【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

首相が7月7日にローマ教皇と謁見へ

2009年06月25日 17時51分33秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 麻生首相が7月7日(予定)、ローマ教皇ベネディクト16世と謁見することが固まりました。キリスト教カトリック信者にとっては最高の栄誉です。Pope(ポープ)は日本語では「ローマ教皇」と翻訳すべきですが、おそらく戦後のいつからか「ローマ法王」と翻訳されるようになりました。「教皇」は天皇陛下の「皇」と同じ文字を使いますから、それを嫌って「法王」と呼ぶようになった、たぶん役所言葉だと私は思います。ローマ教皇は地上におけるイエス・キリストの唯一の代理人であり、天国への鍵をただ一人持つとされています。

 日本の首相とローマ教皇との会談は1999年の小渕首相以来ですが、ベネディクト16世に代替わりしてからは初めてです。アメリカ大統領はプロテスタントですが、例えば、ブッシュ大統領がローマ教皇に会った際には、「教皇がイラク戦争を許した証拠か?」という認識が広がるなど、欧州・米州を中心に世界政治に大きな影響力があります。南米の大統領がローマ教皇に本国では誰にもしない深々とひざまずく姿が映像として流れると、「うちの大統領はローマ教皇に謁見できるんだ」ということで支持がアップします。

 ですから、私たち、儒教や仏教の影響力が強い世界において、「ローマ教皇とは例えば○○みたいな人だ」、という例示は不可能です。とにかく「偉い人」です。

 もちろん解散しても総選挙までは首相ですから、7月7日前の解散はあり得るわけですが、私はローマ教皇謁見前に解散はしないだろうな、と思います。油断はしないでください。とはいえ、麻生太郎さんにとっても一生に一度の栄誉ですから、サミット前解散の可能性は低くなったと私は考えます。

asahi.com(朝日新聞社):麻生首相、ローマ法王と会見へ 伊G8サミットの際 - 政治

 【トリエステ(イタリア北部)=南島信也】麻生首相が来月8日からイタリア中部ラクイラで開催される主要国首脳会議(G8サミット)出席のためにローマを訪れた際、ローマ法王ベネディクト16世と会見することが固まった。ローマ法王庁(バチカン)関係者が明らかにした。

 首相は7月7日に法王と会見する方向で調整が進んでいる。日本の首相がローマ法王と会見するのは、99年1月に小渕首相(当時)が欧州歴訪の際にヨハネ・パウロ2世を訪ねて以来となる。国際会議で立ち寄った各国首脳に法王が単独で会うのは異例で、麻生首相がカトリック信者であることも考慮したものとみられる。


「西川社長の辞任を求める集会」25日、集中審議も要求 日本郵政

2009年06月23日 17時32分13秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 民主党ニュースによると、民主党、社民党、国民新党の国会対策委員長は23日国会内で会談し、日本郵政の西川善文社長の続投を政府が内定したことについて、集中審議を衆院、参院の予算委員会で求めることを決めました。ただし、衆院予算委は与党が3分の2を占めていますし、ねじれ国会の参院でも予算委員会の委員長は自民党から出ていますので、難航が予想されます。会談には今国会で郵政民営化、とくにかんぽの宿の追及チームの一人として活躍している川内博史さん=国会対策副委員長=も参加しました。

 29日(月)の株主総会を前に、25日に、「西川社長の経営責任を問い、辞任を求める緊急集会」を開くことも決まりました。

 ひとつ、世間に誤解があるようですが、株主は株主総会で社長を解任することはできません。株主総会は取締役を選ぶ場であり、株主総会終了後の取締役会が社長らを互選する形式になります。ですから、日本郵政の100%株主である国(与謝野財務相)は、西川さんを取締役から外さないと、社長からも外すことはできません。

 政府・自民党は西川さんに会長を打診したようですが、西川さんは「高木祥吉副社長(昭和46年大蔵省採用)の社長昇格」を条件にしたため、「官僚出身者を社長にはできない」との都合でご破算になったようです。西川さんが高木さんを社長に据えたいのは、総務委員会などの答弁を聞いていると納得できます。今後の焦点は横山邦男専務ら西川さんの出身企業(三井住友銀行)から連れてきた「チーム住友」の取締役再任に移りつつあります。

 とはいえ、やっと郵政見直しも世間の関心を呼びようになってきたし、国会での残り法案が少なく、民主党の情報発信力が落ちてきている時期ですから、良いアイディアだと思います。正直、西川社長を辞めさせることは、郵政民営化見直しの本質ではないと思います。多少、”抵抗野党”という感じがしますが、選挙が近くて国会が暇ならば、このくらいの抵抗野党ぶりは国民に対立軸を示すために必要だと思います。

 民主党の中堅幹部3人が協力して、日本郵政に関する「隠し球」を用意しています。弾を込めただけで、まだ“発射”していませんが、その前に解散になったらムダになりますので、ぜひ集中審議を設定したいところです。

民主党:日本郵政社長続投問題の集中審議、西川社長の辞任を求める緊急集会開催 3野党国対委員長会談で合意

 民主党はじめ、社民、国民新の野党3党の国会対策委員長会談が23日午後国会内で開かれ、日本郵政の社長続投問題での集中審議を衆参の予算委員会で求めること、25日に「西川社長の経営責任を問い、辞任を求める緊急集会」を開くことで合意した。

 会談後、記者会見した山岡賢次民主党国対委員長が明らかにしたもの。また、山岡委員長は、日本郵政の株主は国民で、殆どの国民は「かんぽの宿」売却に反対であり、国民、株主の声を聞くのが筋であり、(日本郵政が)自分たちで決めていいというのは、本質をずらした話であり、また、この問題を株主総会の29日を待たずに、事実上昨日決めたことは理不尽な話との指摘が会談の中であったことも明らかにした。

