務地なっていました。

 Uボートの脅威もありましたが、それ以上に防空やハリケーンにより海上輸送が停滞する可能性があり、ハリケーンの進路を正確に予測することは船団に安全な航路を選定させる、というものになっています。気象情報というものはそうした意味で機密情報でした。

 気象予報、歴史を紐解けば第二次世界大戦中に日本でも明らかにきしょう観測により巨大台風が接近しているものの、この情報を平文で流した場合には日本周辺気象情報が漏洩するという事で被害を前に発表できない苦渋の決断もあったと記録されています。

 気象衛星の時代、宇宙空間から雲の動きを写真情報として見ることができる気象衛星は気象予報に大きな進歩をもたらした、といわれているところですが、しかし同時に気象衛星の映像は画像情報に限るもので、実際に気象観測は大気に触れなければできません。

 ゾンデなどの気象観測装置打ち上げを継続している背景には、気象衛星の情報とともに合わせて総合的に観測する必要性が今なお高いことをしめしているのですが、これは同時に、触れられるものならば触れる必要がある、航空機気象観測の重要性にもつながるもの。

 ハリケーンハンター、台風よりも高い高度から一気に台風の目の中に航空機で突っ込んでゆく、何年か前にCNNがハリケーンハンターの観測任務を取材した様子が放映されていましたが、南シナ海の中国人工島を観測する任務よりもCNNクルーは緊張していた。

 C-130輸送機でもかなり揺れるとともに、過去には数回しか空中分解の事故はない、とハリケーンハンターの広報の方が安心させようとしていましたが、これは考えようによっては、と逆効果になるような印象でして、まあ、日本が行うには相応のリスクもあります。

 巨大台風、しかし現代の気候変動時代、台風の巨大化が顕著な時代には日本版ハリケーンハンターというものの必要性をかなり高いものとして考えてしまうのです。狩野川台風に第二室戸台風や伊勢湾台風などの規模を彷彿させる台風が再来しているということ。

 台風災害史を紐解けば、1950年代前後というものは巨大台風災害が大きかった、それも伊勢湾台風では5900名もの人命が失われ、1995年の阪神大震災までは戦後最大の災害といわれ続けていました、2011年東日本大震災はこれを上回ってしまいましたが。

 巨大台風の小康期間が1960年代から2010年代にかけての半世紀であったのではないか、これを公共事業による防災インフラの整備が防災基盤強化に繋がり被害を抑制していた、こうした視点から見直すべきではないかと考えるのです。いわばそれは慢心、と。

 公共事業については、1990年代の橋本内閣時代以降、歳出削減を美徳とする視点から抑制的となり、脱ダム宣言など実は高い生産性を有する地域を防災インフラにより防護している、という重要な視点を単に歳出という視点から忌避させる結果となったのではないか。

 生産性の高い地域、日本の場合は都市部が河川に沿って発達し、実はその河川は活断層上の脆い地層に沿って形成されているものが多い故に日本の都市部ほど活断層上に広がっていることが多いのですが、同時に河川沿いの都市部は水害リスクというものが常に。

 ハリケーンハンターを日本が仮に一定の予算を投じて実施した場合でも、考えてみれば正確に進路を予想したとしてその台風の進路を変えることまでは出来ません。けれども正確に予報を組み立てられるからこそ、防災インフラと被害の欠缺を補う事ができる。

 日曜特集というよりはなにか時事的な防災話題の紹介となってしまいましたが、台風6号が接近していることだけは確かです。東海道新幹線は15日、名古屋と新大阪間の終日計画運休を決定したと先ほど報道もあり、先ず備えられる備えをしておきたいですね。

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【京都発幕間旅情】JR西日本-N-700系新幹線の新大阪駅情景とともに台風7号の東海道新幹線計画運休の情報

2023-08-13 18:24:19 | コラム
■新幹線計画運休の予定
 お盆の真っただ中に日本に上陸するという台風7号はどうやら近畿地方直撃のもよう。

 新大阪駅の山陽新幹線ホームから望む九州新幹線の様子とともにお盆の繁忙期を直撃した台風に対するJRの計画運休の情報を少し見てみましょう。NHK報道によれば本日1223時報道では、15日に計画運休、14日と16日は計画運休を実施しないとしています。

