田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画音楽と共に名作を振り返る

2019-07-10 18:57:19 | 講演・講義・フォーラム等

 北海道に映画館ができて、映画の上映が始まって122年が経つという。その間の映画館の変遷、そこで上映された名作の数々を音楽と共に振り返る講座は、講座の構成も巧みであったために興味深く拝聴することができた。

     

 

 本日(7月10日)午後、「ほっかいどう学」かでる講座の第4回講座が開講され受講した。第4回目の講座は「映画音楽で甦る 映画館と名作の風景~北海道に映画館が上陸し122年~」と題して、シネマエッセイストのたかやまじゅん(本名:松本昇)が務めた。

          

          ※ 講演をされるたかやまじゅん氏です。

 たかやま氏によると、日本に映画が上陸したのは1896(明治29)年に神戸に日本最初の映画館が開館したそうだが、北海道では翌年の1897(明治30)年に函館において道内第一号の映画館が開館し、今年で122年目だそうだ。当時の函館がいかに文化的に進んでいたかをうかがわせるエピソードである。

 その後、映画は庶民の娯楽として歓迎され雨後の筍のように映画館が林立していき、最盛期(1960年代)には道内に604館が存在し、その数は東京に次いで第二位の映画館数だったそうだ。北海道の場合、炭坑における従業員たちの大切な娯楽施設であったことから館数も多かったという。

 しかし、テレビの出現が映画を娯楽の王座から追いやられることになり、1980年代には157館まで激減したということだ。

 その後の講義は、まず日本映画の名作について映画音楽とともに振り返るという構成だった。取り上げられた映画は①「喜びも悲しみも幾年月」、②「君の名は」、③「夜霧世今夜も有難う」、そして加山雄三の「若大将シリーズ」の④「エレキの若大将」で歌われた「君といつまでも」が流れた。さらには⑤「フーテンの寅さん」シリーズのテーマ音楽と共に寅さん映画を振り返った。

     

     

      

 たかやま氏は相当な映画マニアであり、映画グッズの収集マニアのようだ。そうした中からマニアック(かな?)な言葉を一つ披露してくれた。それは日本の映画製作の黎明期に活躍した映画監督の牧野省三が映画製作のモットーとしていた「1.スジ、2.ヌケ、3.ドウサ」の三大原則を掲げ、その3つを重要視したという。その意味は、スジはシナリオのこと、ヌケは撮影・現像の技術のこと、ドウサは俳優の演技のことを指したそうだ。 

 話は洋画に移っていった。洋画も日本映画同様に全体を振り返りながら、時代を代表する名作を音楽と共に取り上げてエピソードなどを披露してくれた。取り上げた映画は①「第三の男」、②「カサブランカ」、③「シェーン」、④「太陽がいっぱい」、⑤「ベン・ハー」、⑥「エデンの東」、⑦「風と共に去りぬ」と取り上げた。

     

     

     

     

 そのエピソードの中で、石原裕次郎の代表作の一つ「夜霧よ今夜も有難う」は、洋画の「カサブランカ」を日本版に翻案したものだったそうだ。私は初耳だったが、事情通にとっては有名な話のようだ。

     

 ※ 左が「夜霧よ今夜も有難う」、右が「カサブランカ」であるが、その配役、構図がそっくりである、とたかやま氏は指摘した。

 たかやま氏はこうした話をポスターや写真をふんだんに使い、音源もオリジナルのものを集められて、2時間が短く感ずるほど多くの映画を取り上げ、たくさんのエピソードも披露してくれた。

 私は映画青年ではなかったが、取り上げられた映画のほとんどは何らかの形で一度は観た記憶のある映画だった。それだけにとても懐かしく、映画の良き時代を回顧することが出来た楽しいひと時だった。

 

※ 掲載した写真は、たかやま氏の顔写真を除いて、講演中に映し出されたスライドを写させてもらったものです。