 他に、労働者派遣法の改正案を3党で衆院に提出すること、生活保護の母子加算復活については、必ず参院で法案を可決させる固い決意で臨むことでも合意した。

 会談には、山岡委員長のほかに民主党から安住淳国対委員長代理、川内博史国対筆頭副委員長、社民党から日森国対委員長、保坂副幹事長、国民新党から糸川国対委員長、長谷川参院国対委員長が参加した。


「天の声」4事業はすべて入党前の談合 民主党とは全く無関係のあくまでも小沢事務所の問題

2009年06月19日 19時15分42秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
 19日の西松事件の冒頭陳述で小沢一郎・衆院議員の事務所が「天の声」を出していたと東京地検が指摘した公共工事4件はすべて、小沢さんの民主党入党前の案件であったことが分かりました。

 検察官は1996年、1998年、2002年、2003年の4つの工事で「天の声」があり、西松が受注に成功。2006年の工事では「天の声」があったものの、談合決別宣言後なので、西松が受注に失敗したと指摘しました。

 このうち、2003年の簗川ダム建設主要地方道盛岡大迫東和線トンネル築造工事の日付を調べたところ、8月19日に岩手県庁が“一般競争入札”を実施し、西松建設・小原建設・宮城建設の共同企業体ジョイントベンチャー(JV)が受注していたことが分かりました。
 (2003年8月20日付「日刊建設工業新聞」、「建設通信新聞」の記事)。

 小沢さんが民主党に入党したのは9月26日ですから、民主党入党前のできごとです。民主党に入ってからは、少なくとも西松関係では、「天の声」での受注はなかったことになります。よって東京地検の指摘が事実だとすれば、民主党とはまったく関係ない、小沢議員個人および大久保秘書の個別案件だということになります。

 岡田克也幹事長は19日の記者会見で「基本的に党としてのコメントはない」「党としてコメントすべきかどうか疑問だ」としました。ただし、政治の父と仰ぐ小沢さんに関係した裁判だけに関心が高いようで、「検察側は様々な主張をしている」「根拠がなく釈然としない気持ちはある」と心情を吐露しました。

 記者の質問に答え、「衆院選に与える影響はないとは言えない」と述べ、第三者委員会(飯尾潤委員長)から指摘された党の危機管理体制の構築につとめていく姿勢を明白にしました。

関連エントリー)
西松事件初公判で、天の声明かされる 問われる民主党の危機管理

延長国会がヤマ場を越える 今後の話題作りが大事

2009年06月19日 17時17分18秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
 延長国会の会期末(7月28日)まであと5週間と2日間となりましたがきょうで一つのヤマ場を越えました。

 きょう(6月19日)は午前10時から参院本会議、午後1時から衆院本会議が開かれました。重要法案だった、海賊対処法案、租税特別措置法改正案(贈与税減税の補正予算関連)、国民年金法改正案の3議案をいずれも参院本会議で否決しました。衆参不一致のため、衆院に再送付され、民主党は3議案に平岡秀夫(山口2区)、和田隆志(広島7区)、長妻昭(東京7区)という3人の実力派を反対討論の弁士に立てましたが、あえなく3分の2で再可決されてしまいました。

 延長国会は、これから内閣が提出する「船舶検査に関する新法案」が衆参で、「臓器移植法案」が参院で審議されます。このほか、民主党が議員立法として出している政治資金規正法改正案、地球温暖化対策基本法案などたくさんありますから、ドンドン審議入りしてほしいものですが、なかなか難しい面もあります。衆院総務委員会では郵政問題に関する一般質疑が今後も設定されそうです。

 ただ、全体的には議案不足で何をやっていいのか分からない状況になりました。もちろん速やかに解散を求めるわけですが、責任ある政権準備党である民主党は7月28日までのグランドデザインを示した上で、延長国会をしっかりきっちりみっちり仕上げることが求められます。

 話題作りが必要です。

 実は今国会でも話題を呼んだ政策分野で中堅実力派3議員がチームを組み、政策秘書も含めて丹念で包括的な調査が進んでいます。これは「スキャンダル」系の話題に発展する可能性もあります。現在の調査作業は若干攻めあぐねているようですが、単発で面白い話題が出てくると思います。

 民主党は話題作りが下手です。選挙に強い衆院議員および参院議員は、知り合いの記者をつかまえて、「暇ネタ作りで協力するから何がいい?」と話し合ったらいいと思います。

 それと、やはり解散先送りで、現職議員も含めて全体的にイライラ感が高まっています。政治家は心も体も強くなければいけませんが、本当に強い人間とは自分の弱さを認めることができる人です。これはキリスト教文化圏の政治家では当然のことで、外遊時にローマ法王に深くひざまずき、その映像を国内に流すことで支持率が上がる大統領もいます。「大統領にはローマ法王が付いているんだ」という安心感が国民の大統領への支持につながるようです。

 大半の総支部長の周りには年長者のスタッフ、コアメンバーがいます。心の苦しさを国民と共有できる、少なくともコアメンバーと共有できる総支部長こそ、本当に強い人だと私は考えます。

西松事件初公判で、天の声明かされる 問われる民主党の危機管理

2009年06月19日 11時38分43秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 きょうは、西松建設元社長の初公判の傍聴に出かけたのですが、天候のせいだか、世の中の暗さのせいだか、何だかぼーっとしていて、傍聴券の抽選時刻が「9時20分」と手帳に書いてあったのに、「9時50分」と朝から勘違い。9時23分に東京地裁に着いたら、整理券の配布が終わり、模造紙に書かれた当選番号を一喜一憂する傍聴希望者をなんとも複雑な気持ちで見ました。ずいぶんスーツ姿が多かったです、ゼネコン関係者でしょうか?

