田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

五木寛之 しなやかな心で

2011-03-11 13:46:16 | 講演・講義・フォーラム等
 五木寛之はいう「前向きに生きるとともに、後ろを振り返ることも必要」だと…。また、「嘆くこと、悲しむことも必要で、それは喜ぶことと等価値をもつもの」なのだと…。五木氏はしなやかな心で生きよ、と説いた。


 「自殺予防講演会」…、3月5日(土)市民ホールにおいてちょっと耳慣れない講演会があった。
 講演会の趣旨に興味があったわけではない。講師が五木寛之氏と知り、彼への興味から応募して会場に赴いたというわけである。

                            

 五木氏の講演の前に自殺に関する現状についての説明があった。日本国内では毎年3万人以上、札幌市内でも年々増えて平成20年には477人を数えたそうだ。交通事故死をはるかに上回る大変な数字である。無関心だった私に現状の深刻さを突き付けられた思いだった。

 五木氏は「いまを生きる力」と題されての講演だった。
 五木氏は戦後の日本社会を次のように読み解くという。
 戦後の日本の流れを登山に例えると、戦後50年は山を登る時代だった。その後10年の空白の期間を経て、今は山を降りる時代であると…。
 また、次のようにも例えた。戦後の50年は「躁の時代」だったが、現在は「鬱の時代」に入っていると…。
 氏は直接口にはしなかったが、「鬱の時代」に入り自殺者が急増していると言いたかったに違いない。社会の混乱期には自殺者が増えるとも説いた。 

        
        
 なぜ社会が混乱しているのか?
 五木氏は、日本は戦後(正しくは明治維新以降)欧米の価値観を必死に取り入れようとしてきた。その価値観とはルネサンス期に発するヒューマニズムの考え方である。その人間中心主義とも解されるヒューマニズムの考え方が今崩れつつあるという。
 環境問題が私たちの前に大きく立ちはだかってきた今、人間中心主義の考え方では解決できないことが数多く現出してきたと五木氏は指摘する。
 自然界の万物には全てに命があり、私たち人間は生きるためにそれら他の命をいただいているという価値観の転換を図らねばならないと…。(この世はけっして人間中心の世ではないのだと…)
 そしてこうした混乱の時代がまだまだしばらく続くと五木氏は言います。

        

 それではそうした混乱の時代、冬の時代を生きていくには何が必要かというと、「プラス思考だけではだめで、マイナス志向も大切である」と五木氏は言います。
 喜び、笑い、歓声だけでなく、悲しみ、嘆き、悩むことも大切にしたいと…。
 前向きに生きるとともに、時には後ろを振り返ることも大切である。
 人生などというものは、そこそこの苦であると考えると心が軽くなるではないか。
 固い心は壊れやすい、しなやかな心を持ちたい。
 吸う息より、吐く息を大切にしたい。ため息をたくさんするのが良い。
 私もこのステージを降りたら、大きなため息をするだろう、といいながら講演を終えた。

札幌Cafe紀行 №59 コーヒーハウス「デリカップ」

2011-03-10 10:37:42 | 札幌Cafe紀行
 レンガ色の床、それに合わせるように深みのある色合いのテーブルと椅子、店内には絶えずオールディズが流れる中、デリカップ自慢の深煎りのコーヒーを味わいました。

        
        ※ コーヒーハウス「デリカップ」の扉のないエントランスです。

 地下鉄「札幌」駅直結の札幌国際ビルの地下2階にある「デリカップ」も雑誌「O.ton」に紹介されていた一店です。
 地下にある店だからだろうか、扉のないエントランスから店内に入ると、ちょっと小ぶりテーブルがずらりと並んでいます。どちらかというと二人用の席が大部分を占めています。
 私はこのとき友人2人と訪れたので、4人用の席を探して座りました。

        
        ※ 場所柄だろうか、ごらんのような二人席が大部分でした。

 ケーキ好きの友人が一緒だったので、私もチョコアイスワッフルとコーヒー(セットで650円)をオーダーしました。
 甘いチョコアイスワッフルと深みのあるコーヒーがよくマッチしていました。

        
        ※ 「チョコアイスワッフル」甘辛両刀づかいの私は満足でした。

 「O.ton」にオールディズがかかりっぱなし、というので期待して行ったのですが、確かにオールディズは流れていたのですが注意しないと気付かない程度の音量です。
 カフェ(喫茶店)で流れる音楽はあくまでもバックミュージックとして流されているのだから仕方がないのかもしれません。
 それでもオールディズ好きの私としてはもう少し楽しみたい気持ちもありました。

        
        ※ 灰皿に描かれた絵柄はこの店のマークだろうか?

