田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

宇宙飛行士・山崎直子 in 札幌

2011-03-08 12:33:07 | 講演・講義・フォーラム等
 いかにも聡明、いかにも謙虚、宇宙飛行士・山崎直子さんはJAXA(宇宙航空研究開発機構)の広報ウーマンとして宇宙の体験を、宇宙の未来を明るい表情で語った。

        
        ※ 北大学術交流会館前に立てられたフォーラムの案内看板

 イベント名は「JAXAきぼう利用フォーラム 札幌セミナー2011 北海道が拓く「きぼう」のNEXT STAGE」という長い名前だったが、これだけではどのようなイベントの内容なのか想像できる方は少ないのではないだろうか。
 少し説明すると、国際宇宙ステーション(ISS)には有人実験施設「きぼう」という日本の実験棟が取り付けられている。
 この実験施設「きぼう」を有効活用する道を探ることと、そのことをPRすることが今回のフォーラムのねらいだった。

 3月4日(金)、北大学術交流会館で行われたフォーラムは、JAXA職員による「きぼう」利用の現状と課題、伊藤忠先端技術戦略研究所長の基調講演、山崎直子氏の特別講演、そして山崎氏を含めた識者5名によるパルディスカッションと多岐にわたったが、フォーラムの隠れ(?)テーマが「宇宙の食文化に北海道が貢献できないか」というものであった。したがって、各氏の発言も『食』に関わる発言が相次いだ。
 ここでは山崎氏の発言を主としてレポートすることにする。

        
        ※ 講演をする山崎直子氏です。

◇宇宙で利用される食品はHACCP(米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理方式 9ヶ月の安全性の確保)の基準をクリアしたものでなければならない。
◇宇宙食も当初とは違い、研究・開発が進んで今や約300種ものメニューがある。
◇ISSにはギャリーが備えられていて、水やお湯を加えるなどの簡単な調理ができるようになっている。
◇ISSの宇宙飛行士を招いての「寿司パーティー」はとても好評だった。
◇宇宙食が地上で応用されることも大切である。例えば、チリ鉱山事故では日本の宇宙食が地底に送られ役立った。 等など…。

        
        ※ 山崎氏がISSに滞在したときの宇宙飛行士たちです。

 パネルディスカッションの質疑応答では、山崎氏に質問が集中したが、山崎氏はその一つひとつに対して丁寧に答えていった。その中から一つ、二つ…。
◇宇宙船内は意外に“臭い”が気になった。食事を摂ることで発生する臭いが抜けきらないようだ。
◇宇宙船内は機器類でいっぱいである。快適な空間を追求する必要がありそうだ。

        
        ※ パネルディスカッションの様子です。右端が山崎氏です。

 他のパネラーからは、「北海道の食材は世界一」、「北海道の水は世界的」、「北海道の食戦略の一環として宇宙食の開発を!」といった意見が相次いだ。
 北海道の経済を語るとき、北海道の農業を語るとき、いつも言われることは「素材は一級なのだが…」という言葉である。
 こうした現状からの一日も早い脱却が望まれるのだが…。

 「北海道の食材で宇宙食の開発を!」とは、ある意味格好のテーマではないだろうか。山崎直子さんもその応援団になってくれそうである。