足利事件冤罪被害者の菅家利和さんは訴える。「否認しても認められず、悔しかった」、「追及に疲れてしまい、あきらめてしまった」、「悔し涙を悔恨の涙と受け取られてしまった」…、「同じような冤罪を生まないでほしい」と…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/ad/85f5eb3c8e52e6a6917fdedf1e6ccc22.jpg)
3月7日(月)、札幌市教育文化会館で「取り調べの全面可視化を考えるシンポジウム」が札幌弁護士会の主催で開催され参加してきた。
名称は「考えるシンポジウム」となっていたが、弁護士会の主催であるからむしろ「求めるシンポジウム」という方が相応しい内容であった。
その内容は多岐にわたっていた。
趣旨説明、取り調べの状況を録音したテープの公開、寸劇、現状報告、そして菅家さんを交えたパネルディスカッション、等々…。
菅家さんの発言についてはリード文で記したものがそのほとんどだったので、集会の中で印象深かった映画監督の周防正行監督(映画『それでもボクはやっていな』の監督)が弁護士と対談された内容の一部を取り上げ、レポートすることにする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/fa/de2f36fee91fb5f3e5cacdde5222bdb3.jpg)
※ 「全面可視化」について持論を述べる周防正行監督
周防監督はある痴漢事件が逆転無罪になった事件を2年間にわたって調べる中で、日本の裁判に矛盾を感じ、その怒りがもとになって『それでもボクはやっていない』という映画が完成したと語った。
その矛盾とは、日本の裁判においては被告が法廷で裁かれる際99.9%は真犯人として裁かれているという。つまり裁判官は検察官の調書を信頼し、そこに記載されている「自白」を前提として量刑を言い渡しているだけだと…。
だから現在の警察や検察官の取り調べは被疑者から「自白」を取ることが主となっているようなのである。
そして周防監督は言う。「裁判で真実が明らかになるなどというのは幻想に過ぎない」と…。
冤罪を防ぐには、密室で「自白」を強要するような取り調べを防ぐためにも「全面可視化」が絶対に必用だと周防監督は強調した。
確かに、会場に流された取り調べの状況を録音した様子からは「これが今現在日本で行われている取り調べの実態なの?」と驚くほど強圧的、暴力的な言葉を投げつけ、「自白」を強要する取り調べの様子だった。
また、周防監督は取り調べの可視化の要求が高まる中で、取り調べ側が「一部可視化」の実施を唱えたり、試行したりしているが、この方法は現在の取り調べ方法を強化する方法であり、最悪の選択であるという。
それは「一部可視化」だと、いくらでも編集が可能であり実態がさらに闇に葬られる恐れがあるという。映画はそうした意味ではいくらでも編集して作り話が可能なものだと聴いている私たちを笑わせた。
そして周防監督は「全面可視化」を実施することによって、これまで行われてきた取り調べ方法を進化させるためのキッカケにすべきだと強調した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/47/f0a8e12b8eea253ba942b27dbc50ecf9.jpg)
※ パネルディスカッションで取り調べの不当性を訴える菅家利和さん
です。右側は担当弁護士だった笹森学弁護士、右は周防監督です。
全体を聴き終え、人権問題が高まりを見せる中、もはや「全面可視化」は避けて通れないものと考えられる。
事件捜査や取り調べが難しくなるといった議論もあるだろうが、「真実」を求めるに当たって「強要」はけっして許されるべきものではない。「全面可視化」を実施しながらも「真実」を明らかにする努力が求められているのだと思う。
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3月7日(月)、札幌市教育文化会館で「取り調べの全面可視化を考えるシンポジウム」が札幌弁護士会の主催で開催され参加してきた。
名称は「考えるシンポジウム」となっていたが、弁護士会の主催であるからむしろ「求めるシンポジウム」という方が相応しい内容であった。
その内容は多岐にわたっていた。
趣旨説明、取り調べの状況を録音したテープの公開、寸劇、現状報告、そして菅家さんを交えたパネルディスカッション、等々…。
菅家さんの発言についてはリード文で記したものがそのほとんどだったので、集会の中で印象深かった映画監督の周防正行監督(映画『それでもボクはやっていな』の監督)が弁護士と対談された内容の一部を取り上げ、レポートすることにする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/fa/de2f36fee91fb5f3e5cacdde5222bdb3.jpg)
※ 「全面可視化」について持論を述べる周防正行監督
周防監督はある痴漢事件が逆転無罪になった事件を2年間にわたって調べる中で、日本の裁判に矛盾を感じ、その怒りがもとになって『それでもボクはやっていない』という映画が完成したと語った。
その矛盾とは、日本の裁判においては被告が法廷で裁かれる際99.9%は真犯人として裁かれているという。つまり裁判官は検察官の調書を信頼し、そこに記載されている「自白」を前提として量刑を言い渡しているだけだと…。
だから現在の警察や検察官の取り調べは被疑者から「自白」を取ることが主となっているようなのである。
そして周防監督は言う。「裁判で真実が明らかになるなどというのは幻想に過ぎない」と…。
冤罪を防ぐには、密室で「自白」を強要するような取り調べを防ぐためにも「全面可視化」が絶対に必用だと周防監督は強調した。
確かに、会場に流された取り調べの状況を録音した様子からは「これが今現在日本で行われている取り調べの実態なの?」と驚くほど強圧的、暴力的な言葉を投げつけ、「自白」を強要する取り調べの様子だった。
また、周防監督は取り調べの可視化の要求が高まる中で、取り調べ側が「一部可視化」の実施を唱えたり、試行したりしているが、この方法は現在の取り調べ方法を強化する方法であり、最悪の選択であるという。
それは「一部可視化」だと、いくらでも編集が可能であり実態がさらに闇に葬られる恐れがあるという。映画はそうした意味ではいくらでも編集して作り話が可能なものだと聴いている私たちを笑わせた。
そして周防監督は「全面可視化」を実施することによって、これまで行われてきた取り調べ方法を進化させるためのキッカケにすべきだと強調した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/47/f0a8e12b8eea253ba942b27dbc50ecf9.jpg)
※ パネルディスカッションで取り調べの不当性を訴える菅家利和さん
です。右側は担当弁護士だった笹森学弁護士、右は周防監督です。
全体を聴き終え、人権問題が高まりを見せる中、もはや「全面可視化」は避けて通れないものと考えられる。
事件捜査や取り調べが難しくなるといった議論もあるだろうが、「真実」を求めるに当たって「強要」はけっして許されるべきものではない。「全面可視化」を実施しながらも「真実」を明らかにする努力が求められているのだと思う。