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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

分子系統学で北海道の自然を読み解く

2015-08-29 23:09:15 | 大学公開講座
 分子系統学という遺伝子の世界の話だ。ミクロの話に弱い私は懸命にメモを取り、一言も聞き漏らすまいと講師の話に耳を傾けたのだが…。 

 8月26日(水)夜、北大公開講座「北海道の野生生物:自然史と環境変化への応答」の第2回目の講座があった。この日は「小さな哺乳類が語る北海道の自然と進化」と題して、環境科学研究院の鈴木仁准教授が務めた。鈴木氏は小型哺乳類を研究対象として分子系統地理学の研究をされている方と人物紹介にある。

               
               ※ 鈴木仁准教授です。(氏のHPから)

 私が拙ブログで講座等の記録を記していることは、講座内容を私なりに理解できた部分を記録として残しておきたいとの思いから綴っているのだが、今回のミクロの世界の話は理解そのものがかなり怪しいものになってしまった。
 したがって、私自身が曲がりなりにも理解できた部分のみを記すことにする。

 まず前提となる、我々が住む「北海道」だが、そこは太古の昔は海の底だったという前提である。鈴木氏によると、北海道が地上に姿を現したのは200~80万年前だという。したがって、北海道に棲む人間をはじめとしたあらゆる哺乳類(他の動物も同様だが)は他から移入してきたものであるという。

 例えば、北海道固有の…、と呼ばれる種も他から移入してきたものが、長い時間をかけて徐々に北海道の環境に適応する種として形成されてきたものであるとのことだ。
 それを知ることができるのは、遺伝子(DNA)の塩基の配列の情報を解析することにあるそうだ。
 遺伝子の構造などの話は私には理解不能の部分だった。その遺伝子だが、遺伝子が親から子へ渡される際に、遺伝子の塩基の配列はほぼ忠実に複製され子に伝えられるのだが、時にとして遺伝子の配列の複製に違いが生じることがあるという。それを「突然変異」と呼んでいるとのことだ。その「突然変異」というのはどれくらいの確率で起こるかというと、ヒトの遺伝子の塩基は3億個と言われているそうだが、その中の30個くらいに変異が生ずるそうだ。それは私たちの形質に今すぐ変化を与えるような数字ではないらしい。

 そういえば、以前に聴いた講座(かでる講座)で、ヒトの性を決めるXとYの染色体の組み合わせに異常が生じている、といった話を聴いたことがある。このこともある意味で突然変異の一つなのかもしれない。

            
            ※ 鈴木氏の研究対象であるネズミですが、種を特定することはできません。(ペコリ)

 さて、その「突然変異」が長い時間かけて、幾世代もの間変異を続けているうちに別種、属種が誕生するということになるようだ。
 例えば、鈴木氏が研究対象としている小型哺乳類(ネズミ)を例にとると、もともとはヤチネズミの仲間だったものが、約120万年前に北海道に渡って世代交配を繰り返すうちに、本州のヤチネズミとは遺伝子配列の違うムクネズミが誕生したことが遺伝子解析で明らかになったという。さらに北海道において、そのムクネズミの仲間からも別種(属種)のエゾヤチネズミが約55万年前に誕生したことが分かるという。

 鈴木氏は言う。ネズミ類の遺伝子には、過去の環境変動の記録が刻まれていると…。環境に対応するためには突然変異が必要であると話された。

 私の理解はここまでである。
 鈴木氏の種の変遷の話は、数十万年単位という気の遠くなるような時間の中での変遷の話である。しかし、私たちヒトも含めて、遺伝子の複製過程で突然変異がたとえ微量といえども繰り返されているということは、私たち人類がもしこの後数十万年にわたって生存した場合、似ていて非なる隣人が存在するということになるのだろうか?
 いや、それはもう現存していると解釈すべきなのか?