いやいやとんでもないところに迷い込んでしまった! シンポジウムは完全に研究者同士の研究成果の発表の場だった。しかし「参加したからには…」の思いで懸命に研究者たちの発表に耳を傾けた。
連休三日間の国際シンポジウムに参加した私は、懲りもせず翌日5日(火)に市民公開講座という形で一日日程で開催された表記シンポジウムに参加した。
後記するように一日日程のシンポジウムで、日本とロシアの科学者の研究報告を計10本にわたって聴いたことになる。
前回のシンポジウムと同じように全ての報告を詳しくレポートすることは、量的にも、私の力量的にも難しいので、全体の報告の印象を記してお茶を濁すことにする。
報告は全て日本(北大)とロシアの共同研究の成果を報告するものだった。
10本の報告のうち、実に7本がロシア人研究者の報告だったが、彼らが口々に述べていたことが、日本側の招待に対して感謝の言葉であった。このことは断言できないが、共同研究とはいってもその費用の大半は日本側が負担していたのでは、と思ってしまったのだが、はたして真相は?
また、共同研究は早いもので1980年代から始まったようだが、広い範囲で本格的に始められたのは1990年代に入ってからということで、すでに20年以上経過している研究分野が多かった。
共同研究の意義としては、ロシア極東における自然現象の変化は日本、特に北海道に多大な影響を及ぼすという観点から始められたようだ。
研究はオホーツク海に注ぐ大河アムール川の水質の変化、オホーツク海を囲むカムチャッカ・千島・極東の火山活動と地震、極東陸域における自然現象etc.と多岐に及んだ。
印象に残った報告としては、近年になってアムール川流域の開発が進み、川の水質が変化してきていて、それがオホーツク海に生息する魚類に大きな影響を与えているとのことだった。特に鉄分の含有量が減少していることが憂慮されるという。
また、オホーツク海を囲むように火山噴火・地震が環を作るように発生している。特にカムチャッカの火山活動が活発化していて目が離せない状況であるという。火山活動の活発化は連鎖反応もおおいにあり得るので、監視体制を一層強める必要があるとした。
さらに、極東内陸地区においてはシベリアの特徴の一つである針葉樹林地帯(タイガ)の変化が報告された。タイガは永久凍土地帯に位置しているのだが、地球温暖化の影響によって凍土が融け湿地化が進んでいるという。湿地化することでタイガ樹林帯が枯死する危険にさらされているという。
こうした極東の一つ一つの自然現象の変化が日本にも大きな影響を及ぼすことは私が言うまでもないことである。広大な極東における調査・研究は大きな困難を伴うと想像されるが、ロシア・日本両国のために今後も研究を進め、環境の保全・維持、あるいは対策に科学者の立場から警鐘を鳴らしてほしいものである。
※ ここから以降は、私の受講記録のためなので目を通す必要はないとも思われます。
受講案内にはこう記されていた。
「本学は、我が国において、極東ロシアとの自然科学分野の協力活動で最も活発に取り組んでいます。本学のこれまでの取組みをカウンターパートのロシア人研究者や国内の関連研究者も交えて紹介するとともに、今後の協力のありかた、可能性を探るシンポジウムを開催します」
【日ロ学術シンポジウム「知られざる極東ロシア」全プログラム】
