1991年にアルプスで奇跡的に見つかった、アイスマンの話は、日本でも有名である。5300年ほど前のリアルなミイラの研究からいろいろ当時のことが判ってきた。
45歳くらいの男性で、海抜700メートル程度の土地に住んでいたアイスマンが3000メートル級の高地で、矢を受け出血多量で亡くなる。刺青をしていたので、何らかの宗教を信じていたのかもしれない。
さて、たまたま見つけて、読み始めた「イヴの七人の娘たち」(ブライアン・サイクス著 ヴィレッジブックス)。ミトコンドリアのDNA研究で母系の祖先研究に貢献した科学者の著作だそうだ。その中に研究のはじめにアイスマンのDNAを分析した記述がある。
アイスマンのDNAを分析したところ、現代のヨーロッパ人のDNAに近いということが検証されたそうである。これは、このアイスマンが偽物でないという貴重な情報となったが、その検証の際に、比較検討された現代人の女性の方がいらっしゃる。
そして、その方(マリー)は、研究者から自分がそのアイスマンと親戚であることを知り、そのアイスマンに対し特別の感情で抱くようになったそうだ。他の多くの人が、大昔の一つの研究材料と見ているのに対し、マリーは生身の親戚として知覚したのだ。
私は今まで歴史を、小学生のころから学んできたが、DNAの研究成果など最近の科学的研究の成果を知ることで、最近はこのマリーのように、様々な登場人物を近しい先祖の話と見るようになってきているようだ。
先日ブログに、「天国に昇って御先祖と会話!」を書いたが、自分の中には、歴史や考古学を自分のリアルな先祖の話として実感できるようになってきている。せいぜい2-3世代前しか知らない私たちであるが、先祖をどう捕えるかで、周りの景色が変わってくる。
アイスマンも、遠い自分の祖先の親戚。つまり自分とも血のつながりがある。
オバマ大統領も極端な話ビン・ラディンも血のつながりがある(現世人類であるので当然)。
この複雑で混迷を極めている現代の中で、和解から平和への道筋に、アイスマンを気持の悪い物体と見る視点ではなく、遠い親戚として見る遺伝子研究の成果も重要なのだと思う。
<祖先との対話 1/4>
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