映画「エヴェレスト 神々の山嶺」の魅力は圧倒的な存在感で迫るエヴェレストそのもの迫力ある映像であるが、それに負けず劣らず、主演の岡田准一、阿部寛の熱演に負うところが大きく、おおいに楽しめた!
この映画の公開を知ったときから山岳映画と知って「ぜひ見なくては!」と思っていた。公開当初の12日、13日の週末の混雑は避けて、3月16日(水)午後、ユナイテッドシネマ札幌に足を運んだ。映画は好調な出だしのようで、平日の午後にもかかわらずけっこうな観覧客が詰め掛けていた。
映画は作家・夢枕獏が著した「神々の山嶺(いただき)」が原作ということだが、そのスケールの大きさから「映像化不可能な小説№1」と云われ続けた作品だそうだ。
それを今回、実際のエヴェレストの標高5,200m級のところで実際のロケを敢行し、制作したということだ。
この映画において出色なのは、やはり阿部寛の演技であろう。謎の登山家・羽生丈二を演ずるのだが、今回の映画のようなドキュメンタリータッチで、シリアスな内容には彼はうってつけである。羽生の登山にかける異様な情熱の様を、彼の居丈高にも思える振る舞いが、そして彼の体躯が、見事にハマっているという感じだ。
対する岡田准一は、阿部に対してやや抑え気味とも思える演技で、彼の良さを出している。高山焼けの彼の引き締まった表情は、羽生を追うカメラマン役を見事に演じていた。
一方、演技派として名高い尾野真知子も羽生を慕う役として登場しているが、はたしてキャスティングとして彼女が必要だったのか、どうかは疑問が残る。 ストーリーに華を添える的な役割であれば、別に演技派の彼女でなくとも良かったのでは、と私には思えたのだが…。(彼女の良さを発揮できるような役柄ではなかった、という意味において)
ストーリーはフィクションなのだが、映画を観ているかぎりフィクションを観ているというよりは、ドキュメンタリーを観ているような錯覚に陥るほど、迫真の演技がこの映画を成功に導いたように思う。
ただ、映画レビューにおいて、この映画の評価は極端に2派に分かれるという。それは登山を経験しないものにとって、この映画は現実的ではなく、どこか演出過剰に映るらしい。
反対に賛美派である私たちから見ると、エンタメ映画として多少オーバーな演出は確かにあるが、それにも増してエヴェレストのような高山の過酷な登山の様子を二人の主役が非常に熱演していたと評価したいのである。
興味のある方は、ぜひご覧になって感想をお寄せいただければ幸いである。