スポーツ選手が膝関節に障害を抱えるという話はよく聞くが、スポーツ選手ばかりでなく一般人にとっても経年劣化による膝痛に悩む人は多い。(私もその一人)膝関節の障害の治療に取り組む講師のお話を聴いた。
※ 正常な膝の状態の左の方、に対して右の方は典型的な変形性膝関節症の方である。
北大の全学企画公開講座「いま感じる、生かす、スポーツの力」の第3回目が7月8日(月)夜開講された。第3回目は「膝関節のスポーツ障害」と題して、北大医学研究院の近藤英司特任教授が講師を務めた。
※ 講義をされる近藤英司特任教授です。
近藤教授は膝関節に関わる研究者であると同時に、整形外科医として臨床にも携わっている医師のようである。
近藤氏はまず、膝関節の治療に関して、最近は鏡視下手術が非常に発達している現状を話された。そして、半月板損傷、関節軟骨損傷、前十字及び後十字靭帯損傷の鏡視下手術の様子を動画で見せていただいた。実際の手術の様子を臨場感いっぱいに映し出される様子を見ることが出来た。
鏡視下手術が発達したことにより、痛みや入院期間が大きく減少し、患者の負担が小さくなった利点を強調された。実際に半月板損傷の患者が鏡視下手術の後、歩いて手術室を出ていく様子には驚かされた。(場合によっては、入院の必要もないという)
※ 写真左から正常な膝関節、中は変形性膝関節症の初期症状、右は重度の膝関節です。
さて、私にとっての関心事は「変形性膝関節症」である。膝関節症は激しい運動の繰り返しによっても引き返されるとされるが、それよりはむしろ経年劣化、つまり老人に多い症状といわれている。「変形性膝関節症」の場合、重度の場合には人工関節への置換など鏡視下手術などではなく、膝関節を開いて置換する手術が必要な場合もある。しかし、軽度の場合には薬物療法(消炎鎮痛剤、骨そしょう症治療剤、ヒアルロン酸注射)や、理学療法(温熱、電気療法、筋力訓練、装具療法)があるという。私の場合は、現在筋力訓練を毎日心がけることで快方に向かっているようだ。
※ 変形性膝関節症は女性に多い病気だということです。
ここでも人口関節への置換手術の様子が動画で紹介されたが、あまりにも生々しく素人にはなかなか正視するのが大変な様子が映し出された。
お話が少し専門的過ぎて、私には理解できないところが多々あったが、医学の分野は日進月歩の世界である。スポーツ選手の障害ばかりでなく、私たち老人にとってはいろいろな部位が障害を抱えることが多くなってくるが、医学の進歩がそれをカバーしてくれているようだ。また、単なる障害を除去するだけではなく、障害を生じないようにケアする予防医学も発達してきている。そのことがスポーツ選手の活躍年数が長くなってきた一因のようである。
近藤特任教授が強調されたことがあった、それは市販のヒアルロン酸系の錠剤の効果は疑わしい。ヒアルロン酸は注射でなければ効かないということを2度おっしゃったことが印象的だった。