
[写真]未明に、平和安全法制が成立した日の昼下がり、荒川を草枕に物思う私でしたが、もうどうにもなりません。
北朝鮮をめぐり、我が国にとって太平洋戦争終戦後で最大の緊張とされる情勢になるなか、「戦争法」が絶妙なタイミングで完成しました。私としても、もはや、運命に身を任せるしかない、という心情です。
新しい日米ACSA協定
(日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援,物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定)
条約が、きょう、平成29年2017年4月25日(火)公布され、発効しました。我が国の条約番号は「平成29年4月25日条約7号」。「官報特別号外第9号」(特別号外の番号はその年の1月から割り振る)に載りました。
今までの条約から切り替わり、集団的自衛権の行使容認にともない、切れ目なく、平時でも有事でも、韓国領海でも公海でもホルムズ海峡でも、武器や銃弾(弾薬)をアメリカ軍に提供することができます。消費税は非課税となります。
2014年7月の解釈改憲、2015年4月の新ガイドライン、2015年9月の平和安全法制に続き、日米の集団的自衛権行使可能とする一連の法制が完成しました。
例えば、日本の補給艦が韓国領海内でアメリカの補給艦に補給することが特措法無しで可能になります。
日豪ACSA、日英ACSAを、自衛隊法に書き込む法案はきのう衆議院の委員会で「可決すべし」と決まっており、日仏ACSAなども今後締結される見通し。
時の流れのいたずらで、昨年10月14日に国会提出されたこの条約は、TPPとパリ協定優先の与党方針のため、ずれこみ、4月14日(金)の定例参院本会議で成立。その後、4月21日(金)の定例閣議で決定しており、きょう公布されました。条約の立てつけでは、新条約発効とともに、旧条約から切り替わることになっていますので、現時点で、日米とも有効な二国間国際約束になっているんだろうと思います。
新条約の全文は以下の通り。
[外務省ウェブサイトから全文引用はじめ]
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援,物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定
日本国政府及びアメリカ合衆国政府(以下個別に「当事国政府」といい、「両当事国政府」と総称する。) は 日 、 本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する枠組 みを設けることが、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間の緊密な協力を促進し、千九百六十年一月 十九日にワシントンで署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「条 約」という。)の円滑なかつ効果的な運用に寄与することを認識し、 このような枠組みを設けることが、相互の後方支援について、日米防衛協力のための指針において言及さ れている二国間協力の実効性に寄与することを認識し、 このような枠組みを設けることが、日本国の自衛隊及びアメリカ合衆国軍隊が行う活動においてそれぞれ の役割を一層効率的に果たすことを促進し、並びに国際の平和及び安全に積極的に寄与することを理解し て 次 、 のとおり協定した。 第一条 1この協定の適用上、次の用語は、次のとおり定義される。 a「後方支援、物品又は役務」とは、後方支援において提供される物品又は役務をいう。この協定に基 づいて提供される後方支援、物品又は役務は、次に掲げる区分に係るものとする。 食料、水、宿泊、輸送(空輸を含む。)、燃料・油脂・潤滑油、被服、通信業務、衛生業務、基地活 動支援(基地活動支援に付随する建設を含む。)、保管業務、施設の利用、訓練業務、部品・構成品、 修理・整備業務(校正業務を含む。)、空港・港湾業務及び弾薬 それぞれの区分に係る後方支援、物品又は役務の例については、付表1において定める。 ⅰ後方支援、物品又は役務には、汎用車両その他の非致死性の軍事上の装備品の一時的な使用であっ て、それぞれ自国の国内法令により認められるものを含む。 ⅱ後方支援、物品又は役務の提供には、日本国の自衛隊による武器の提供又はアメリカ合衆国軍隊に よる武器システムの提供を含まない。 b「重要影響事態」とは、日本国の平和及び安全に重要な影響を与える事態をいう。 