 私がきょうの初公判に注目していたのは、冒頭陳述で隠し球が出てくることです。これは西山記者事件のときに、佐藤道夫検事(前民主党参院議員)がやった方法です。このときは、西山記者(男性)と外務省事務官(女性)の不適切な関係を明かし、世論を大逆転させました。この佐藤さんの方式を特捜はとると予想していました。佐藤さんはご健在なのですから、民主党の現職議員も先輩を呼んで、勉強会や食事会をやればいいと思うのです。危機意識の無さ、想像力の不足、先輩を大事にしない、企画力の無さといった点で私は民主党に物足りなさを感じています。

 「あまり深く関わるなという天の差配だな」と思い、帰宅し、衆院総務委の川内・松野・原口質問を聞いておりました。なお、日本郵政公社時代の不動産売却の責任者は誰になるのか?という松野頼久さんの質問に日本郵政が答えられず、一部の質問時間が後日に持ち越されました。衆院総務委には法案が残っておらず、7月28日までに郵政問題で議論をするためには、様々な理由で委員会を設定しなければいけません。原口一博・筆頭理事(ネクスト総務相)の手腕が問われますが、きょうはまずは成功したと言えるでしょう。いずれにしろ、今国会中に、ふたたび、郵政に関する一般質疑が開かれることが確実になりました。解散しない限りは。

 さて、やはり検察側は小沢事務所が、岩手、秋田両県の公共工事で、東北地方の談合組織に“天の声”を出していた、との隠し球を出してきました。時事通信のメール速報、フジなどが伝えています。私は具体的な事業名などは知りませんが、小沢事務所が“天の声”を出していたことは、遙か昔から知っていました。それでも3月3日の強制捜査は総選挙を間近に控えた国策捜査だと断じ、必死に小沢さんを守りました。ところが、小沢さんが説明をしようという姿勢を示さないことから、「小沢と心中できないのが本音だ」として、説明責任と言うよりも、その努力をすべきだと主張。しかし、小沢さんは代表辞任を選びました。

 それにもかかわらず「小沢信者」からの猛攻撃を浴びたことは大変残念であり、私としても、思うところは多々あります。天の声は公訴時効が成立していると思いますが、冒頭陳述で述べるのは自由だし、世間というのは時効で納得してくれません。裁判は社会の対象ですが、選挙は世間の対象です。また、大久保秘書がダミー団体が実質は西松建設であることを知っていたとする供述調書があるそうで、これは大久保秘書は署名しているはずです。どう考えても、小沢代表では第45回総選挙を戦うことはできなかったのは明白です。

 西松事件のTV報道で恐怖心を持ち、初めて政治に興味を持ったという方も多いようです。小沢信者もいいですが、民主党支持者とか、政権交代応援団、二大政党論者はどんどん増えてほしいと思います。小沢さんは政治家ですから支持の対象であって、信仰の対象ではありません。英雄待望論というのは、昔からありますが、デモクラシーには馴染まない。小泉ブームの二の舞になります。

【追記 2009-6-19 13:00】
 掲示板を見ていたのですが、「天の声」という言葉が一般的でないようです。公共工事の談合で、チャンピオン(落札本命企業)を決定することを天の声と言います。ともに隠語です。談合決別宣言後は使われていない言葉だと思います【追記終わり】

関連エントリー)
「天の声」4事業はすべて民主党入党前 あくまでも個人の問題


【臓器移植法案】拝啓・河村たかし様、党議拘束がないのも良し悪しです

2009年06月18日 21時03分23秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 拝啓 河村たかし様、名古屋の梅雨、いかがお過ごしでしょうか。

 きょうは党議拘束のない衆議院本会議が開かれました。河村さんは衆院議員時代「党議拘束の廃止」を長年主張してこられましたので、ご報告します。

 臓器移植法の改正案について、議員立法であるA案と、その修正案であるB案、C案、D案(提出順)が採決されました。

 議場内に入っても、ギリギリまで議員に働きかける提出者の姿があり、議院運営委員が「着席してくださ~い!」と注意し、午後1時3分に開会しました。

 騒然とした雰囲気の中、記名投票採決(堂々めぐり)が始まりました。

 一般傍聴席にはおよそ200人、記者席もいつもの2~3倍、参院議員傍聴席には、国民新党の医師、自民党の医師が詰めかけていました。

 いつもそうですが、席順(人数の少ない会派順)で衆院参事が点呼しますので、無所属→国民新党→社民党→公明党→民主党→自民党の順で投票しました。日本共産党は「審議時間が短い」という理由で退席しました。

 人の死生観にかかわるということで、各党が党議拘束を外しました。ですから、どの議員が白票(賛成票)と青票(反対票)を壇上で参事に渡すかに、議場内の注目が集まりました。そういう意味では面白かった。党議拘束のない採決はときどきやってほしいと思いました。

 A案の採決では、公明党で冬柴元幹事長ら白票を入れる人が多かった中、太田代表が青票を入れ、議場がどよめきました。公明党は一枚岩という印象が強いだけに新鮮さを感じました。

 民主党の若手から中堅にかけては白票と青票が入り交じりましたが、青票の方が多かったように見受けられました。幹部になると、岡田さん、菅さん、恒三さん、小沢さん、羽田さんらが次々と白票を入れ続けた中、鳩山代表は青票を入れました。

 自民党になってからは、白票が多くなってきました。法案提出者の中山太郎さんが白票を入れると沸きました。また、おととし脳梗塞を患った議員がゆっくりとした足取りで白票を投じると、大拍手が起きましたが、これには「?」……。