 地の利を得たコーヒーハウス「デリカップ」は多くビジネスマンに愛される一店のようでした。
 
【コーヒーハウス「デリカップ」 データ】
札幌市中央区北4条西4丁目 札幌国際ビルB2F
電  話 011-271-2429
営業時間 8:00~20:00
(土曜9:00~19:00 日・祝日10:00~19:00)
定休日  不定休
座  席 40席(?)
駐車場  なし
入店日  ‘11/02/26

映画 41 ヒアアフター

2011-03-09 12:24:35 | 映画観賞・感想

 映画を観終えたとき、クリント・イーストウッド映画の「硫黄島からの手紙」や「インビクタス/負けざる者たち」のような感動が私の中に起こってこなかった…。それが何故なのか、少し考えてみた。

            

 3月3日(木)、スケジュールが空いていたのでユナイテッドシネマでクリント・イーストウッド監督の「ヒアアフター」を観た。
 観終えてすでに一週間が経とうとしているのにその感想が書けずにいた。
 なぜ書けなかったのか…。

 理由の一つは、死後の世界について描いた映画だったからかも知れない。人生の黄昏期に入っている私だが、まだまだそのテーマには関心を寄せるには至ってない。
 理由の二つ目は、映画を観るにあたって何の予備知識も持たずに観たのだが、最初の津波のシーンの衝撃が強すぎて、その後のストーリーになかなか入っていけなかったことがある。それほど最初の津波のシーンは衝撃的な映像だった。
 理由の三つ目としては、やはり題材がフィクションであったということだろうか。「硫黄島からの手紙」や「インビクタス」は事実を題材にしたものであった。私の中でフィクションにはどうしても感情移入できないところがあるようなのだ。

 映画の主題は、まったく関係のない三人が、まったく違ったところで死に直面する出来事に出会うのだが、その三人が運命に導かれるようにして出会い、生きることの素晴らしさを見出すというものである。
 クリント・イーストウッド監督はオフィシャルサイトの中で「死後の世界があるかどうか、真実は誰にも分からない。ただ、人は誰も与えられた人生を精一杯生きるべきだと、僕は常に信じている」と述べている。

 ウェブ上での評判は私の感想とは違って、なかなか良いようである。
 ということは、私の映画の観かたがまだまだ甘く、一方的な観かたであることを示しているのかもしれない。
 しかしそれは、私が今のところ死後の世界に興味がなく、生きている素晴らしさを実感する日々を送っているからこそ、映画からメッセージを受け取る必要もなかったから、とも言えるかもしれない。

 「ヒアアフター」とは、「来世」という意味のようであるが、直訳すると「これから後」とも訳すことができる。
 「これから後 = 未来」、まだまだ“未来”を見て生きていきたいものである。


宇宙飛行士・山崎直子 in 札幌

2011-03-08 12:33:07 | 講演・講義・フォーラム等
 いかにも聡明、いかにも謙虚、宇宙飛行士・山崎直子さんはJAXA(宇宙航空研究開発機構)の広報ウーマンとして宇宙の体験を、宇宙の未来を明るい表情で語った。

        
        ※ 北大学術交流会館前に立てられたフォーラムの案内看板

 イベント名は「JAXAきぼう利用フォーラム 札幌セミナー2011 北海道が拓く「きぼう」のNEXT STAGE」という長い名前だったが、これだけではどのようなイベントの内容なのか想像できる方は少ないのではないだろうか。
 少し説明すると、国際宇宙ステーション(ISS)には有人実験施設「きぼう」という日本の実験棟が取り付けられている。
 この実験施設「きぼう」を有効活用する道を探ることと、そのことをPRすることが今回のフォーラムのねらいだった。