 JR東海は15日を計画運休とする方針を示しており、終日に渡り全線もしくは一部の区間で計画運休を行うとのこと。終日全線もしくは一部、という表現ですので要するに15日には東京と新大阪を、少なくとも新幹線では移動する事は出来ない、ということになる。

 14日と16日は計画運休を行わない、としていますが、明日14日については強い雨や強い風、規定以上の雨量や風速を観測した場合には運転取りやめがあるということですので、安全に移動できるのは本日までという事になるのでしょうか。早めの行動が必要ですね。

 JR西日本によれば台風7号の接近に併せて15日から16日にかけ、運転見合わせや運転取りやめの可能性があるとのこと。これによりきっぷ払戻手数料を台風対象期間に限り無料としまた変更手数料なども無料で行うとのこと。移動の際には最新の情報が必要です。

 山陽新幹線の計画運休については15日、新大阪と岡山駅の区間で行う可能性があるということですので、東海道新幹線ほど明確に計画運休が発表されているわけではありません。ただ、こちらも強風が見込まれますのでダイヤの大きな乱れは否めないでしょう。

 お盆の次期ですので間が悪い、という印象と共に、新幹線が脱線する程の暴風ではないのならば遅延見込みはあっても強風がやむまでは駅で待機し輸送機関の使命というものを考えて欲しい所ではあるのですが、輸送機関の使命よりも安全第一、ということなのでしょうね。

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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:滋賀-長浜,雪風迎える黒壁スクエアで頂く氷菓ひとときの涼み

2023-08-13 07:00:13 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 台風七号接近下では遠出も憚られるところですが近場で美味しいものを頂きたい、冷たくて。

 熱い、暑いというよりも熱いのです。だから京都を出て琵琶湖沿いをお散歩していると気分がまぎれる気がするのです、そこで舞鶴とかに行ってしまうとフェーン現象で物凄く熱くなっている故にたいへんなのですけれども。そんな中で北陸本線の長浜へ行ってみた。

 雪風。新しい88艦隊の特集記事にてセンサーノード機の説明に“戦闘妖精雪風”の話題をコメント頂きまして、20年ほど前か当時DVDが出ていた頃は月刊軍事研究などで紹介されていたのを思い出しますが、原作もアニメも未見、雪風といえば駆逐艦を思い浮かべる。

 かき氷。雪風という事で雪繋がりというのではないですが、暑すぎると涼みたい故にクリームソーダのような氷菓への憧憬が広がるのですが、暑いが熱いになりますと、緊急冷却といいますか、そう、かき氷のようにすぐさま冷却できるものを頂きたくなるのですよ。

 叶匠壽庵。雪風の模型がさらっと並べられているのは長浜市、JR長浜駅から少し古い町並みを散策し、川重というC-2輸送機でも造っていそうなお店で九谷焼なんかを買い求めた先、元浜町の黒壁スクエアというアーケード街、雪風模型の少し先に甘味処が、あります。

 いちごかき氷、即物的な夏気分を満喫するには、こういうストロベリーレッドの景色を目の前に広げてみるのはどうでしょうか、写真を撮っている寸秒で刻一刻と溶け行くかき氷を目の前に、練乳で白雪気分をさっと振り掛けて割増したうえで、そうさくっと氷を掬う。

 雪崩を起こさない様に慎重にスプーンを進めて、そして時折敢えて熱い番茶を口に含み、すこしぶるると震えた寒さの口中とともに、しかし陽炎がでていそうな坪庭をふと眺めつつ、またかき氷、イチゴの部分の甘酸っぱさを運んで、そう火照った体温が下がってゆく。

 長浜はレトロ商店街ありビール醸造所あり城郭あり寺社仏閣あり北陸本線あり琵琶湖あり、そして叶匠壽庵あり。昔は長浜というとこの新快速の終点かあ、と思っていたところですが、実際散策してみますと、奥深く街の香りひとつとって、また行きたくなる風情です。

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