 これに先立ち麻生首相が青票を入れると、どよめきが起きました。麻生さんはクリスチャンで、鳩山さんは幼少時からキリスト教に関する教育を受けています。

 15分ほどで堂々巡りが終わり、集計。

 駒崎事務総長が「投票総数430 “可”とする者白票263 “否”とする者青票167」と読み上げ、河野議長がA案可決を宣言しました。かなり大差でした。

 議場内は大いに沸いて、自民党参院議員は議場に向かって「ありがとう~~」と叫び、記者席のカメラマンは議場を撮りながら、後ろを向いて一般傍聴席の中央に陣取った人、臓器移植の関係者でしょうが、一斉にフラッシュをたきました。

 河野議長はB案、C案、D案を採決しないことを宣言しました。このような投票方式は極めて異例でしたが、議院運営委員会で各党が合意済みでした。

 このあと、経済産業委員長らが別の法案の報告に立ちましたが、騒然とした雰囲気が続きました。

 本会議は事前に「所要時間」というものを衆院事務局が発表するのですが、きょうは「40分~100分間」という時間幅が長いものでした。D案まで採決した場合を仮定して見積もったのでしょう。

 とはいえ、やはり人の命に関する法案だし、異例ずくめということで、最短時間で終わったにもかかわらず、どっと疲れました。

 通常国会中は週2~3回本会議が開かれますが、毎回党議拘束がなかったら、相当大変です。開票までハラハラするし、議員宿舎に居たら前の晩に散々確認が来て寝ていられないでしょう。党議拘束も良し悪しだと思います。

 それと、このように本会議場での“決勝”が主になると、委員会の存在が意味不明になってきます。デモクラシーというのはルール作りが永遠の課題です。

 こんなことを感じましたので、河村市長にご報告したいと思います。    敬具


風間直樹さん「インド洋へのイージス艦派遣は国会に未報告」

2009年06月18日 19時15分40秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
(10時14分ごろに投稿したエントリーにあやふやな部分があったので、いったん閉鎖していました。書き直して再度公開します。)

 第171通常国会では、参院外交防衛委員会はほとんどウォッチしていなかったのですが、6月18日午前9時57分の民主党・風間直樹さん(全国比例)が驚くべき事実を明かしました。

 旧テロ特措法(給油支援法)に基づく、インド洋アラビア海沿岸へのOEF-MIOへの海上自衛隊から米軍への後方支援活動。海自はイージス艦を派遣していたそうで、私はこのことを知らなかったのですが、調べたら、これは共同通信などが報じています。当時の海上幕僚長は、「(ほかの艦艇との)ローテーションで決まった」などと部隊運用上の都合だと記者会見で説明したようです。

 で、このイージス艦派遣の理由について、国会への報告(大臣の答弁)と食い違う証言を法案作成に携わった大江博・外務省条約課長(当時)が自著でしていたそうです(『外交と国益-包括的安全保障とは何か』、日本放送出版協会、2007年、248~249頁)。

 ここには、「これまで米側からの希望表明が何度かありながら」実現しなかったイージス艦の派遣を「2002年末、ついに政府は」「踏みきったのである」と書いてあります。事実とすれば、海上幕僚長の「ローテーション」という護衛艦のやりくりとは違って、米軍の要請に基づく、イージス・システムのアフガニスタンないしはイラク沿岸への展開であったのではないかという疑惑が浮上しました。

 これについて、外相と防衛相は、米軍からの要請を否定しました。残念ながら、現段階で民主党が国会でできることはここまででしょう。民主党がインド洋まで飛んでいって調査するのは難しい。風間さんは「政府には真に持っている情報、データを国会に出してほしい。それに基づき真摯な議論を行いたい」と要請しました。与野党を超えて共有したい考え方です。

 イージス・システムは輸入品でなく、日米韓の共同開発によるものです。海上幕僚長も胸を張って、イージス・システムの有用性を発表してもいいのではないでしょうか。そういった風土をつくることこそ、シビリアン・コントロール。斎藤隆夫・衆院議員の粛軍演説は、昭和戦争を止められなかったとはいえ、国会史に残る名演説です。風間さんの前に立った議員は太平洋戦争について「分かっているのかなあ~?」とクビをかしげざるをえない発言をしました。

 どうも、歴史の話をすると、世間にはあまり好かれないようです。ただ、きょう6月18日というのは、16年前、1993年、「宮澤嘘つき解散」があった日です。親分が誰だろうとかまいません。きょうは、羽田さん、小沢さん、鳩山さん、岡田さん、恒三さん、藤井さん、簗瀬さん、ピンさん、古賀さん、田名部(父)さん、前田さん、北澤さんが自民党を飛び出した日です。“政権交代できずに16年恥ずかしや~”という感じですね。宮澤嘘つき解散の歴史くらいはせめて、wikipediaでいいからカンタンにおさえておいて、第45回衆院選を迎えていただきたく所望するのです。

「故人」献金で気がかりな鳩山代表の危機管理能力

2009年06月17日 01時45分21秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
 16日付朝日新聞第2社会面に、鳩山代表の総務大臣届出政治資金管理団体「友愛政経懇話会」(芳賀大輔・会計責任者)の個人献金者の中に、「故人」の名前が含まれているとの報道がありました。私も初めて過去3年分(平成17年~19年)の「友愛政経懇話会」の収支報告書を見ましたが、ずさんな点がいくつか見受けられました。

 これを受けての16日夕の定例記者会見を聞きました。MSN産経が載せた記者会見詳報を引用させてもらいます。

 「はい。本日の朝刊におきまして、私の政治資金管理団体、いわゆる『友愛政経懇話会』というのでありますが、その収支報告に関しまして、もう既に亡くなられておられた方のお名前が載っているということでございます。役員会でもこのことをお話申し上げて、今、私としてもまったく寝耳に水のことでございましただけに、秘書に命じてしっかりと調査をするようにということを申したところでございます。今しばし時間をいただければと思っておりますが、なぜこんなミスが起きたのか。私にもまったくわからないわけでございますだけに、このようなことで、亡くなられた方には大変ご迷惑をおかけしたことは事実でありますので、おわびを申し上げたいと思いますし、当然のことながら何らかのミスであったとすればそれはあってはならないことでありますだけに、調査結果に基づいて早急に修正などを行わなければならないと、そのように感じております」と述べました。