 3月4日(金)、北大学術交流会館で行われたフォーラムは、JAXA職員による「きぼう」利用の現状と課題、伊藤忠先端技術戦略研究所長の基調講演、山崎直子氏の特別講演、そして山崎氏を含めた識者5名によるパルディスカッションと多岐にわたったが、フォーラムの隠れ(?)テーマが「宇宙の食文化に北海道が貢献できないか」というものであった。したがって、各氏の発言も『食』に関わる発言が相次いだ。
 ここでは山崎氏の発言を主としてレポートすることにする。

        
        ※ 講演をする山崎直子氏です。

◇宇宙で利用される食品はHACCP(米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理方式 9ヶ月の安全性の確保)の基準をクリアしたものでなければならない。
◇宇宙食も当初とは違い、研究・開発が進んで今や約300種ものメニューがある。
◇ISSにはギャリーが備えられていて、水やお湯を加えるなどの簡単な調理ができるようになっている。
◇ISSの宇宙飛行士を招いての「寿司パーティー」はとても好評だった。
◇宇宙食が地上で応用されることも大切である。例えば、チリ鉱山事故では日本の宇宙食が地底に送られ役立った。 等など…。

        
        ※ 山崎氏がISSに滞在したときの宇宙飛行士たちです。

 パネルディスカッションの質疑応答では、山崎氏に質問が集中したが、山崎氏はその一つひとつに対して丁寧に答えていった。その中から一つ、二つ…。
◇宇宙船内は意外に“臭い”が気になった。食事を摂ることで発生する臭いが抜けきらないようだ。
◇宇宙船内は機器類でいっぱいである。快適な空間を追求する必要がありそうだ。

        
        ※ パネルディスカッションの様子です。右端が山崎氏です。

 他のパネラーからは、「北海道の食材は世界一」、「北海道の水は世界的」、「北海道の食戦略の一環として宇宙食の開発を!」といった意見が相次いだ。
 北海道の経済を語るとき、北海道の農業を語るとき、いつも言われることは「素材は一級なのだが…」という言葉である。
 こうした現状からの一日も早い脱却が望まれるのだが…。

 「北海道の食材で宇宙食の開発を!」とは、ある意味格好のテーマではないだろうか。山崎直子さんもその応援団になってくれそうである。

鈴木北大名誉教授 ノーベル賞受賞記念講演会

2011-03-07 14:40:31 | 講演・講義・フォーラム等
 予想外だった。テレビの画面から伝わる鈴木名誉教授の印象は謹厳な研究者という印象だった。きっとお話の内容も硬い内容に違いない。そう思い込んでいたのだが、聴衆を意識してか平易な言葉で、時にはユーモアを交え楽しく語ってくれた。

          
          ※ 鈴木教授の講演会を伝えるパンフレットです。            

 同じくノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏から遅れること約2カ月、北海道民にとってはこちらが主役の鈴木章北大名誉教授のお話をとうとう伺うことができた。
 2月28日(月)、札幌市民ホールでノーベル賞受賞記念の市民講演会が開催されたのだ。

 その時の様子については、昨6日(日)の北海道新聞に大きく2頁にわたって詳しく紹介されているので二番煎じは避けて私の印象をレポートすることに留めたい。

        
        ※ 講師が登場する前のステージです。

 まず、鈴木氏は80歳という高齢にもかかわらず立ったままで話されたのには驚かされた。またその立ち姿が美しく、言葉も明晰であったことも印象的だった。おそらく日常の体調管理をしっかりされていること、意識を高く保つことによって、このようなことも可能になるということを教えられた思いがした。

 また、意外にユーモアのある方だと思えたことは直接お話を伺うことによって知りえた一面だった。
 例えば、講演後に鈴木氏は本物のノーベル賞メダルを手に持って披露されました。レプリカも2個作成してもらったとのことでしたが、(その1個が北大博物館に展示されている)スウェーデンではメダルを象ったチョコレートが販売されていて購入したのですが「これはまずいですよ」と言って聴衆を笑わせるなど、話の随所で笑いを誘っていた。

