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宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改正案、ねじれ克服法律が5年目の手直し、廃炉等積立金に電力会社の支払い義務付け

2017年01月29日 18時57分32秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 政府は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改正案」(193閣法 号)を、平成29年2017年2月上旬に閣議決定し、国会に提出することになりました。

 もともとは議員立法。

 第177回国会(2011年)で、野党の参議院自民党が発議し、与党・民主党(民進党)の岡田克也幹事長らが修正に応じて成立した法律。参議院史上初めて、野党議員提出でその回次で衆参可決で成立した法律です。

 第193回国会(2017年)に提出される改正法案は、官民ファンド「賠償・廃炉機構」に「廃炉等積立金」を新設。電力会社の積み立てを義務付ける内容。施行後5年で、機構の役割が定着したということでしょう。所管は内閣府本府です。

 6年前の衆参ねじれ震災国会で、法案が、衆議院で修正可決したときのエントリー記事を以下に全文コピペします。



[当ブログ内エントリーから全文引用はじめ]

柿沼正明さん(衆民主党)、森雅子さん(参自民党)が初答弁。「原賠機構」「仮払い」2法案が修正議決 

2011年07月26日 20時18分51秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]衆院第1委員室の答弁席で答弁する民主党1期生の柿沼正明・衆院議員(群馬3区)、2011年7月26日、衆議院東日本大震災復興特別委員会

【2011年7月26日(火) 衆院・東日本大震災復興特別委員会】

(1)与党・民主党内閣が提出した
「原子力賠償スキーム法案(原子力賠償支援機構法案)177閣法84号」と、 

(2)佐藤正久さんら参院自民党・公明党・みんなの党・たちあがれ・新党改革共同提出で、参院可決済みの
「原子力被災者への国費による仮払い法案(平成23年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案)」177参法9号

 がともに、民自公などの修正協議のうえ、修正議決しました。

 自民党の佐藤正久さん、森雅子さん、みんなの党の小熊慎司さん、新党改革の荒井広幸さんんら福島出身の参院議員の努力が法律になります。ときに「ヒゲの隊長」佐藤正久さん、人気の森まさこさんは衆院第一委員室の答弁席は初めてということになりました。おそらく次の政権交代後には、イヤと言うほど答弁席に立つことになりそうな2人ですが、政治生活で初めてとなりました。勤続1年を超えたばかりの小熊慎司・元福島県議は熱い物を感じました。

 
[画像]初めて答弁席に立った、参院自民党の森雅子さん、2011年7月26日、衆院東日本大震災復興特別委員会、衆議院インターネット審議中継から。

 政権交代チルドレン140人から柿沼正明さんも花舞台・衆院第1委員室の答弁席に立ちました。政権交代チルドレンの衆院第1委員室での答弁は、6月9日の「復興基本法」に関する後藤祐一さん以来2人目。「NPO促進法改正案」の審議では、岸本周平さんが参院の内閣委員会で答弁しており、合計では3人目。後藤祐一さんは経産官僚、岸本さんは大蔵官僚出身ですが、官僚出身以外の党人派では、柿沼さんが初の答弁となりました。柿沼さんは1965年生まれの46歳。群馬3区で54・0%の優秀な得票率で初当選しましたが、第43回衆院選では広島から、第44回郵政選挙では群馬3区に国替えして出たのに落選と苦労しています。しかし「遅れた来た実力ルーキー」として、経産委理事、財金委理事、そして特別委員会(定員50人)理事と確実にステップアップしてきました。国会内でこれ以上は、予算委理事、議運委理事、そして各委員会の筆頭理事ぐらいなもんです。柿沼さんは日本興業銀行の総務部にいたことがあったそうで、バブル経済期の金融機関の総務部で「いろいろな人」と交渉する仕事をしていたようです。こういったねばり強い修正協議はお手の物なのでしょう。官僚出身ではない党人派でトップランナーに立ちました。小泉チルドレン80人は、当選1ヶ月後に猪口邦子・内閣府特命担当大臣が第3次小泉内閣に入っています。その一方、政権交代チルドレン140人は2年経っても、だれ一人、政務三役に起用されていません。第46回衆院選で野党に転落する可能性もありますから、そろそろ政務三役を経験させるための内閣改造というのも、菅首相は考えてもいいかもしれません。その場合は、人気よりも、こういった国会での実績で判断すべきでしょう。

