3度ほどLeviーCivitaの記号の積について書いたと先日も書いた。
このことにはこの積で縮約した式も含まれる。これは3次元のときが一般的なベクトル解析で有用なのだが、私が半世紀ほど前に、必要としたのは4次元の場合であった。
実はちょっとした摂動計算を、すなわち、あるファインマン・グラフを計算をしょうとして、このLevi-Civita記号の積が出てきて、その縮約公式も必要になったのが、LeviーCivitaの記号の積に親しむいい契機となった。
それでも、これについて初めて書いたのは1985年のことで「テンソル解析の学習における問題点」というエッセイの一部としてこのLevi-Civita記号の積とその縮約公式を取り扱った。どの相対論の本にも、それらの公式は載っているのだが、それがどうやって導出されたのかはわからなかった。
それが研究と関連してどうしても導出する必要ができた。それで私のその当時の指導教官であった、Yさんに相談したら、代数的な導出法を考えてくれた。それで研究はなんとかできた。
その後、20年近くなってテンソル解析の古い本の中に一般化されたKroneckerのデルタとしての、Kroneckerのデルタの行列式を知った。それを「テンソル解析の学習における問題点」に書いた。そのときには研究で知った前の研究ノートを見たのだが、それがどういうものだったか再現できなかった。
しかし、数年してこの時の研究ノートを再度よく読んでその再現したのが、エッセイ「Levi-Civitaの記号の縮約・再論」であった。これは1997年のことである。
その後、有名な物理学者、今井功さんの著書『流体力学』(裳華房)に簡潔なLeviーCivitaの記号の積の導出法を見つけて、そのことをエッセイ「Levi-Civitaの記号の縮約・再々論」として2001年に書いた。定年退職の4年前だった。
最近になってこれらのエッセイの改訂に励んでいるのだが、その後私の見ることのできた本の中にこのことに触れるものも少なくはなかった。
そこらあたりを今の時点で総括したいと考え出している。
(2021.12.3付記) 私の小著『数学散歩』が海賊版としてpdfで配布されていたりするのは、実はベクトル解析の代数部分とかテンソル解析の初歩だとか、このLeviーCivitaの記号の積の導出だとか、その縮約をまともに論じた数少ない書籍だったからだと思っている。
現在では太田浩一さんの著書とかいいテクストはかなりの数ある。だが、この点に関しては述べたのは日本では早い方だったと思う。