 そして今なお学術論文に目を通し、時には学会へも出席されたり、講演をされたりとエネルギッシュに生きられている姿には教えられるところがあった。

          
          ※ ノーベル賞メダルの公開展示を伝えるパンフレットです。

 講演は「今日は化学の話はできるだけしないように心がける」としながら、ご自身の来し方を話されたが、才能に恵まれた人が相当な努力と精進の末に発見された「鈴木カップリング」について淡々と話されたところに、やはり凡人とは違う一面を見た思いだった。
 私たち凡人にとって鈴木氏の話はどこか雲の上の人の話のように聞こえたが、これから人生を切り開こうとしている学生や若い人たちには多くの示唆と刺激を与えてくれた一夜だったに違いない。
 

斉藤佑樹投手 見参!

2011-03-06 19:58:31 | スポーツ & スポーツ観戦
 日ハム斉藤佑樹投手が登板すると聞いて、2年ぶりプロ野球観戦に出かけた。斉藤佑樹、対ジャイアンツ、日曜日、三つの要素が効を奏したのか、オープン戦なのに満員に近い観衆がドームに詰めかけた。

        
        ※ 大観衆が待っていた斉藤投手は6回裏から登場しました。
 
 「見参」という言葉を使った。
 私は「見るために参った」という意味でこれまで使用してきたが、ちょっと不安になって調べてみた。すると、正式には「けんざん」ではなく「げんざん」と読むようである。
 そして意味は、①「目上の者に対面すること」、②「目下の者にお会いなること」ということのようだ。斉藤投手が目上か、目下か、それはどうでも良い。意味としては間違っていないようである。

 今年の春のプロ野球は「斉藤現象」とも言えるような様相を呈しているのではないだろうか。その斉藤投手が北海道日本ハム球団所属の選手であるということが愉快ではないか。
 トレンドウォッチャー(?)の私としてはぜひともその現象をこの目で見たい。(単なるミーハーということなのだが…)そんな思いから妻を誘い、本日観戦してきた。

 開場時間の午前11時に合わせて出かけたのだが、すでに長蛇の列ができていて入場までに30分以上を要した。
 私たちの席はアウェー側(ジャイアンツ側)の内野席だったが、ほぼ満員の状態だった。

        
        ※ 入場前の長蛇の列は延々と続き、入場入口は遥か向こうです。

 試合は開幕が近づいていることもあって、一線級の投手が次々と登場したためか両チームとも打線が湿りがちで、1点を争う展開になった。
 ウルフ(4回)、植村(1回)に続いて、6回からお待ちかねの斉藤佑樹投手が登場した。
 それまで比較的静かだった場内が大きな歓声に包まれ、斉藤投手が登場した。
 その歓声の中で斉藤投手はジャイアンツの重量打線を相手に堂々のピッチングを披露した。6回から8回までの3イニングを小笠原選手の1安打だけに押さえて零封した。
 そして日ハム打線が8回裏にこの日唯一の得点をしたことによって、斉藤投手が勝利投手まで転がり込んだ。
(翌朝新聞で確認すると、斉藤投手はもう一安打されていたことが判りました)

        
        ※ 人気球団ジャイアンツです。オレンジの一団が目立っていました。

 斉藤投手は今や時の人だけに、いろいろな評論家がその可能性について論及しているが、その人気の凄さもあってか曖昧な論が多いようにも思う。それは彼のフォームにも、ボールそのものにも特別の凄さが感じられないからだろう。
 ただ、これまで今日も含めて3度のオープン戦での投球機会をいずれも落ち着いた投球で無失点で切り抜けていることは特筆に価することではないだろうか。
 彼が自ら言うように、凄さは感じられなくとも投手としての総合力が優れているからのように思える。

        
        ※ 日ハム応援団も負けてはいません。金子選手の打席の時
         にはご覧のように青い応援ボードが目立ちます。

 今シーズンは齊藤投手がクレーバーな投球によって日ハムを勝利に導いてくれると期待しているのだか…。果たしてその数がどれくらいになるであろうか?

