充実している博物館施設
今回の旅で私はニュージーランドの四つの博物館を訪れた。その四つとは…、
《ダニーデン市》
◇オタゴ博物館
◇オタゴ入植者博物館
《オークランド市》
◇オークランド戦争記念博物館
◇トーピードゥー湾海軍博物館
の四つである。
断っておくが、私は別に博物館マニアではない。ただ、博物館を覗くとその国の、その地方のあらましを把握することができるのではないか、との思いから覗いてみたに過ぎない。
ダニーデン市は人口12万人である。そこに二つの博物館が存在している。
オタゴ博物館は本格的な総合博物館だった。マオリ族の歴史に始まり、オタゴ州の歴史的な遺産を展示し、そしてオタゴの豊かな自然を誇り展示しているものだった。
印象的だったのは、博物館スタッフがマオリ紋様と思われる紋様をプリントしたシャツを着用していたことである。
※ オタゴ博物館の名称が入った建物側面を撮った。
※ 博物館スタッフが着用していたマオリ族文様(?)が入ったシャツを撮らせてもらった。
オタゴ入植者博物館は、その名のとおりスコットランド人の入植以来の歴史を展示するものだったが、こちらもなかなか本格的なものだった。
人口12万にして、本格的な博物館を二つも有していることに私は日本の現状を顧みて驚きを禁じ得なかった。
※ 開拓当初にこの地方を走っていた機関車が展示してあった。
オークランド市はニュージーランド最大の都市といわれているか、それでも人口は約43万人である。
オークランド戦争記念博物館は、その名称から戦争物だけを扱った博物館のように錯覚するが、実際は総合博物館である。3階構造になっていたが、1階は主としてマオリ族に関する展示だった。オタゴ博物館でもそうだったが、まず最初に展示されているのがマオリ族に関する展示だったところに、ニュージーランドが国として先住民族であるマオリ族を敬愛しようとする姿勢を感じ取れた。
2階はニュージーランドの自然を主として展示し、3階になってようやく戦争に関した展示となっていた。(戦争関係はやはり戦勝国側から見た展示となっていた)
※ オークランド戦争記念博物館の堂々たる建物である。
※ オタゴ博物館でも、ここでもマオリ族に関する展示が充実していた。
そして最後のトーピードゥー湾海軍博物館は、どちらかといえばローカルな海軍だけに特化した博物館といえた。
※ トーピードゥー湾海軍博物館の外観です。
私はこうしたニュージーランドの充実した博物館施設を前にして、日本、ひいては札幌の現実に立ち帰らざるを得なかった。
人口190万都市を誇る札幌市に道立はおろか、市立の博物館も存在しないのである。類似施設はあるとはいっても、まだ総合的な博物館が存在しないことを私たちはどう考えたら良いのだろうか?
ニュージーランドの充実した展示を誇る博物館を前にして、日本人である私は考え込まざるを得なかった…。