ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

◎平成25年度本予算が成立

2013年05月15日 23時59分59秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

(初投稿日時は2013-05-16 00:30:11で、バックデート)

[写真]麻生財務相と安倍首相、後列は衆議院事務局の岸本俊介委員部長、阿部優子議事部長、向大野新治事務次長、2013年5月15日(水)の衆議院本会議、首相官邸ホームページ「総理の一日」から。

 平成25年度本予算が成立しました。

 予算は天皇陛下の公布が必要なく、2013年5月15日(水)午後10時44分の伊吹文明・衆議院議長の宣言に伴い成立し、執行に回ります。

 一般会計の歳出入は92兆6115億円。

 本予算成立の節目ということで、衆議院本会議場に直接行って見てきました。

 ところが、両院協議会の散会が思ったより早く、本会議再開が10分早まった連絡が行き届かなかったようで、伊吹議長が着席してから、10分近く議事が動かないという画竜点睛を欠いた自民党政権再交代後の初の本予算成立となりました。

 本会議場は午後10時20分に、再び開き、自民党からは根本幸典さん、藤丸敏さん、鈴木憲和さんの1期生3人が一番乗り。すぐにやってきた2回生の伊東良孝・財務大臣政務官から「みんな早いな」と声をかけられていました。

 公明党では1期生で唯一、両院協議会協議委員を務めた佐藤英道さんも早くやってきて、ほぼ全員が時間には着席していました。

 民主党は衆院で組み替え動議を出しましたが、参院では、修正案も組み替え動議も出しませんでした。敗北感が残るところですが、衆院の修正協議実務者の座長だった玉木雄一郎さんが午後10時22分に一番乗りし、自席でスマホを指でスクロール。玉木さんのことですから、長期金利を始め、地球上のあらゆるマーケットの話題をチェックしていたのでしょう。

 ところが、午後10時半に閣僚が勢揃いし、伊吹議長が入場し着席してからも、議員がそろいませんでした。公明党の遠山清彦さんが「早く座れよ。何やってんだ」と大声で自民党方面に声を張り上げていました。ひな壇でも、菅官房長官、石原環境相、甘利経財相の3人が談笑していて、緊張感を欠きました。

 安倍首相と麻生財務相は同じ格好で仲良く爪を噛んでいました。

 この後、民主党内で最年少の議員があわててやってきました。さすがに顔面蒼白に見えましたが、在職年数が短いけれども年長の議員(幼稚園長や大学教授)たちが「どうしたの?」と感じで、確認しており、その隣席の同期議員が右手をかけてなだめるシーンがありました。あの厳しい選挙に勝ち抜いた猛者たちだけに、お互いのことを尊重しながらも和気藹々としている、元々の民主党らしさを感じました。

 自民党では、宮崎謙介議員がちょうど10分遅れで自席に座ったので、完全に連絡を間違えていたのでしょう。みんなの党の渡辺喜美党首は12分遅れ、生活の党の小沢一郎党首はいませんでした。共産党の志位和夫党首は時間通り座っており、公明党は井上幹事長ら(党首は参院議員)全員が早くから座っていました。日本維新の会、民主党は一般傍聴席から幹部の姿は初めから見えないので分かりません。

 ただ、本会議場では直接聞こえなかったのですが、伊吹議長が「民主党というのは妙なところだなあ」というつぶやきをマイクにしたようですが、これは、明らかにインターネット中継を意識したものに違いありません。実際には自民党席の方が空席でした。

 そして、成立後、ひな壇では、向かって右側の谷垣法相、太田国交相らが立ち上がり礼をした後、左側の安倍首相らが気づかず、笑いが起きる場面がありました。安倍首相らは憲法60条の規定をあまりよく分かっていないのではないでしょうか。右側の谷垣法相、太田国交相、茂木経産相、新藤総務相らが「宏池会・公明党・平成研新党」をつくってしまったらいいのではないでしょうか。

 いずれにしろ、本予算成立が10分近く遅れたのは、自民党のせいで、このような政党に参院で過半数を与えてしまったら、予算執行に大いに疑問が付くところです。

 きょうの一連の議事のなかでの、東国原英夫議員(日本維新の会)のツイートが秀逸だったと考えます。


  お笑いのセンスもあり、発信力があります。

 ただし、東国原さんに反論させていただきます。

 両院協議会は、19年前の第128回臨時国会で、政治改革関連4法案(公職選挙法改正、区割り審設置、政治資金規正法改正、政党助成法)に関して、平成6年1月26日から協議し、1月29日に衆参が「成案」(すりあわせ案)を決定したことがあります。

 ただ、例えば、平成元年には「衆院は海部首相」「参院は土井首相」の首班指名をめぐって両院協議会をしていますが、こんなたぐいのものは、成案ができるわけがありません。

 しかし、予算案で言えば、歳出から公共事業を5000億円削減し、歳入から赤字公債を5000億円削減する、という成案を衆参の全会一致で可決・成立させることは可能でしょう。こういった道を開くことで、重要議案に関しては第3院である両院協議会ですりあわせることにすれば、2院制をめぐる問題の突破口になると私は考えています。いきなり憲法を改正するよりも、まずは両院協議会の運用面を改善することです。
 
 そのためには、両院協議会のインターネット中継をすることです。そうすれば、日頃、衆院に比べて露出が少ない参院も存在感を発揮できます。だからといって、あまり無茶なことはできません。引退議員が最後に歴史に名を残そうとすれば、驚異的なねばりで、体力勝負を乗り越えることも出来るでしょう。映画「リンカーン」のように。当初予算案だとか、前日の政治改革関連4法案(細川・羽田法)ならそれくらいできるでしょう。だからと言って、国会同意人事ごときで粘っても、飽きられるだけです。 