 そして、「今、お話がありましたように、企業・団体献金の禁止を民主党はうたっておりまして、そこから個人献金への移行ということを私どもはうたっておるのは事実であります。企業献金がすべて悪だということではなかったわけでありますが、これからはより個人献金というものを充実をさせていかなければならないと思っております。そんな矢先にこのようなことが起きたことを申し訳なく思っておるところでありまして、個人献金というものの重要性というものが、このことによって少しでも傷がつかないように努力をしていかなければならない。胆に命じているところでございます」と続けました。

 ここに私は懸念を感じます。

 というのは、西松事件に関して鳩山幹事長(当時)が設置した第3者委員会(飯尾潤委員長)の報告書で、「小沢個人と党を一緒くたにしていた」「政党としての危機管理能力が欠けていた」という宿題を民主党はちょうだいしたはずです。

 鳩山会見では、鳩山個人の問題として、民主党の問題と分離すべきだった。なのに、「民主党は個人献金への移行を図っているのに、その矢先にこのようなことが起きて申し訳ない」との趣旨の発言をし、鳩山「故人」献金事件と民主党を結合させてしまいました。

 これは大問題です。
 鳩山さんは報告書を読んでいないのでしょうか? あるいは報告書の内容が気に入らないのでしょうか?

 報告書を受け取った日の夕方のぶら下がりインタビューでは、自民党が速やかに第三者報告書を検証するプロジェクトチームを発足させたことについて、「どうぞご自由に」と話しました。これも大変気になっておりました。

 まずは16日の時点では、鳩山と民主党を切り分けた上で、鳩山事務所に調査を命じている、とすべきだったのです。

 鳩山由紀夫さんは「代表としての定例会見だが、この場をお借りして、鳩山一個人としてお騒がせしていることをおわびしたい」「調査中とはいえ、民主党の仲間や支持者のみなさんにご心配をおかけしているのは事実で、申し訳なく思っている」と言うべきだったのです。また、いかにも事務所任せという態度も感心しません。

 そもそも十全ビルの事務所の家賃が高いから、お金がたくさん必要なんでしょう。十全ビルの個人事務所はいますぐ閉鎖して、党本部内役員室、国会内役員室、議員会館内議員事務所に機能を集約すべきです。そういう姿勢を見せることが、「社会」ではなく、「世間」を味方につけなければならない政権準備党の代表として必要なんです。

 ◇

 小沢代表(当時)の辞任記者会見を扱った総支部長のブログを読んでいて、気がついたことがあります。

 大阪16区総支部長の森山浩行さんがブログで小沢前代表の辞任表明について、「突然のことで驚きました。(今朝、小沢代表との2連ポスター増刷分が届いたところでした)」と書いた上で、「会見では『一致団結して政権交代を実現する』ため、との言葉と『何らやましいことはない』という宣言がありました。前者は選挙に向けて、後者は裁判に向けての意欲、ととれます。」と書いていたことに後から気付きました。これは「一致団結して政権交代を実現する」民主党と「何らやましいことはない」と主張する小沢一郎さんは別物であると示唆した表現です。

 
[写真]森山浩行・大阪16区総支部長

 森山さんは38歳ですが、政治生活10周年を迎えました。堺市議、大阪府議は「完全無所属」でしたから、初めて民主党入りして第45回総選挙を迎えます。

 “未来の代表”として、総支部長の中でも一目おかれる存在である森山さんは党内グループ(一新会倶楽部など)の所属を明らかにしていません。先月も凌雲会の仙谷由人会長が応援演説に訪れるなど、スカウト合戦が加熱しています。

 
[写真]森山浩行さんの講演会に登場した仙谷由人さん

 それにしても、鳩山代表に一言言上する側近というのはいないのでしょうか。現在は野党である民主党の「政党としての危機管理」というのは、政権交代後の官邸の危機管理に直結します。

 政治資金収支報告を読むと、この会計責任者の親子(?)が献金者に名を連ねているのも気になります。寄付者のうち、「鳩山由紀夫」さんの職業が、「衆議院議」となっていて、平成19年初めて、手書きで「員」が書き加えられているなど、ずさんさが見立ちます。

 西松事件の場合、小沢代表(当時)が当事者であったので、飯尾さんらの言う「政党としての危機管理能力が問われた」のは鳩山幹事長(同)が最も重く受け止めるべき言葉だと私はとらえていました。

 鳩山代表は、「朝日の取材を受けた」と鳩山事務所から報告を受けた時に誰の顔が浮かんだのでしょうか。地元ではいずり回る総支部長たちの顔が少しでも頭をかすめたのなら、いいのですが。

asahi.com(朝日新聞社):鳩山代表に「故人」献金? 少なくとも5人、120万円 - 政治

 民主党の鳩山由紀夫代表の政治資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に、すでに亡くなった人が個人献金者として記載されていることが分かった。朝日新聞が03~07年分の報告書を調べたところ、少なくとも5人の故人が延べ10回、120万円分を献金したことになっていた。遺族のうち、1人は「よく分からない」と答えたが、4人は「死亡後に献金した事実はない」としている。

 05年3月に亡くなった東京都内の旅行会社元社長は、生前から献金があり98~00年に年1万円、03年は25万円、04年は24万円が記載されていた。ところが死亡後もそれが24万円(05年)、10万円(06年)、15万円(07年)と続いている。

