五木寛之はいう「前向きに生きるとともに、後ろを振り返ることも必要」だと…。また、「嘆くこと、悲しむことも必要で、それは喜ぶことと等価値をもつもの」なのだと…。五木氏はしなやかな心で生きよ、と説いた。
「自殺予防講演会」…、3月5日(土)市民ホールにおいてちょっと耳慣れない講演会があった。
講演会の趣旨に興味があったわけではない。講師が五木寛之氏と知り、彼への興味から応募して会場に赴いたというわけである。
五木氏の講演の前に自殺に関する現状についての説明があった。日本国内では毎年3万人以上、札幌市内でも年々増えて平成20年には477人を数えたそうだ。交通事故死をはるかに上回る大変な数字である。無関心だった私に現状の深刻さを突き付けられた思いだった。
五木氏は「いまを生きる力」と題されての講演だった。
五木氏は戦後の日本社会を次のように読み解くという。
戦後の日本の流れを登山に例えると、戦後50年は山を登る時代だった。その後10年の空白の期間を経て、今は山を降りる時代であると…。
また、次のようにも例えた。戦後の50年は「躁の時代」だったが、現在は「鬱の時代」に入っていると…。
氏は直接口にはしなかったが、「鬱の時代」に入り自殺者が急増していると言いたかったに違いない。社会の混乱期には自殺者が増えるとも説いた。
なぜ社会が混乱しているのか?
五木氏は、日本は戦後(正しくは明治維新以降)欧米の価値観を必死に取り入れようとしてきた。その価値観とはルネサンス期に発するヒューマニズムの考え方である。その人間中心主義とも解されるヒューマニズムの考え方が今崩れつつあるという。
環境問題が私たちの前に大きく立ちはだかってきた今、人間中心主義の考え方では解決できないことが数多く現出してきたと五木氏は指摘する。
自然界の万物には全てに命があり、私たち人間は生きるためにそれら他の命をいただいているという価値観の転換を図らねばならないと…。(この世はけっして人間中心の世ではないのだと…)
そしてこうした混乱の時代がまだまだしばらく続くと五木氏は言います。
それではそうした混乱の時代、冬の時代を生きていくには何が必要かというと、「プラス思考だけではだめで、マイナス志向も大切である」と五木氏は言います。
喜び、笑い、歓声だけでなく、悲しみ、嘆き、悩むことも大切にしたいと…。
前向きに生きるとともに、時には後ろを振り返ることも大切である。
人生などというものは、そこそこの苦であると考えると心が軽くなるではないか。
固い心は壊れやすい、しなやかな心を持ちたい。
吸う息より、吐く息を大切にしたい。ため息をたくさんするのが良い。
私もこのステージを降りたら、大きなため息をするだろう、といいながら講演を終えた。
「自殺予防講演会」…、3月5日(土)市民ホールにおいてちょっと耳慣れない講演会があった。
講演会の趣旨に興味があったわけではない。講師が五木寛之氏と知り、彼への興味から応募して会場に赴いたというわけである。
五木氏の講演の前に自殺に関する現状についての説明があった。日本国内では毎年3万人以上、札幌市内でも年々増えて平成20年には477人を数えたそうだ。交通事故死をはるかに上回る大変な数字である。無関心だった私に現状の深刻さを突き付けられた思いだった。
五木氏は「いまを生きる力」と題されての講演だった。
五木氏は戦後の日本社会を次のように読み解くという。
戦後の日本の流れを登山に例えると、戦後50年は山を登る時代だった。その後10年の空白の期間を経て、今は山を降りる時代であると…。
また、次のようにも例えた。戦後の50年は「躁の時代」だったが、現在は「鬱の時代」に入っていると…。
氏は直接口にはしなかったが、「鬱の時代」に入り自殺者が急増していると言いたかったに違いない。社会の混乱期には自殺者が増えるとも説いた。
なぜ社会が混乱しているのか?
五木氏は、日本は戦後(正しくは明治維新以降)欧米の価値観を必死に取り入れようとしてきた。その価値観とはルネサンス期に発するヒューマニズムの考え方である。その人間中心主義とも解されるヒューマニズムの考え方が今崩れつつあるという。
環境問題が私たちの前に大きく立ちはだかってきた今、人間中心主義の考え方では解決できないことが数多く現出してきたと五木氏は指摘する。
自然界の万物には全てに命があり、私たち人間は生きるためにそれら他の命をいただいているという価値観の転換を図らねばならないと…。(この世はけっして人間中心の世ではないのだと…)
そしてこうした混乱の時代がまだまだしばらく続くと五木氏は言います。
それではそうした混乱の時代、冬の時代を生きていくには何が必要かというと、「プラス思考だけではだめで、マイナス志向も大切である」と五木氏は言います。
喜び、笑い、歓声だけでなく、悲しみ、嘆き、悩むことも大切にしたいと…。
前向きに生きるとともに、時には後ろを振り返ることも大切である。
人生などというものは、そこそこの苦であると考えると心が軽くなるではないか。
固い心は壊れやすい、しなやかな心を持ちたい。
吸う息より、吐く息を大切にしたい。ため息をたくさんするのが良い。
私もこのステージを降りたら、大きなため息をするだろう、といいながら講演を終えた。