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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

歴史を傾聴する (傾聴力 5/10)

2018-05-02 | 第九章「愛」

 先日、所属するNPOの会報に持統天皇の参考文献を掲載するために、いろいろ今まで読んだ本などを眺めた。その中で気づいたことだが、その書籍の殆どは大なり小なり日本書紀の影響を受けているのではないかと。

 720年ごろに完成したとされる日本書紀は、持統天皇・天武天皇のころの政治体制の中から生まれた歴史書であるが、10世紀までは、朝廷による正式な講書もあり、その影響は平安時代ころまでだけでなく、1000年を遙かに超す、今にも非常に大きな影響を与えているようだ。他に参考にすべき情報がないこともあるかもしれないが、現代の小説や漫画などでも知らず知らずに日本書紀の術中に嵌まるかのようである。

 ただ、日本の文献だけでなく、東アジアの文献、近年著しい進歩がある考古学(木簡)、民俗学や比較宗教学などにも眼を向け、複眼で歴史を追う研究者の活躍も目立つようで、新しい時代の歴史解釈が開かれてくるのではと期待している。

 さて、私は、自分が最高権力者の持統天皇にあたかもなったような、高飛車の歴史も嫌いではないが、名も無い下級官僚が書いた、人間味ある木簡に触れることも好きだ。持統天皇のころの暦が裏に書かれた木片などを見ると楽しくなる。

 考えてみれば、私は父・母の二人から生まれ、親も四人の祖父母から生まれるように、数知れぬ祖先達のお蔭で生まれてきている。その数はネズミ算的で、一世代30年と計算すると、日本書紀の時代は約43世代前となる。単純に計算するとその時の祖先の数は8,796,093,022,208人、約8兆人となる。当時の人口は450万人程度なので重なっている祖先が多いことも分かるが、自分の祖先も文献上に出てくるような人物もあるかもしれないが、それこそ名も無き一般庶民も多かったかなと思うのである。そんな視点をもって、歴史を上から目線だけでなく、下から目線でも観てみると何かが変わってくるようだ。歴史がつながってくるような。

 イソップで北風と太陽の話は有名で、韓国の太陽政策はテレビまで登場したりする。冷たく力ずくで攻めるより、なにか温かく否定しないやりかたというか。歴史に関しても、北風のようにこうなんだといった勝者の視線で接すより、惨めにも敗退する人や、歴史にも登場しない人たちに寄り添うような、あたたかい視線で接すると、自分と歴史がつながってくる。

 写真は先日訪れた、近くの里山で撮った一枚。この道も、歩いていると現代だけでなく、戦国時代、奈良時代、そして縄文時代ともつながっている。

傾聴力 5/10

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