        
        ※ ドームからの帰路もご覧のような 混雑具合です。

NPOの人 東田秀美

2011-03-05 17:46:43 | 講演・講義・フォーラム等
 藻岩山の麓にその優美な姿をたたえる旧小熊邸(ロイズ珈琲館)。その旧小熊邸の保存をめぐる市民活動の中核を担った東田(とうだ)氏が淡々と語る保存にまつわる話は感動的ですらあった。

 昨年、「札幌軟石発掘大作戦」に関わった関係から、NPO法人「札幌建築観賞会」の研修会と位置付けられていた東田氏の講演会に参加した。
 2月27日(日)、札幌市資料館で開催された講演会は「歴史的建物の調査と保存~再生・活用をめぐる舞台裏~」と題して東田秀美氏を講師として開催された。

            

 詳しくは承知していないが、東田氏はNPO法人「旧小熊邸倶楽部」代表、市民活動施設「アウ・クル」運営委員など多くのNPO活動に関わり、いまや札幌のみではなく全道的にNPO活動など市民活動を支援する立場で活躍されている方である。(「札幌建築鑑賞会」にも一会員として参加しているそうである)
 私が知る限り、北海道のNPO活動をリードしている中核の一人であることは間違いないと思われる。

 その東田氏が札幌市にとって文化的価値が高かった旧小熊邸が取り壊されるとのニュースを耳にして、保存を求めて立ち上がり、賛同者を集い、協力者を探し、理解を求めて行政・企業へ要請するという精力的な活動の結果、現在のような形として保存されるにいたった経過を話された。

        
        ※ 無事に藻岩山の麓に再生・保存がなった「旧小熊邸」です。

 東田氏自身は建築の知識もなければ、保存の方法にも熟知しているわけではなかった。ただ札幌の価値ある建物をなんとか残したいという一念で各方面を駆け回ったそうだ。
 東田氏の熱意は多くの賛同を呼び、保存・移築のためには1億円以上の資金が必要だったそうだが、それも行政・企業の理解を得ることができたそうである。

 こう書くと簡単にコトが進んだように聞こえるかもしれないが、古い建物を忠実に再現するには新築するのとは違った多くの壁があったそうである。
 例えば飾りガラス(ステンドグラスのようなもの)の大きな窓を再現するために専門家に図面を引いてもらい、それをもとにガラス職人に製作を依頼するなど、一つひとつの再現に非常な時間と、人手を必用としたということだった。

        
        ※ 困難な取り組みの様子を明るく語ってくれた東田氏です。

 そんなとても困難な仕事をやり通した東田氏だが、そうした経過を楽しんだがごとく明るく語る姿が印象的だった。
 そして彼女は語る。「旧小熊邸のケースは多くの賛同と理解が得られて幸運だった。保存運動はその後も続けているが、中には保存に至らなかったケースも数多くある」と…。しかし、「これからもあきらめることなく、貴重な建物の保存のためにコーディネーター役を果たしていきたい」と彼女は明るく語った。
 そして今、彼女はこれまでの経験を生かして北海道内に広がる保存運動などに相談役としてはせ参じアドバイスを送っているという。

 東田氏のこうした姿勢は間違いなく多くのNPO活動を志す人たちに大きな影響を与えていることと思う。今後、第二、第三の東田氏が誕生してくる予感がする。

札幌Cafe紀行 №58 喫茶「東」

2011-03-04 19:47:05 | 札幌Cafe紀行
 これといって特徴の感じられない喫茶店だが、そこになんともいえない居心地の良さを感じされてくれたビル街の喫茶店でした。

        
        ※ 地下2階にある喫茶「東」のエントランスです。

 このところ雑誌「O.ton」で紹介されたちょっとレトロだけれど根強い人気のある喫茶店を意識的に訪れている。今回の喫茶「東」もそのような一店である。

 喫茶「東」は地下鉄大通駅に直結した地下街にある。地下鉄コンコースの中では最も東側に位置するビルの中の一店である。同じフロアに他に2つのカフェがあり、競争も激しそうである。
 しかし、喫茶「東」はリード文でも記したとおり、特別の特徴は感じられない、ちょっぴり昔風の喫茶店だった。しかし、それがサラリーマンなどからは根強い支持を得ているという。その秘密は?

