ずいぶんともったいをつけたようなタイトル名であるが、私が付けたものではない。高校生の創作折り紙展の展覧会名である。一枚の折り紙から生み出される精巧な生き物たちに見入った。
※ 枯れ葉に佇むアマガエルといった図だろうか?枯れ葉の部分は一枚の手すき紙で作ったものです。
今朝(8月9日)の道新の札幌圏版に、「折り紙の生き物 これぞ芸術」という見出しで、次のような記事が載った。
※ 道新札幌圏版に載った記事です。
男子高校生3人の創作折り紙展「出会いと情熱と翼」が8日、札幌市中央区南11西23の手すき紙専門店「紙のめぐみ」で始まった。クワガタやカメ、サソリ、カエルなど、自ら考案した折り方で本物そっくりに仕上げた48点を紹介している。
3人は札幌東雲高3年の有沢悠河さん(17)、札幌旭ヶ丘高3年の野崎翼さん(17)、関口征宏さん(18)。野崎さんと関口さんは旭ヶ丘高美術部で活動。さらに、東京で行われた折り紙関連のイベントで有沢さんとも知り合い、「高校生活の思い出づくりに」と3人で初の作品展を開いた。
和紙など手すき紙を使い、中には半年ほどかけて複雑な折り方を考えた作品も。野崎さんは「折り紙は子どもの遊びと思われがちだが、芸術的な面を見てほしい」と話していた。
12日までの午前10時~午後5時。入場無料。
※ 手すき紙専門店「紙のめぐみ」のエントランスです。
記事を見て、「これは行かなくては!」と思った。
会場の手すき紙専門店「紙のめぐみ」は、古い住宅を改装した小さな家屋を再利用したものだった。展示スペースも8畳程度のところに、渋い色づかいをした生き物たちがテーブルの上に並べられていた。カエルが、クワガタが、カメが、精巧に折られて展示されていた。そしてそこには、作品を創作した3人の高校生もいた。
※ 作品の一つ、エゾシカの頭部分が壁に掲示されていまた。
カメの作品を見ていたときだった。制作をした高校生が近寄ってきて「これがこのカメの設計図です」と言いながら壁に貼られた紙片を指差した。そこには「ガラパゴスゾウガメ」と記され、複雑な展開図が描かれていた。
彼らに聞くと、完成した形を頭に描きながら展開図(設計図)を書くという。何度も試行錯誤を繰り返しながら完成を目ざしたそうだ。
※ 「ガラパゴスゾウガメ」の作品と展開図です。
ホッキョクグマの場合は、目の黒く見える部分も折り方で表現したということだた。また、直接は見えない足の裏の部分の凹凸も折り方で表現するという凝り方だった。凄い!
彼らのリーダー格(?)の野崎くんと話をすることができた。いろいろ話をした後、私は「美大を目ざすのですか?」と聞いたところ、「自分は理系ですから…」という。なるほど展開図を構想するのは理系的な要素が大きいのかもしれない。野崎くんは将来は折り紙の世界を柱にしながら学んでいきたいと話をしていた。それはつまり、設計図とか、展開図について学びを深めたいということなのだろう。
ちなみに、展覧会のタイトル「翼」は、リーダー格である野崎くんの名前と、彼らがこの折り紙という翼を得て、未来に向かって飛び立とうという意志を掛け合わせたものとおじさんは解したのだった…。
野崎くんだけでなく、他の二人も聡明な感じの高校生だった。
自らの得意分野を自覚し、そのことを徹底して追求しようとする姿勢に大きな共感を覚えた。
無責任な言い方に聞こえるかもしれないが、彼らの興味、資質が生かされる道に進んでいくことを期待したいと思った。