「良い戦争と悪い平和はあったためしがない」とはB.フランクリンの言った言葉だそうである。今朝の朝日新聞の天声人語で知った。
これはイラクへのアメリカの攻撃の戦争とそれを支持した小泉元首相を批判した文章でもあった。もっとも新聞の常として真っ向からこの戦争を批判した形にはなっていない。
天声人語の担当者は朝日新聞でも名文家で、その見識も高い人である。大抵外国への特派員を経験した人で、その視野も日本人としてはなかなか広くて、狭隘な視野の持ち主ではない。いつもなんらかの示唆を得ることが多い。
1月の私たちの雑談会で、フランクリンのことを知人のT先生から話を伺った。フランクリンは外交官としても政治家としても、また科学者としてもユニークな人物であったらしい。
そういえば、日本でもその人間性とかでも高く評価されている、物理学者のC. N. Yangがこのフランクリンが大好きで、そのためにフランクリン・ヤンと呼ばれていたとかである。
この Yangはノーベル賞をとった、素粒子の弱い相互作用でのパリティーの破れの研究とか、Yang-Millsによるゲージ理論とかで有名でもあり、統計力学の分野でも有名であるが、ハード・ワーカーとして知られている。
Yangは1965年に京都で行われた、中間子論30周年の国際会議の後で、イギリスの物理学者のKemmerと一緒に広島大学の素粒子論研究室を訪れたことがあり、そのときに私は学生だったので、コロキュウム室で先生方と一緒にYangの話を聞いた。
彼は中国人であるから、漢字を読めるので、小黒板の週の予定表にあった散乱の字をみて、あれはScattering theoryのセミナーですねと聞いた。
後で、彼の小さな著書「素粒子の発見」を研究室の図書室に送ってくれた。林一さんの訳本がみすず書房から出たのはその後だった。
そうですね。フランクリンが独立戦争に反対したという風には聞いていません。先日のフランクリンのことを話してくださった、英語の先生からも。
もっとも人間というものは自分自身については自分の言った道徳なり、ルールの適用範囲に入るとは考えないものなので、それは例外と思っていたのかもしれません。それでは論理が首尾一貫しないという非難はありうるでしょうが。
しかし、フランクリンの言もまゆにつばして、聞かねばならないでしょうね。
なお、外交官としてフランクリンが独立戦争を回避したいと努力をしたようですが、それはあまり実らなかった。
しかし、フランクリンの外交官としての働きはフランス等の国の援助を得て、アメリカの独立を果たすのに役立ったことは確かのようです。
奴隷解放運動の南北戦争は歴史的にもフランクリンの死後の話でしょうが、それでもフランクリンならば、どう考えたかというのは論理的には許されるでしょう。
ちなみに、先日の英語の先生の話では1976年7月4日のアメリカ独立宣言以後もまだイギリスとの4~5年間の独立戦争が続いたとのことです。
話をしてくださった英語の先生もそのことをアメリカ史に無知であったと告白をされていました。それはもちろん私も同様でしたが。