田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

木質バイオマスは北海道の救世主となるか?

2013-11-29 23:46:23 | 講演・講義・フォーラム等
木質バイオマスが北海道において有力なエネルギー源であるとボリュームのある資料をもとに講師は説いた。短時間で全てを理解することは困難だったが、取り組み方によっては将来有力なエネルギー源となるらしいことが伝わってきた。 

 11月20日(水)午後、北海道立消費者センターで「くらしの教室」が開催された。すでに今年度に入って7回開催されているとのことだったが、私は初めての参加だった。
 7回目の今回は「自然エネルギーで地域を活性化! ~北海道で活きる『木質バイオマス』とは~」と題して、(株)自然エネルギー研究センターの大友詔雄氏が講義するのを聴いた。

          

 大友氏は実に78頁にもわたる資料を準備し、木質バイオマスの可能性についてさまざまな角度から語ってくれた。しかし正味90分間という短い時間の中で多くを語ろうとする大友氏の思いを受け止めるにはボリュームがあり過ぎた。私が理解できた範囲でのレポートとなることをお断りしておきたい。
 大友氏はまず木質バイオマスを利活用する意義について意義を次のように挙げた。
  ①新エネルギーとしての導入普及
  ②地球温暖化防止へ寄与するクリーンなエネルギー源
  ③循環型社会の構築を実現する再生可能エネルギー
  ④産業や雇用の創出・再生に貢献する新規エネルギー
  ⑤農山漁村の活性化
  ⑥防災対策用エネルギー
  ⑦地域内経済効果
 大友氏の話は特に②、③、④、⑦を多分に意識されているようなお話だった。

            

 話が複雑になるので、ここでは電力エネルギーからはちょっと離れて(大友氏は触れていたのだが)、熱エネルギーだけについて考えることする。
 現在北海道においては熱エネルギー(暖房)の大半を石油に依存している。
 この石油に依存している体質を、将来「木質バイオマス」燃料に転換していくべきではないのか、というのが大友氏の主張である。その意義は先にあげた7点において石油燃料より優れているからということだ。(もちろん欠点も有するとは思われるが)
 特に大友氏は⑦の地域内経済効果ということを強調されていたように思う。そのためには北海道に特有の豊富な森林を活用することだという。その活用策が「木質バイオハス」だというのだ。そうすると資金が外に流れることなく、域内を循環し経済効果を産むということだ。その例として、芦別市、足寄町、美幌町などの例を紹介された。

 問題は北海道全体の熱エネルギーを石油から木質バイオマスに転換した時、どれくらの木質バイオマスが必要か、という点である。木質バイオマスを燃料として使用する場合は、木質ペレットという固形燃料として使うのが有効とされている。
 その木質ペレットにもし転換したとしたら、北海道全体で約750万トンの量が必要と試算されている。(私の資料の読み取りが正しければ)
 それに対して、現在の生産量はわずか4千トン余りらしい。現在の施設をフル稼働させたとしてもおよそ1万9千トン余りと非常に小さい数字である。

 この数字だけ見てみると、木質バイオマスへの全量転換など夢のような話に思えてくる。しかし大友氏は木質バイオマス活用の先進国オーストリアの例をあげ「オーストリアで出来ることは北海道でも出来る」と主張する。オーストリアは北海道と面積が類似するが、全エネルギーの約10%を木質バイオマスから得ている。そのオーストリアに近付けというのだが…。

 木質バイオマスをはじめ、再生可能エネルギーを積極的に取り入れようとしているドイツではいろいろな混乱もあるように聞いている。
 北海道のエネルギー源を一挙に転換することは難しいだろうが、先に北大博物館土曜セミナーで受講した「木質バイオマスの総合利用とその今日的意義」の中でもそのポテンシャルの高さは十分認識することができた。
 問題はやはり経済性なのかな、というのが実感である。経済的に石油に太刀打ちできるようになるために関係者の更なる努力に期待したい。
(ちょっと他人行儀な結論となったところが辛いところである)