 このように言うきっかけは、アメリカの国会中継C-SPANで、予算案の両院協議会の議長を今はなきダニエル・イノウエ上院議員(上院歳出委員長)がつとめている姿を見たことがあるからです。そして、米両院協議会は、公開されており、記者が立ったまま傍聴なのは気の毒ですが、日本では記者の傍聴も許されていません。何か問題があるわけではなく、狭いからだと思います。そして、規定が昭和22年の「両院協議会規程」からほとんど追加されていないのです。

 あるいは、仲の良い新聞記者によると、韓国国会議事堂の中で、与野党議員が予算書を必死に見合わせながら、予算の修正箇所を探している姿を目の当たりにしたそうです。良いなあ、私も目の当たりにしたいなあと思いますので、ぜひ日本国永田町で目の当たりにしたい。

 参議院での本予算審査は、例年以上にしっかり見ました。党議ではなく持論を展開する議員が多かったです。それは参院らしさでしょう。ただ、参院の集中審議は小会派にも一定の時間が割り振られるので、二大政党から離脱して小会派でやってみたいという意識を持たざるを得ない場面も多いと感じます。 それよりは両院協議会で参院側の修正案を出せ、中継もされるならば、審査中の集中審議で目立とうという意識は減るでしょう。

 この国会中だけでも、Twitterの「#kokkai」タグで、国会中継をする人が大幅に増えました。また、以前は、このブログのアドレスを「2ちゃんねる」に張られると、リアルタイムアクセス分析の急増ですぐに分かったのですが、最近は数件しかこなくなり、2ちゃんねるの時代が終わったことを感じます。Google検索では、最近は「リンク数の多さ」によるアルゴリズム解析をしていないようで、私も以前のように、ブログ内で色を使ったり、タグを付けたり、リンクを張ったりしなくなりました。なお、この場をお借りして、このような事情ですので、今後は、当ブログ内の「ブックマーク」「トラックバック」は原則廃止させていただきたいと存じます。

 このようなTwitterの「#kokkai」タグでのつぶやきなどが「ビッグデータ」として解析され、オーダーメード型の選挙戦を導入する陣営がこの夏の参院選から増えるでしょう。もはや、ホームページでも、世論調査でもなく、ビッグデータの解析により、陣営から有権者へのピンポイントの働きかけが功を奏す時代になるのは時間の問題です。とくに非拘束名簿式比例代表制の全国比例では大きく政治が変わることになります。そのためには、やはり、Twitterでのつぶやきを通じて、自ら政治にアクセスすることが、オーダーメード型の働きかけを選挙で受け、国会と自分との距離が近くなると考えます。この辺の話はまた改めます。いわばインターネット選挙解禁で浮かれている広告代理店や選挙コンサルタント業者はすでに時代に乗り遅れているということを指摘しておきたいと考えます。この辺のことは、また折りを見て、自分も勉強しながらやっていこうと考えます。

 政権再交代により、「要求大臣と財務大臣の復活折衝」が1月に行われましたが、改めてみると、無駄に思えた復活折衝の復活も、「見える化」としては良かったようにも思えます。たしかに、財務省原案も復活折衝もなく、いきなり政府原案が決定されたら、事実上そこでおしまいです。ただ、大臣の復活折衝もいいですが、やはり、国会による修正で財政民主主義を担保する。そこで、税金の使い道が決まり、増税も決まればやむを得ません。その代わりしっかりやれよと、4年に1度の投票と、日々のつぶやきでチェックする。その国会による財政民主主義の確立が、政府にとっても、官僚にとっても、参議院にとってもメリットになると考えるのですが、いかがでしょうか。


 そして、これからは、予算の編成・審議だけでなく、執行の透明化も求められます。 消費税10%時代の納税者・有権者を甘く見てもらったら困ります。

 

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草川昭三さんがしめくくり質疑 「原発の知識と情報でかみ合った議論を」 平成25年度本予算

2013年05月15日 16時51分08秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

 参議院予算委員会の石井一委員長(今夏・全国比例改選)は2013年5月15日(水)午後から、平成25年度本予算(案)の締めくくり質疑を行っています。

 この中で、公明党からは法務委員長でもある、草川昭三さんが委員として登場。

 「原発について、知識が少なく、その人の立場によって情報が都合良く出てくる議論を感じる」と指摘。原子力発電に関する正しく中立な知識を持ったうえで、原発に関する国民的議論がされる必要があるとしました。

 そして、東京電力福島第一原子力発電所事故による原子力発電の職場について、「言葉は適切ではないが、無期懲役の状態ではないか。現場の社員が将来を見すえて働けるような法律をつくっていきたい」と語りました。

 締めくくりの締めくくり。昭和3年(1928年)生まれの草川昭三さんは「終戦の年は昭和20年ですが、私は勤労学徒として名古屋の飛行機工場で働いておりました。そのとき焼夷弾が落ちまして、私の前で何人かの学生が死にました。戦時経済体制が終わり、灯火管制が終わったときに、とても明るかったのをよく覚えています。あー日本は平和になったんだなと感じました」。

 そのうえで、「総理におかれましても、平和のためにぶれない姿勢で自重しつつも政治を進めていただきたい。最後に答弁をお願いします」。

 ピンさんが「はい、総理、最後にしっかり答弁してください」と促すと、安倍総理は「草川委員は昭和3年生まれですが、私の母も昭和3年生まれです。平和のためにしっかりとぶれない姿勢でやっていきたい」と答弁しました。

 この国会の終了後の7月に任期切れとなる、草川さんは衆参通じて、在職34年7ヶ月、84歳。公明党ホームページによると、現時点で草川さんに公認は出ていないようです。

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