 元社長の妻は05年以降の個人献金を否定したうえで「なぜそんなことになっているのか。死亡後の献金なんて不愉快」。旅行会社側も「経理担当者が確認したが、会社がかかわった献金はなかった」と困惑気味に語った。

 04年12月に死亡した愛知県の建設会社元社長は生前、98年から6年連続で1万円を献金。死亡後は途絶えていたのに07年になって突然10万円が記載された。遺族は「変な話だ。何かの間違いではないか」と話した。

 02年12月に死亡した都内の元国立大教授の場合は、生前の01年から献金が始まり死後の03~06年にかけても計46万円分の記載があった。元教授の遺族は「夫の死後、個人的なお礼で1度だけ夫人に10万円を渡したと思う」と話すが、その10万円が献金として処理されたのかどうか不明という。

 鳩山氏は5月の代表就任会見で企業・団体献金の3年以内の禁止を打ち出した。さらに今春に配信した自身のメールマガジンでは、個人献金に対する税の優遇措置の拡大を訴えており、「企業献金から個人献金へ」の流れを唱える代表的存在だ。

 鳩山事務所は朝日新聞の取材に「誤記載だとは思うが、全体を調べてみたいと思う。事実とすれば本人や遺族に申し訳なく、誠心誠意対応したい」としている。


とある民主党代議士が党員・サポーターに詫び状

2009年06月13日 09時08分17秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
 党員・サポーターの獲得ノルマ(2008年は1000人)を達成し、「プレス民主」で優秀総支部と掲載された民主党総支部長(現職代議士)が6月3日付で「詫び状」を送付しました。

 “詫び状”では、「小沢一郎前代表の突然の辞任、現職国会議員のみによる新代表等選出方法等、ご批判もあるかと思います。ご心配をおかけし、大変申し訳なく思っております」などと記しました。

 封筒には詫び状のほかに、最近号に掲載された代議士の記事を折り出して見えるようにした「プレス民主」と、代議士のビラ(討議資料)を同封しています。これは何となく照れ隠しにも思えます。

 このように、1000人以上の党員・サポーターを獲得した総支部では、5月16日の不透明な代表選に関する批判が少なからずあるようです。これから与党になって、政府の内規(=法律・政令・省令)を変えていく局面にある政党が、野党のくせに、党の内規にこだわったことへの怒りがあるのでしょう。「民主党」という器が、国会議員の専横物であるかのように振る舞ったことへの憤りがあるのでしょう。

 これは世論調査の対象者ではなく、選挙のコアメンバーである「党員・サポーター」ですから、深刻に受け止めるべきです。今週、小沢一郎・代表代行が公認決定記者会見のために、愛知1区に乗り込みながら、地元の反発で決定できず、候補者不在の無意味な記者会見をしました。静岡県知事選では、元大学学長と元参院議員の一本化に失敗しました。小沢氏の影響力が急低下している背景には、コアメンバーの怒りが影響しているのかもしれません。

 私自身も正直申し上げて、「自分の生活が第一。」で今の代表の推薦人になった複数の参院議員の顔を浮かべては、私子どもですから、いまだに消えないのですが、ぶっ飛ばしたい気持ちがあります。本当に白けました。ぶっ飛ばした上で「4年後はないぞ!」と捨てぜりふを言いたい気持ちが、もちろん冗談ですし、デモクラシーの世の中でそのような振る舞いは絶対にいけませんが、でも気持ちとしては、やはりそういう気持ちが全くないとはいえないということです。なかなか消えないので、私自身本当に困っております。逆に言えば、いますぐ解散してくれれば、民主党への愛もすぐに戻るのかもしれませんし、戻らないのかもしれません。それにしても、あの(一部の)参院議員たちの人間としてあまりに醜く、政治家としてあまりに未熟な姿は何だったんだろう・・・

 このようなコアメンバーは私一人でしょう。コアメンバーに白けはないのでしょうが、仮にほんのわずかでもあるのであれば、これは総選挙に影響します。「政権交代へ一致団結しなければいけない」というのは頭では分かっていても、体が動かない。私は今、そういう状態にあることを正直に告白したいと思います。

【北朝鮮核実験】制裁国連決議で“船舶検査法”が延長国会の最大の焦点に

2009年06月13日 06時40分51秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 北朝鮮の核実験を受けて、わが国の働きかけなどを受けてP5(米英仏中ロ)が提案した「国連安保理決議1874」が12日、ニューヨークの国連安全保障理事会で採択されました。北朝鮮への新たな制裁を盛り込んだ「国連安保理決議1874(イチハチナナヨン)」は条約と同じく国際法として効力を持ちます。

 わが国政府は国連決議1874に基づく国内法の整備が求められます。これを受けて、政府は延長国会(7月28日まで)に「周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(船舶検査法)」(2001年3月1日施行)の改正案を提出し、成立させることが、事実上の国際公約となりました。海上自衛隊が公海上で貨物船に停船を命じて、船に乗り込み、書類などを検査する船舶検査は「臨検」ともいいますが、最近は一般的な「船舶検査」を新聞でも使うことが多いようです。

 船舶検査法を全部読みました。全7条の短い法律です。第3条には、「船舶検査活動の実施」が定められています。この中で、日米安保条約に基づき、米軍の後方地域支援活動ができることになっています。細目は「周辺事態安全確保法」に委ねられています。この中で、自衛隊が持つ物品や役務(サービス)を提供(補給)できることになっています。

 例えば、日本海・東シナ海で海自補給艦「ときわ」などが米軍の補給艦「ペコス」などに対して、油や水などを補給するオペレーションができると思われます。これはインド洋とは違って、朝鮮半島沿海、しかも“北”を事実上の“敵国”とみなした活動に対する米軍への後方支援になります。