◆セッション1. 海洋・地球環境分野(10:00~11:50)
◇「北大との協力による低温海域研究の過去、現状、そして未来」
オレグ ソコロフ(極東海洋気象研究所副所長)
◇「アムール流域における最近の生態問題及び北大との研究協力の見通し」
ボリス ボロノフ(ロシア科学アカデミー極東本部 水・生態問題研究所長)
◇「氷河・火山・気候相互作用研究:カムチャツカ半島における北大との長期共同研究の成果からみる古気候・火山災害的意義」
ヤロスラフ ムラビヨフ(ロシア科学アカデミー極東支部 火山地震研究所
副所長)
◇「環オホーツク海地域の環境変動に関する日ロ共同研究」
江淵 直人(北海道大学 低温科学研究所 教授)
◆セッション2 カムチャツカ、千島、極東での地震火山研究(13:00~14:20)
◇「火山に関する日ロ共同研究」
エフゲニー ゴルディエフ(ロシア科学アカデミー極東支部
火山地震研究所長)
◇「ロシア極東における地震観測~連邦プロジェクトと国際協力
アレクセイ マロビチコ(ロシア科学アカデミー 地球物理調査所長)
◇「ロシア極東の地震火山研究~研究と防災~」
高橋 浩晃(北海道大学 地震火山観測センター 准教授)
◆セッション3 サハ地域のおける陸域環境モニタリング(14:30~16:00)
◇「ロシアにおける大学システムの改革と国際協力」
ワシリー ワシリエフ(北東連邦大学副学長)
◇「ロシア東シベリア永久凍土生態系の長期日ロ共同研究」
トロフィム マキシーモフ(ロシア科学アカデミー 寒冷圏生物学研究所
永久凍土生態系研究室長/北東連邦大学)
◇「サハにおける16年のフィールドワーク:共同研究とその成果」
杉本 敦子(北海道大学 大学院地球環境科学研究院 教授)
◆パネルディスカッション(16:10~17:50)
「極東・東シベリアにおける日ロ協力の展開のあり方~社会科学との融合や人材育成も日本の研究ハブ機能の構築に向けて~」
・ヴァレンチン セルギエンコ(ロシア科学アカデミー極東支部 総裁)
・ポリス ボロノフ(ロシア科学アカデミー 水・エコロジー問題研究所長)
・西村 可明(環日本海経済研究所 代表理事・所長)
・長野 裕子(文部科学省 科学技術・学術戦略官<国際担当>)
・行松 泰弘(北海道大学 創成研究機構 URAステーション長)
・白岩 孝行(北海道大学 低温科学研究所 准教授)
司会・田畑伸一郎(北海道大学 スラブ研究センター 教授)
連休三日間の国際シンポジウムに参加した私は、懲りもせず翌日5日(火)に市民公開講座という形で一日日程で開催された表記シンポジウムに参加した。
後記するように一日日程のシンポジウムで、日本とロシアの科学者の研究報告を計10本にわたって聴いたことになる。
前回のシンポジウムと同じように全ての報告を詳しくレポートすることは、量的にも、私の力量的にも難しいので、全体の報告の印象を記してお茶を濁すことにする。
報告は全て日本(北大)とロシアの共同研究の成果を報告するものだった。
10本の報告のうち、実に7本がロシア人研究者の報告だったが、彼らが口々に述べていたことが、日本側の招待に対して感謝の言葉であった。このことは断言できないが、共同研究とはいってもその費用の大半は日本側が負担していたのでは、と思ってしまったのだが、はたして真相は?