c「武力攻撃事態」とは、日本国に対する武力攻撃が発生した事態又は日本国に対する武力攻撃が発生 する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態をいう。 d「武力攻撃予測事態」とは、武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、日本国に対する武力 攻撃が予測されるに至った事態をいう。 e「存立危機事態」とは、日本国と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本国 の存立が脅かされ、日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事 態をいう。 2この協定は、日本国の自衛隊及びアメリカ合衆国軍隊がそれぞれ自国の法令に従って行う活動であっ て、次条から第六条までに定めるもののための後方支援、物品又は役務の日本国の自衛隊とアメリカ合衆 国軍隊との間における相互の提供に関する基本的な条件を定めることを目的とする。 3この協定は、相互主義の原則に基づく後方支援、物品又は役務の提供のための枠組みについて定める。 4この協定に基づいて提供される後方支援、物品又は役務の使用は、国際連合憲章その他の適用可能な国 際法と両立するものでなければならない。 5この協定に基づいて行われる後方支援、物品又は役務の要請、提供、受領及び決済については、日本国 の自衛隊及びアメリカ合衆国軍隊(この協定の適用上、アメリカ合衆国国防省の全ての機関を含む。)が 実施する。 第二条 いずれか一方の当事国政府が、日本国の自衛隊及びアメリカ合衆国軍隊の双方の参加を得て行われる訓練 のための後方支援、物品又は役務の提供を他方の当事国政府に対してこの協定に基づいて要請する場合に は、当該他方の当事国政府は、その権限の範囲内で、要請された後方支援、物品又は役務を提供することが できる。 第三条 1aいずれか一方の当事国政府が、日本国の自衛隊若しくはアメリカ合衆国軍隊が行う国際連合平和維持 活動、国際連携平和安全活動若しくは人道的な国際救援活動又は大規模な災害に係る活動のための後方 支援、物品又は役務の提供を他方の当事国政府に対してこの協定に基づいて要請する場合には、当該他 方の当事国政府は、その権限の範囲内で、要請された後方支援、物品又は役務を提供することができ る。 baに規定する大規模な災害に係る活動とは、アメリカ合衆国軍隊が災害救援活動を行い、かつ、日本 国の自衛隊が国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)に定める 業務を実施する場合における当該活動を意味する。 2日本国の自衛隊が1の規定に基づいてアメリカ合衆国軍隊により後方支援、物品又は役務の提供を要請 される場合には、日本国の自衛隊によるアメリカ合衆国軍隊に対する後方支援、物品又は役務の提供は、 1bに規定する法律に従って行われるものと了解される。 第四条 1いずれか一方の当事国政府が、重要影響事態に際して日本国の自衛隊又はアメリカ合衆国軍隊が行う活 動であって、条約の目的の達成に寄与するもの又はその他の国際連合憲章の目的の達成に寄与するものの ための後方支援、物品又は役務の提供を他方の当事国政府に対してこの協定に基づいて要請する場合に は、当該他方の当事国政府は、その権限の範囲内で、要請された後方支援、物品又は役務を提供すること ができる。 2日本国の自衛隊が1の規定に基づいてアメリカ合衆国軍隊により後方支援、物品又は役務の提供を要請 される場合には、日本国の自衛隊によるアメリカ合衆国軍隊に対する後方支援、物品又は役務の提供は、 重要影響事態に対処するための日本国の措置について定めた日本国の関連の法律に従って行われるものと 了解される。 第五条 1いずれか一方の当事国政府が、日本国の自衛隊又はアメリカ合衆国軍隊が行う次の活動のための後方支 援、物品又は役務の提供を他方の当事国政府に対してこの協定に基づいて要請する場合には、当該他方の 当事国政府は、その権限の範囲内で、要請された後方支援、物品又は役務を提供することができる。 a武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態に際して、日本国に対する武力攻撃を排除するために必要な活動 b存立危機事態に際して、日本国と密接な関係にある国に対する武力攻撃であって、これにより日本国 の存立が脅かされ、日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるも のを排除するために必要な活動 2日本国の自衛隊が1の規定に基づいてアメリカ合衆国軍隊により後方支援、物品又は役務の提供を要請 される場合には、日本国の自衛隊によるアメリカ合衆国軍隊に対する後方支援、物品又は役務の提供は、 武力攻撃事態、武力攻撃予測事態及び存立危機事態に対処するための日本国の措置について定めた日本国 の関連の法律に従って行われるものと了解される。 