 実務者による修正協議というものはインターネット中継がないので、中身が見えないのですが、再開後の委員会で、後藤斎(ごとう・ひとし)理事さんが質問のかっこうで説明したところでは、先週の金曜日に民自公の修正案の合意があり、3党の党内手続きをすませて、週明けのきょうの午前中もやっていたということです。また閣法の「機構法」と、参法の「それに先立つ国の仮払い法」ですが、後藤理事は「(両法が)補完し、セットになることで(関係者の)不安を払拭できる」と答弁しました。また、自民党の修正者の西村康稔さんが不在の時に、後藤理事がかわりに答弁する“呉越同舟”がありました。後藤さんと西村さんは、経産委員会の与野党筆頭理事どうしでもあるはずですから、再生エネルギーの全量固定価格買い取り法案(177閣法51号)の修正協議も期待できそうです。

 自民党衆院議員の吉野正芳さんによると、「参院自民党の佐藤正久さん、森雅子さん、岩城光英さん、そして私(吉野正芳衆院議員)の4人が毎週水曜日の昼にご飯を食べながら情報交換をして、仮払いが必要だということになった」と自ら明かしました。このように実務者による修正協議の経緯はしめくくり決議や討論でしゃべって、ぜひ議事録に残すように心がけてほしいと願います。この吉野さんの質問の中での経緯の説明については、大臣の海江田万里さんも「今のお話で経緯がよく分かりました。ありがとうございました」と答弁しました。

 そして、最終的に、「原賠機構」と「仮払い」はともに与野党の修正のうえ議決しました。


[画像]「仮払い法案」の衆院での修正議決でお礼をする佐藤正久さんら提出者の参院議員ら5人、右は海江田経産相、2011年7月26日、衆院東日本大震災復興特別委員会、衆議院インターネット審議中継から。

 みんなの党が単独で機構法案の修正案を出し、否決されました。また、「原賠機構」も「仮払い」も民自公による付帯決議がつきました。非常に複雑な審議で、衆院事務局議事課のみなさんも腕の見せ所だったと考えます。

 テレビではほとんど報道されませんが、国会はきょうも面白かったです。

 参院の厚生労働委員会では、冒頭に、民主党で元厚労政務官の足立信也さんが「歯科口腔保健の推進に関する法律案」を提出し、津田弥太郎・厚労委員長の名前で起草することになりました。その後、昨年の174通常国会で参院で廃案になっていた「国民年金法の(事後納付を2年間から10年間可能にする)改正案」について、衆院から牧義夫・厚労委員長が登場して、衆院における修正を説明しました。

 さらに参院内閣委員会では、「障害者基本法の改正案(177閣法59号)」では民主党衆院議員(新潟1区)の西村智奈美さんが衆院での修正について説明しました。西村さんは政権交代後、岡田克也外相のもと、西村外務政務官として何度も答弁していますが、今度は、障害者基本法の改正案の修正者としての答弁で幅を広げています。

 きょうはこのように複雑な国会審議、衆参とも事務局の委員部は知識と経験がフル回転で大変だったでしょう。

 もうちょっとマスコミはこういった国会の動きを報じたらどうなんでしょうか。

 なお、前回のねじれ国会では、野党・参院民主党・国民新党・社民党・共産党が提出し、参院で可決し、衆院に送付した法案が、可決・成立した例はなかったと思います。それが今回のねじれ国会では、野党・参院自民党ら5党提出が、衆院では与党民主党、野党自民党、公明党、たちあがれ日本の修正協議もあり、可決しました。次の衆院本会議で可決後、修正部分が参院に回付され、参院委員会で可決、本会議に上程され、可決・成立するでしょう。これは参院自民党が力をつけてきたこともありますが、仮に衆院で政権交代(与野党逆転)があった場合でも、野党・参院民主党の提出した法案が可決する前例が出来たと思います。

 民主党は1998年の結党以来、通常国会で、本予算を3月31日までに成立(採決)させなかったことは一度もありません。ですから、政権交代後、2010年3月24日、2011年3月29日と年度内成立に成功しており、細川・羽田内閣のトラウマ(第129通常国会で1994年6月23日成立までずれ込んだことがありました。

 これからは、衆院民主党は野党転落時を想定し、参院自民党は与党返り咲き時を想定して国会を運営して欲しいと考えます。蝸牛の歩みのようにも思えますが、国会は前に進んでいます。時間がかかるのは民主政治のコストです。

 それにしても、マスコミはもうちょっと報道したらどうなんでしょうか。

 なお、このエントリーは速報版です。というのは、私は「原賠機構法案」と「仮払い法案」がどう修正されたのか、現時点でよく分かりません。けっこう、そういうときには隙ができやすいのですが、まだプロセスは残っています。あすの新聞でじっくり深掘りして読むのを楽しみにしています。

[当ブログ内エントリーから全文引用おわり]

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