 そして第6条「武器の使用」ですが、刑法36条「正当防衛」および同37条「緊急避難」の場合以外は使えないことになっています。このような条文のままでは、わが可愛い海上自衛隊を後方支援活動に送ることはできません。改正が必要です。

 民主党議員の多くは朝鮮半島に利害関係のある支援者・団体を抱えています。これはわが国の“国柄”からすれば当然のことです。また連立パートナーである社民党と足並みが乱れる可能性があり、政府はその間隙をぬう改正法案、審議をしかけてくる余地があります。

 やれやれ、解散権がない野党(政権準備党)は大変です。この国内法整備をしないまま、首相(自民党総裁)が解散に踏みきるとは私には考えられません。解散注意報は引き続き発令中ですが、新人も含めてこの法案のゆくえには注意しなければいけないと思います。

 延長国会(7月28日まで)、とくに7月はいったい何を審議するのだろうと思っていましたが、船舶検査法改正案など関連法案が最大の焦点となるもようとなってきました。3党協議は岡田幹事長の担当です。幸い、岡田克也さんは衆院安全保障委員長経験者であり、一般的にあまり知られていないと思いますが、非核問題など安全保障に深く関わってきましたので、手腕に期待できます。

asahi.com(朝日新聞社):北朝鮮制裁決議、全会一致で採択 国連安保理 - 国際
 
 【ニューヨーク=松下佳世】国連安全保障理事会は12日正午(日本時間13日午前1時)、北朝鮮の核問題について公式会合を開き、2度目の地下核実験を実施した北朝鮮に新たな制裁を科す決議1874を全会一致で採択した。だが、北朝鮮が強く反発するのは必至で、朝鮮半島情勢はさらに緊迫化しそうだ。

 北朝鮮に対する制裁決議の採択は、前回の核実験が行われた06年10月に続いて2度目。日本の高須幸雄国連大使は「強く、実効的な措置を含む重要な決議が全会一致で採択された」と歓迎した。

 決議は、核実験を過去の決議違反であると明記したうえで「最も強い表現」で非難。北朝鮮に核実験や弾道ミサイル技術を使った「いかなる発射」も行わないよう要求し、6者協議への即時無条件復帰を呼びかけている。

 追加的な制裁措置としては、公海上の船舶など北朝鮮に出入りする貨物検査の強化や新たな金融制裁、武器禁輸の対象拡大を盛り込んだ。資産凍結や渡航禁止の対象となる個人・団体などを指定する制裁委員会の役割を厳格化したほか、制裁を監視する外部の専門家機関の新設など履行徹底の仕組みも整えた。

 北朝鮮は反発し、さらなる弾道ミサイル発射の動きを見せているほか、3度目の核実験を行うとの報道も出ている。安保理は、制裁委員会による資産凍結団体の指定などの作業を進め、制裁の履行徹底に乗り出す考えだが、北朝鮮の挑発行動が続けば、新たな対応を迫られる可能性もある。


鳩山邦夫切りで“静脈瘤破裂”の危機回避 住友を甘く見たパフォーマンス大臣去る

2009年06月12日 20時14分40秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 住友を甘く見たパフォーマンス大臣が閣外に去りました。

 「太郎会会長」として麻生内閣を実現し、総務相に収まった鳩山邦夫(福岡6区)は昨年10月の選挙情勢調査を目にして愕然としたでしょう。

 自民党調査では福岡6区は、10月15・16日調査では、「与党38・42%vs野党37・15%」でしたが、10月25・26日の再調査では、「与党32・36%vs野党39・10%」となりました。

 民主党調査では、福岡6区は古賀一成さんが6月7日調査で「12・6%リード」、10月12日調査で「13・9%リード」。

 前回と異なり、第45回衆院選では古賀さんが小選挙区を奪還するのが濃厚な調査結果ができました。

 そうして迎えた2009年1月からの通常国会。TV入りの審議中継では、官僚の答弁書には目もくれずに、自分の言葉で5分以上の時間を使って、とうとうと答弁する姿が目立ちました。閣僚としてTVを使ったパフォーマンスで起死回生を狙ったのは想像に難くありません。

 鳩山総務相は西川善文・日本郵政社長との対立を演出し、茶の間の喝采を浴びましたが、これはあまりにも甘い。

 日本の国家予算は年100兆円ですが、日本郵政グループの資産は300兆円を超えます。300兆円が国から民間にスピンオフしたのが小泉自民党による郵政民営化です。この流れを逆にしようしたのです。これを人間に例えると、血液の循環を逆にしようという話です。心臓から静脈に血を流すとどうなるか?直接的な表現で申し訳ないのですが、あっという間に静脈瘤ができて、破裂するでしょう。すなわち自民党は即死です。

 郵政民営化見直しは政権交代による国民新党、民主党、社民党の連立政権でなければできるわけがないのです。

 住友、小泉、経団連を敵に回して、味方はテレビカメラだけ。この状態で鳩山邦夫さんが勝てるわけがありません。私が麻生首相だったら、なりたくありませんが仮に麻生首相になったと仮定すれば、更迭は当然です。閣内不一致の場合は辞めるのが首相でなく閣僚であるのは自明の理。

 住友を甘く見た当選10回のパフォーマンス大臣。民主党を離党して出馬した1999年東京都知事選惨敗の窮地を救ってくれ、福岡に選挙区を与えてくれた自民党への恩を仇で返したお坊ちゃん政治家。選挙区で名刺を配らず、東京の飲食店で初めて会う店員に名刺と称してお札を配る(この行為は選挙区外なので、公選法違反ではない)。地元回りを怠ったツケは、政治家として取り返しのつかない大失態へとつながりました。

