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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

全道初制覇!札幌大谷高サッカー部監督に聞く

2013-11-23 17:29:53 | 講演・講義・フォーラム等
 高校のスポーツ指導者像もずいぶん様変わりしたものだなぁ…、という思いを強くした講演だった。創部わずか6年目で群雄割拠の北海道の高校サッカー界を制した札幌大谷高校サッカー部監督の田部学氏は爽やかな好青年だった。 

                  

 この日11月16日(土)、私は北海学園大学の講座を受講したその足で、「エンジョイサッカーセミナー」が開催される新札幌の羊が丘病院へ向かった。夜の開催だったにもかかわらず、病院のホールはいっぱいの聴衆で溢れかえっていた。
 羊が丘病院は整形外科、特にスポーツ整形の世界ではかなり高名な病院らしい。理事長の倉秀治氏はサッカーJ1の柏レイソルのメディカルアドバイザーに就任しているということで、スポーツには大変関心の高い方のようだった。

 セミナーはまず倉秀治氏のスポーツ障害の現状とその治療実態についてお話だった。氏によると学校スポーツにおいて障害件数が多いのは、バスケットボール、サッカー、野球の順だということで、やはり高校生に人気のスポーツが上位を占めているとのことだった。
 氏は特に足・膝関節障害に関する専門家であるが、現代では治療方法が飛躍的に進歩し、回復度合いもとても早くなっているとのことだった。

 続いて登場した田部学氏は履歴を見ると39歳ということだったが、とても若々しくいかにもスポーツ青年!という印象だった。
 田部氏は小中高と北海道でサッカー少年として過ごし、筑波大体育専門学群に進学しサッカー部に所属しながらコーチング理論などを学んだという。
 大学院を経て、サッカーJ1のFC東京の育成部でコーチを務めていたところ、札幌大谷高校がサッカー部を創設することに伴い要請を受けて監督に就任したという。

          

 田部氏は言う。大谷高の監督要請を受けたのは「地元札幌に帰って、サッカーを通じてスポーツの価値を高めたい」との思いを強く持ったからということだ。また「北海道のサッカーを盛り上げたい」とも語った。

 さて、その札幌大谷高校サッカー部だが、2009年に部を創設した時は部員が11人で、初の公式戦は0 対 16で惨敗したそうだ。
 2010年になって公式戦に初勝利、2011年には初めて3学年全ての部員が揃い、その翌年の2012年には高校総体の予選で準優勝し、全国を経験している。
そして今年、正月に行われる全国高校選手権の北海道大会において見事優勝を飾った、というのが田部氏、そして札幌大谷高校サッカー部のざあっとした概観である。

 田部氏が心がける指導の重点は、「個を伸ばす!」、「個が伸びる環境づくり」を心がけているということだった。その中で何度も使ったのが〔内発的動機付け〕という言葉だった。
〔内発的動機づけ〕とは好奇心や関心によってもたらされる動機づけであり、賞罰に依存しない行動である。
 つまり田部氏はサッカー部員に対して、サッカーに対する好奇心や関心を高めるためにいつも配慮しているという。
 だから田部氏は、チームが強くなることも大切だが、その前に「個人がうまくなること・成長すること」が大切だと強調します。

 田部氏の考え方で特徴的だったのは、「対戦相手の戦力分析をするか?」という質問に対して、基本的には「相手のチームの分析はしない」と答えたことだった。チームの勝利を願うのであれば、対戦相手の分析は欠かせないはずであるが、田部氏はそれより「自分たちの良さを出すことを優先したいので、相手チームの分析はしない」と語った。

 創部わずか6年目にして全道制覇を達成するには語られない奥義のようなものもあるのかもしれないが、しかし指導の根幹はあくまでも「個」であると言う。「個」が伸びる環境を整え、「個」を伸ばすと…。

 “一人ひとりの顔が見えるサッカーを”
 “強く & 愛されるチーム”
がチームコンセプトだという。
 新しい考え方の指導者 田部監督に率いられた札幌大谷高校サッカー部の正月の高校サッカー選手権での活躍を期待したい。