物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

電気カミソリ

2008-02-25 11:53:13 | 日記・エッセイ・コラム

つい数週間前のことだが、長年使って来た電気カミソリが壊れて動かなくなった。仕方なく新しいのを買ったが、前と同じオランダのフィリップス社のものを選んだ。電気カミソリはフィリップスに限る。

これは次兄が就職をしてはじめての給料でフィリップスの電気カミソリを購入していたのを見たからである。そのころは松下電器が下請けで生産をしていたと思う。

亡くなった長兄はブラウンの電気カミソリを愛用していたが、これは深剃りができるという理由だった。

学生の頃フランス映画ではじめて電気カミソリを使っているシーンがあって、便利らしいなと思ったが、まだそのころ日本にはなかった。私は頬にひげが伸びて来る方なので、電気カミソリは羨ましかった。

後年大学に勤めてから、羽仁五郎が対談か何かで彼が電気カミソリを嫌っているのを知って意外な気がしたものだ。

私の記憶がともかくも変なことだけ覚えていて本質的なことはどこかへいってしまうというよい例だろう。


武谷の処女論文の発見

2008-02-25 11:51:58 | 物理学

一昨日、いままで分かっていなかった武谷の処女論文のありかがわかった。これは台湾博物学会会報に出た論文であった。私は日本の地質学会誌を探していたので、見つからなかったのだ。

これは武谷が旧制の台北高校生のときの論文である。台北帝大教授の早坂一郎の英訳だという。出版は1936年(昭和11年)なので武谷が24、5歳のときの出版であるが,書いたのは1928、9年頃だから17、8歳位のことである。

量子電気力学の業績でノーベル賞を1965年に朝永やFeynmanと共同受賞した早熟の天才Schwingerがはじめて論文を書いたのは16歳のときだというから分野は違うが年齢的にはそれに匹敵する。

山へ登っては貝やかたつむりを採取してそれを分類したらしい。また若い学生の論文を英訳された早坂一郎先生の尽力と分け隔てなさがすばらしい。武谷が学問のふるさとして台北帝大の地学の先生、早坂、丹先生たちとその学問の雰囲気を懐かしんでいた理由がわかる。

ローマ字でMituo Taketaniと入れて探したら、「台湾貝類資料庫」という中に武谷の論文が出ていた。そのPDFコピーがインターネット上から手に入りそうだったが、なかなか取り込めないのでメールを書いた。親切な人に出会うかどうかはわからない。しかし、やるだけのことはやってみた。

これで多分武谷の論文で現在のところ存在がわかっているものは尽くしたと思う。念のためにCitation indexを調べる必要があるが、これは大学に行って誰かの端末を使わないと調べることが出来ない。

ただし、このような発見は自分の体の中で興奮がない。自分が新しいことを研究して小さなことでも発見があると興奮してある種の満足の感覚が体を満たすものだが、今回はどういう感情も起きない。オリジナルのことをやらないのはさびしい。