第六条 1いずれか一方の当事国政府が、第二条から前条までの規定の適用を受ける活動以外の活動であって、国 際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、大規模災害への対処その他の目的のために日 本国の自衛隊又はアメリカ合衆国軍隊が行うもののための後方支援、物品又は役務の提供を他方の当事国 政府に対してこの協定に基づいて要請する場合には、当該他方の当事国政府は、その権限の範囲内で、要 請された後方支援、物品又は役務を提供することができる。 2日本国の自衛隊が1の規定に基づいてアメリカ合衆国軍隊により後方支援、物品又は役務の提供を要請 される場合には、日本国の自衛隊によるアメリカ合衆国軍隊に対する後方支援、物品又は役務の提供は、 国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、国際社会が共同して対処するものに対処するための日本 国の措置について定めた日本国の関連の法律又は付表2に定める日本国の法律の規定であってその時に有 効なものに従って行われるものと了解される。 第七条 1この協定に基づく後方支援の提供に係る決済の手続は、次のとおりとする。 a物品の提供については、 ⅰ物品を受領した当事国政府(以下「受領当事国政府」という。)は、当該物品を提供した当事国政 府(以下「提供当事国政府」という。)にとって満足のできる状態及び方法で当該物品を返還する。 ただし、ⅱの規定の適用を妨げるものではない。 ⅱ提供された物品が消耗品である場合又は受領当事国政府が当該物品を提供当事国政府にとって満足 のできる状態及び方法で返還することができない場合には、受領当事国政府は、同種、同等及び同量 の物品を提供当事国政府にとって満足のできる状態及び方法で返還する。ただし、ⅲの規定の適用を 妨げるものではない。 ⅲ受領当事国政府が提供された物品と同種、同等及び同量の物品を提供当事国政府にとって満足ので きる状態及び方法で返還することができない場合には、受領当事国政府は、提供当事国政府に対して 提供当事国政府の指定する通貨により償還する。 b役務の提供については、提供当事国政府の指定する通貨により提供された役務を償還するか又は同種 であり、かつ、同等の価値を有する役務を提供することによって決済する。決済の方法については、当 該役務が提供される前に両当事国政府の間で合意する。 2両当事国政府は、それぞれの国の法律が許容する範囲内で又は適用される国際協定に基づき、この協定 に基づいて提供される後方支援、物品又は役務に対していかなる税も課されないことを確保する。いずれ の当事国政府も、この協定に基づいて提供される役務に対して内国消費税を課さないものとする。 第八条 前条1aⅲ及びbの規定に従って償還される後方支援、物品又は役務の価格は、第十条に規定する手続取 極に定める関連規定に基づいて決定される。 第九条 この協定に基づいて提供される後方支援、物品又は役務については、提供当事国政府の書面による事前の 同意を得ないで、一時的であれ又は永続的であれ、いかなる手段によっても日本国の自衛隊又はアメリカ合 衆国軍隊以外の者又は団体に移転してはならない。 第十条 この協定に基づいて行われる後方支援、物品又は役務の要請、提供、受領及び決済の実施については、こ の協定の下で締結され、及びこの協定により規律され、並びに条件の補足的な細目及び手続であってこの協 定を実施するためのものを定める手続取極にのみ従うものとする。手続取極は、日本国防衛省とアメリカ合 衆国国防省との間で締結される。 第十一条 1この協定は、千九百六十年一月十九日にワシントンで署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互 協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定 に基づく両当事国政府の権利及び義務に影響を及ぼすものではない。 2両当事国政府は、この協定の実施に関し相互に緊密に協議する。 3この協定及び手続取極の解釈又は適用に関するいかなる事項も、両当事国政府の間の協議によってのみ 解決されるものとする。 