健康とか、老化などについては、これまでもさまざまなところで講座を受講してきたこともあり、新たな知見を得ることは少なかったが、自らの健康、あるいは老化対策について改めて省みる機会をいただいた講座だった。
北大の全学企画の講座が今年も始まった。今年度のテーマは「いま感じる、生かす、スポーツの力」というもので全8回からなっている。これから週2回のペースでおよそ一ヵ月間受講することになる。その内容をできるだけレポしたいと思っている。
第1回目の7月1日(月)は、医学研究院の玉腰暁子教授が「身体運動と健康」と題して講義された。玉腰氏の専門は「疫学」ということだが、疫学の研究方法の一つとして「コホート研究」というのがあるそうだ。「コホート研究」とは、「特定の要因によってある症状が顕在化している集団と、顕在化していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較する」研究方法だそうだ。
そうした研究成果の一つとして、「危険因子に関連する非感染性疾患と外因子による死亡数」をまとめたところ、1位が喫煙、2位が高血圧、3位が運動不足、以下高血糖、塩分高摂取、アルコール摂取と続く結果となったという。
ここで玉腰氏は3位の「運動不足」に着目して、話を進められた。人間にとって適度な身体活動が高血圧、心疾患、糖尿病、各種がん(乳がん、結腸がん)、うつなどのリスクを低下させるという。このあたりのことは、これまでさまざまな医療講座で何度も聞いたことである。
そこで「適度な身体活動」とはということだが、玉腰氏は一番身近な身体活動として“歩く”ことに言及した。国民の健康推進運動として「健康日本21」が推奨されているが、第一次(2000~2012)と第二次(2013~2022)では、目標数値が違っていることを挙げられた。すなわち、第一次での目標数値は男性9,200歩、女性8,300歩だったものが、第二次では65歳までの男性9,000歩、女性8,500歩、65歳以上の男性7,000歩、女性6,000歩と改められた。このことから数値は数値として、個々人にとって適度な身体活動とは、「心地良さを感ずる活動」と云い改めても良いのかもしれない。
最後に玉腰氏は、目標数値に達していない現状に対して、一人一人が意識することは大切なことであるが、同時に住民が運動したくなるような環境づくりも大事な視点である、と指摘された。また、現代生活では座位の生活時間が長くなっていると指摘した。できるだけ立位の生活も取り入れていくことが健康のためには大切であることを指摘された。
日常の身体運動の大切さについては、前述したが何度も何度も聞かされてはいるのだが、なかなか実践できていないのが私の日常である。