また、共同研究は早いもので1980年代から始まったようだが、広い範囲で本格的に始められたのは1990年代に入ってからということで、すでに20年以上経過している研究分野が多かった。
共同研究の意義としては、ロシア極東における自然現象の変化は日本、特に北海道に多大な影響を及ぼすという観点から始められたようだ。
研究はオホーツク海に注ぐ大河アムール川の水質の変化、オホーツク海を囲むカムチャッカ・千島・極東の火山活動と地震、極東陸域における自然現象etc.と多岐に及んだ。
印象に残った報告としては、近年になってアムール川流域の開発が進み、川の水質が変化してきていて、それがオホーツク海に生息する魚類に大きな影響を与えているとのことだった。特に鉄分の含有量が減少していることが憂慮されるという。
また、オホーツク海を囲むように火山噴火・地震が環を作るように発生している。特にカムチャッカの火山活動が活発化していて目が離せない状況であるという。火山活動の活発化は連鎖反応もおおいにあり得るので、監視体制を一層強める必要があるとした。
さらに、極東内陸地区においてはシベリアの特徴の一つである針葉樹林地帯(タイガ)の変化が報告された。タイガは永久凍土地帯に位置しているのだが、地球温暖化の影響によって凍土が融け湿地化が進んでいるという。湿地化することでタイガ樹林帯が枯死する危険にさらされているという。
こうした極東の一つ一つの自然現象の変化が日本にも大きな影響を及ぼすことは私が言うまでもないことである。広大な極東における調査・研究は大きな困難を伴うと想像されるが、ロシア・日本両国のために今後も研究を進め、環境の保全・維持、あるいは対策に科学者の立場から警鐘を鳴らしてほしいものである。
※ ここから以降は、私の受講記録のためなので目を通す必要はないとも思われます。
受講案内にはこう記されていた。
「本学は、我が国において、極東ロシアとの自然科学分野の協力活動で最も活発に取り組んでいます。本学のこれまでの取組みをカウンターパートのロシア人研究者や国内の関連研究者も交えて紹介するとともに、今後の協力のありかた、可能性を探るシンポジウムを開催します」
【日ロ学術シンポジウム「知られざる極東ロシア」全プログラム】
◆セッション1. 海洋・地球環境分野(10:00~11:50)
◇「北大との協力による低温海域研究の過去、現状、そして未来」
オレグ ソコロフ(極東海洋気象研究所副所長)
◇「アムール流域における最近の生態問題及び北大との研究協力の見通し」
ボリス ボロノフ(ロシア科学アカデミー極東本部 水・生態問題研究所長)
◇「氷河・火山・気候相互作用研究:カムチャツカ半島における北大との長期共同研究の成果からみる古気候・火山災害的意義」
ヤロスラフ ムラビヨフ(ロシア科学アカデミー極東支部 火山地震研究所
副所長)
◇「環オホーツク海地域の環境変動に関する日ロ共同研究」
江淵 直人(北海道大学 低温科学研究所 教授)
◆セッション2 カムチャツカ、千島、極東での地震火山研究(13:00~14:20)
◇「火山に関する日ロ共同研究」
エフゲニー ゴルディエフ(ロシア科学アカデミー極東支部
火山地震研究所長)
◇「ロシア極東における地震観測~連邦プロジェクトと国際協力
アレクセイ マロビチコ(ロシア科学アカデミー 地球物理調査所長)
◇「ロシア極東の地震火山研究~研究と防災~」
高橋 浩晃(北海道大学 地震火山観測センター 准教授)
◆セッション3 サハ地域のおける陸域環境モニタリング(14:30~16:00)
◇「ロシアにおける大学システムの改革と国際協力」
ワシリー ワシリエフ(北東連邦大学副学長)
◇「ロシア東シベリア永久凍土生態系の長期日ロ共同研究」
トロフィム マキシーモフ(ロシア科学アカデミー 寒冷圏生物学研究所
永久凍土生態系研究室長/北東連邦大学)
◇「サハにおける16年のフィールドワーク:共同研究とその成果」
杉本 敦子(北海道大学 大学院地球環境科学研究院 教授)
◆パネルディスカッション(16:10~17:50)
「極東・東シベリアにおける日ロ協力の展開のあり方~社会科学との融合や人材育成も日本の研究ハブ機能の構築に向けて~」
・ヴァレンチン セルギエンコ(ロシア科学アカデミー極東支部 総裁)
・ポリス ボロノフ(ロシア科学アカデミー 水・エコロジー問題研究所長)
・西村 可明(環日本海経済研究所 代表理事・所長)
・長野 裕子(文部科学省 科学技術・学術戦略官<国際担当>)
・行松 泰弘(北海道大学 創成研究機構 URAステーション長)
・白岩 孝行(北海道大学 低温科学研究所 准教授)
司会・田畑伸一郎(北海道大学 スラブ研究センター 教授)