 佐藤勉さんが総務相(兼)国家公安委員長という強い権限を持つことになりました。これは田舎では効きます。栃木4区では、小沢側近の山岡賢次国対委員長が、小選挙区導入以来、佐藤さんに4連敗し、4連続復活当選しています。佐藤さんの総務相就任で、山岡さんの小選挙区初当選は黄信号から赤信号に変わったのではないでしょうか。山岡さんには公認さしかえの話がでません。小沢さんは本当に身内に甘いです。

鳩山総務相が辞任 郵政社長人事めぐり引責(朝日新聞) - goo ニュース

 鳩山総務相は12日午後、日本郵政社長人事をめぐる混乱の責任をとって、麻生首相に辞表を提出した。鳩山氏は同日午前、首相官邸で首相と会談した際、西川善文社長の続投を条件付きで認めるように説得を受けていた。首相による事実上の更迭とみられる。衆院解散・総選挙を前に、首相が指導力を発揮できず問題が長期化したことで、今後の首相の政権運営に大きな打撃となるのは避けられない。

 後任は佐藤勉国家公安委員長が兼務する案が有力視されている。


民主党経済と自民党経済の違い 大塚耕平さん

2009年06月07日 10時50分39秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

[写真]民主党参院議員の大塚耕平さん

 きょうのNHK日曜討論の9時半頃、大塚耕平さんが一筆書きのように構図を示してくれました。「

 自民党の考え方は経済が良くなれば生活が良くなる

 民主党の考え方は生活が良くなれば経済が良くなる

 発想のベクトルが違うんですよ」

 全く同感。

 自民党はいまだに外需頼み、民主党は内需回復を優先していると言い換えてもいいでしょう。

 なんでも世界のクルマ市場では、トヨタ自動車「プリウス」とホンダ「インサイト」のハイブリッド車対決が話題を席巻しているようで、どっちが勝とうが日本勢ですから頼もしい限りですが、こんなのは稀な話。

 私は昨年、当ブログ独自の第1回新語大賞ということで、「ガソリン値下げ隊」を選び、代表者として川内博史さん(鹿児島1区)を表彰させて頂きました。

 2009年の新語大賞は現時点では、「貿易赤字」かなあ。貿易赤字という言葉は日本語にありませんでした。「貿易黒字が前年同月比30%減、大変だ~!」というのがわが国の経済であり、1980年代には米国から「貿易黒字の削減目標」を突き付けられるという、“温暖化ガス扱い”でした。役所言葉としての「貿易収支」はあっても、「貿易赤字」なんてことを言う奴はいなかった。それが明治維新の殖産興業・富国強兵政策以来の日本経済・・・でした(過去形)。

 新語「貿易赤字」はあまり流行してほしくありませんが、これは発想の一からの転換で解決するしかない。だから、政権交代するしかないでしょう。で、政府がちゃんとしていれば、内需というのは必ず底を打ちます。極端なデフレと人口減がなければ、必ず内需というのは回復してくるはずです。だって、お米を買うのも内需なんですから。

 枝野幸男さん(埼玉5区)が「規制強化が景気回復につながる」と主張していますよね。ある総支部長と話していたら、この“枝野理論”を批判していましたが、私は枝野理論はおもしろいと思います。

 まあ、経済の話というのは書き出すと面白くてたまらないのですが、この辺にします。正直言って、経済や金融というのは、専門的なようで、民主党の部門会議や国会の委員会を聞いていると、経済通でないベテランが、なんとか必死に発言しているのと、分かります。多様な人材を集めた、いわば日本社会の縮図である、民主党の300総支部長もしかりだと思います。でも大丈夫です。

 けさの大塚さんのフレーズは、意味が分からなくても、声に出してみて恥はかかない。私が保証します、だいじょーぶです。 

 自民党は経済がよくなれば生活がよくなる。
 民主党は生活がよくなれば経済がよくなる。
 発想が違うんですよ!発想が!


 


「金と恐怖とポストで縛る小沢的手法にかなわない」馬淵澄夫さんが花斉会退会届

2009年06月02日 08時06分39秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ
 2日付日経新聞2面の企画記事「ステーツマン考」は、馬淵澄夫さん(奈良1区)が5月16日の代表選後の月曜日(18日)に、党内グループ「花斉会」会長の野田佳彦・幹事長代理(千葉4区)に退会届を提出していたと報じました。

 記事では、馬淵さんは「いったい何のための花斉会か。ただの囲い込みなら、

金と恐怖とポストで縛る小沢的手法

にかなうはずがない


 との趣旨の発言をした、と伝えています。

 ちょっとこの記事だけでは、退会の理由が分かりません。鳩山・小沢・輿石陣営は若手や参院議員を部屋に閉じこめるなど徹底的な締め付けを行いました。これとたたかった岡田陣営の戦い方に何らかの不満があったか、ないしは野田会長の不出馬に不満を持ったのか、5月12日の役員会・常幹で野田広報委員長(当時)が小沢一郎代表(当時)に怒鳴られて黙ってしまったことに不満を持ったのか・・・

 けさ発売の週刊朝日2009年6月12日号では、馬淵さんは、代表選について「工夫はしてきたけど、個人的には世論とかけ離れて永田町の論理で代表選を行ってしまった反省があります。月曜日に辞任して土曜日に投票という日程は短すぎた。議員一人ひとりが責任と覚悟を持って世論とのギャップを埋める努力をしなければならない」(122頁)と語っています。

 馬淵さんは当選2回。奈良1区では順調に前哨戦を戦っています。昨年10月の民主党調査では推定得票率は56・6%で対抗馬を17・0ポイントリードしています。同月の自民党調査では49・20%で27・13ポイントリードしています。ただし、自民党の対抗馬は市長選出馬に逃げましたので、数字は変化していると思います。

 このように小選挙区で優勢な現職衆院議員ほど岡田さんに投票していますので、いずれは党内の過半数になるでしょう。