 何といっても、特別飾り立てないシンプルな造りがかえってお客に安心感を抱かせ、喫茶店本来の憩いの場、癒しの場になっているようである。
 オヤジ3人組で訪れた私たちもそんな雰囲気の中で寛ぐことができた。

        
        ※ ご覧のようにちょっと前の喫茶店といった雰囲気です。

 私たちはケーキセット(チーズケーキ&ブレンドコーヒー 650円)をオーダーした。
 ケーキもコーヒーも、お店の造りと同様に特別の特徴は感じられなかったが、安定感のある味が出ているという印象だった。
そして、このお店の売りの一つではないか思うのですが、コーヒーと一緒に生クリームが出された。ふだんクリームを使わない私ですが、嬉しくなってたくさん生クリームを入れたコーヒーを味わった。

        
        ※ 私がオーダーしたコーヒーとチーズケーキです。

        
        ※ コーヒーには氷で冷やした生クリームが付いてきました。

 ちなみに店名にある“東”とは「東は太陽の昇る方角。どんなに景気が悪くても陽はまた昇る」という思いから約40年前の開店時に付けられたもの。今も昔もサラリーマンに愛される一軒だ、と雑誌「O.ton」に出ていた。

【喫茶 東(あずま) データ】
札幌市中央区大通西1丁目 第2有楽ビルB2F
電  話 011-241-7741
営業時間 7:30~21:00(日曜9:00~18:00)
定休日  月末日曜日
座  席 22席
駐車場  なし
入店日  ‘11/02/19

林心平 × エゾホトケドジョウの人

2011-03-03 14:54:57 | 札幌学 & ほっかいどう学
 林心平氏の「北海道 動物の人対談シリーズ」の第5弾である。ゲストの桑原禎知氏は林氏の大学の先輩であるという。そんな間柄から林氏の容赦のない突っ込みが対談を和やかにし、桑原氏の活動を浮かび上がらせてくれた。 

 エゾホトケドジョウ…、一般人にはほとんど関心も持たれていない水棲の小さな生き物を追い続けているというマニアックな人、桑原氏が今回のゲストであった。
 桑原氏の紹介が場を和ませた。二人で相談のうえ考え出したのが「学術用途に耐えうる写真を撮っている人」が桑原氏であると林氏から紹介があった。

 今回の対談はこれまでとは違い、時間いっぱい二人が対談する形で進められた。
 対談の内容は大きくいって二つの話題が提供された。
 一つは、桑原氏の研究対象である「エゾホトケドジョウ」のことについて、もう一つは、生き物(特に水棲説物)を撮影する苦心談についてであった。

        
        ※ エゾホトケドジョウを語る桑原禎知氏です。

 桑原氏が「なぜエゾホトケドジョウにはまったのか」ということについては、エゾホトケドジョウが夜行性のうえ、きわめて撮影が困難なために、それまで研究対象となっていなかったことが大きかったようだ。
 それにしてもエゾホトケドジョウなどは何の役にも立たない雑魚である。だから誰からも注目もされていない生き物である。そんな生き物を20年以上にもわたり追いかけている桑原氏に、林氏は「なぜそんな生き物を一生懸命追いかけているのか」と問うと、彼は「面白いし、楽しい。見続けることはぜいたくな時間を過ごしていると感じている」と話す。う~ん。やはりマニアックな人だ。

 20数年エゾホトケドジョウを見続けることによって、さまざまな生態を明らかにしてきたが、特に謎とされていた産卵期の生態を解明したということだ。
 そうした観察活動の中で、生態を記録に残すために写真撮影には苦労し、いろいろと工夫を重ねたらしい。

 水深10cmほどの水中のエゾホトケドジョウを撮影することは素人が考える以上に難しいようだ。カメラを工夫し、ドジョウの通り道を予測し、じーっと辛抱強くカメラの前を通過するのを待つという。
 自作の水中カメラを実際に見せてくれた。今やその機材を改造する技術も専門家並みらしい。