第十二条 1この協定は、日本国及びアメリカ合衆国によりそれぞれの国内法上の手続に従って承認されなければな らない。この協定は、その承認を通知する外交上の公文が交換された日に効力を生ずる。この協定は、十 年間効力を有するものとし、その後は、いずれか一方の当事国政府がそれぞれの十年の期間が満了する少 なくとも六箇月前に他方の当事国政府に対してこの協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、 順次それぞれ十年の期間、自動的に効力を延長されるものとする。 21の規定にかかわらず、各当事国政府は、他方の当事国政府に対して一年前に書面により通告すること によって、いつでもこの協定を終了させることができる。この協定の終了の後においても、この協定の条 件に従った財政上の義務及び合意された移転は、別段の合意がない限り、履行されるまで拘束力を有す る。 3この協定は、両当事国政府の書面による合意によって改正することができる。この協定の改正は、アメ リカ合衆国政府が日本国政府から日本国が当該改正を承認した旨の書面による通告を受領した日に効力を 生じ、この協定が有効である限り効力を有する。ただし、この協定の付表2は、両当事国政府の書面によ る合意により、この協定を改正することなく修正することができる。付表2の修正は、両当事国政府間の 外交上の公文の交換によって確認された日に効力を生ずる。 4千九百九十六年四月十五日に東京で署名された日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後 方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(千九百九十 八年四月二十八日及び二千四年二月二十七日にそれぞれ東京で署名された日本国の自衛隊とアメリカ合衆 国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府と の間の協定を改正する協定による改正を含む。)(以下「千九百九十六年協定」という。)は、この協定 の効力発生の日に効力を失う。千九百九十六年協定の条件に従った財政上の義務及び合意された移転は、 別段の合意がない限り、履行されるまで拘束力を有する。 以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。 二千十六年九月二十六日に東京で、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。 日本国政府のために 岸田文雄 アメリカ合衆国政府のために キャロライン・ケネディ 付表1 区分各区分の例 食料、食事の提供、調理器具及びこれらに類するもの食料 水水、給水、給水に必要な用具及びこれらに類するもの 宿泊宿泊設備及び入浴設備の利用、寝具類並びにこれらに類するもの 輸送(空輸を含む。)人又は物の輸送、輸送用資材及びこれらに類するもの 燃料・油脂・潤滑油燃料、油脂及び潤滑油、給油、給油に必要な用具並びにこれらに類するもの 被服被服、被服の補修及びこれらに類するもの 通信業務通信設備の利用、通信業務、通信機器及びこれらに類するもの 衛生業務診療、衛生機具及びこれらに類するもの 基地活動支援(基地活動廃棄物の収集及び処理、洗濯、給電、環境面の支援、建設、消毒機具及び消毒並びにこれらに類するもの 支援に付随する建設を含 む。) 保管業務倉庫又は冷蔵貯蔵室における一時的保管及びこれに類するもの 建物、施設及び土地の一時的利用並びにこれらに類するもの施設の利用 訓練業務指導員の派遣、教育訓練用資材、訓練用消耗品及びこれらに類するもの 部品・構成品軍用航空機、軍用車両及び軍用船舶の部品又は構成品並びにこれらに類するもの 修理・整備業務(校正業修理及び整備、修理及び整備用機器並びにこれらに類するもの 務を含む。) 空港・港湾業務航空機の離発着及び艦船の出入港に対する支援、積卸作業並びにこれらに類するもの 弾薬、弾薬の提供、弾薬の提供に必要な用具及びこれらに類するもの弾薬 付表2 日本国の法律の規定 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百条の六(同条第一項第一号に掲げるアメリカ合衆国 の軍隊に対する物品又は役務の提供に係る部分を除く。)
[外務省ウェブサイトから全文引用おわり]
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