        
        ※ 自作の水中撮影用のカメラを手にした桑原氏です。

 話を聞いていて、その辛抱強さ、観察力、機材を工夫する技術等々…、大変な努力をされていることを知ることができた。
 しかし、桑原氏はそんな苦労を聞いている者に苦労と感じさせない明るさがあった。

 桑原氏のような存在が自然の中にある不思議を一つ一つ解明していってくれるのだと改めて思わせてくれた土曜日の夜だった。

        
        ※ 桑原氏から話を引き出すナビゲーターの林心平氏です。

神々のやどる森

2011-03-02 12:10:02 | 講演・講義・フォーラム等
 日本人は「自然」を生命・豊穣・繁栄をもたらす世界と捉え、自然の様々な現象の中に霊性や霊威を感じ取り、自然を敬ってきた民族であると講師である北海道神宮権宮司の井澤正裕氏は聴衆に説いた。

            

 2011年は国際森林年だそうである。そのことを記念して各種団体が連携・協力して2月26日(土)、かでる2・7ホールで「森林フォーラム & コンサート」が開催され参加してきた。

 イベントの全体構成は、神山慶子さん(ボーカリスト)のコンサート、井澤正裕氏の基調講演、関係識者5名によるパネルディスカッション、そして斉藤かすみさんのオカリナ演奏という構成であった。

 ここでは「神々のやどる森」と題して基調講演をされた井澤氏の講演について、私には少々重荷であるがレポートを試みることにする。

        
 
 私たちの日本(という言い方には臆するものがあるが…)は、日本神話の中にあるようにイザナギとイザナミの尊によって天地が開闢(かいびゃく)された。それから日本の国が生成される過程における自然との関わりについてもその中で神話的に綴られている。

 私たち日本人は、万物を産み育むのが自然であり、そこから永遠の相(無限創造の思想)を学び、清らかさを尊び、邪(よこしま)の心・穢(きたない)心を嫌い、「正直」・「清浄」を重んじる生活心情を培ってきた、と井澤氏は説いた。
 この部分を聞いていて、私は映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」と共通するものを感じていた。
 井澤氏は言及しなかったが、私たち日本人の中にはこうした精神性を有するDNAが確かに息付いているのだということを言いたかったのだと私は解釈した。

 そしてまた、日本人は神を唯一絶対神とは捉えず、姿ある神ではなく霊性(神威・神徳)の中にあると捉えようとしてきたということだ。その霊性が依り憑く対象が樹木の深く茂った場所や秀麗な山々などであるとした。

 最後に井澤氏は「経済合理主義的な考え方に固執することを止め、日本人本来の感性に立ち返り、大いなる自然に生かされている自分を感じ取る必要がある」と結んだ。
 
 ふ~っ、苦労しながらここまでまとめてみたが、あるいは解釈違いがあるかもしれない。その場で聞きメモするだけではとてもここまでまとめることはできなかった。救いは井澤氏があらかじめ講演要旨を参加者に配布していただいたことによって、それを参考にしながらここまで私なりにまとめることができた。

 私は今の日本にこうした日本人の中に連綿と息づく精神性について、大いに知っていただく機会を増やしてほしいと思う。ただし関係者にはできるだけ平易な言葉で語りかける必用があるとも思う。関係機関・団体の発信力に期待したい。

 この井澤氏の講演の前に聴いた神山慶子さんが歌った「Come Back Forest」、「Imajine」などのパワフルな歌声が印象深かった。

        

※ 原因の良く分からない体調不良により「冬の豊平川を遡る」が未完成になっていました。
なんとかやり遂げたく、再起のために病院を訪れたのですが良く分からずにいましたが、過日その病名が判明しました。
 大したものではないのですが、その病気の誘因がどうやら激しいスノーシューのようだったのです。そのため向こう一ヶ月間激しい運動を止められてしまいました。
 う~ん、とても残念ですが 今冬のスノーシューはあきらめようと思います。宿題を来冬まで持ち越すことにします。
 定山渓に到達することを期待されていたkwさん(?)ごめんなさいね。