スバルのディーラーさんより「WRX STI 4doorのMTの試乗車がありますよ!」との連絡を受け、私と尾車氏は嬉々としてそこに向かった。試乗車の税込車両本体価格は、373万8000円である。
非常に大仰なリヤスポイラーを持つこのクルマだが、それは後方視界の妨げにはなっていない。むしろパーキング時には、後端確認の目印になって具合がいい。
レッドイルミネーションの自発光式メーターが鮮やかだ。オドメーターは、なんとまだ1桁!ほとんどおろしたての新車である。そんなクルマに試乗させていただけるなんて、なんと素晴らしいのでしょう。
まごうかたなき、6速マニュアルトランスミッション。ストロークも短く、カチカチとよく決まる。クラッチペダルはそう重いこともなく、発進時の繋がりもごくスムーズ。エンジンの排気音はそれなりに耳に響いてくるが、不快な振動の類は皆無。吹け上がりも爽快で、やはりスバルのフラットフォーは気持ちのいいエンジンだ。
SI-DRIVEは常に「S♯」にして走行させていただいた。速いクルマなのだが、その挙動はあくまでジェントルかつスムーズ。「DCCDスイッチ」については、私のような素人ドライバーには使い方がよく分からなかったので、「AUTOモード」オンリーの走行でした。
245/40R18のポテンザを履くせいか、ロードノイズはやや高め。だが、そんなことを気にして乗るクルマではない。
なんといっても素晴らしいのが、このクルマのステアリングを握ると、まるで自分のクルマであるかのように、意のままにドライビングできることである。この「人車一体感」は、なかなか卓越したものだ。
スペック上は308ps/43.0kg・mとモンスターのようなクルマだが、発進時にも気難しいところは皆無で、車両感覚の摑みやすさと相まって、十分街乗りに使える。このフレンドリーさは大いに魅力的で、ウチの妻でも日常の足として使えるだろう。
いやあ、いいクルマだった。問題は、その価格と燃費が、我が家の経済状況からは、やや手が届きにくいところか。
そして、カタログを眺めていて気づいたのだが、そこには「インプレッサ」の文字がまったく見当たらなかった。「WRX STIは、インプレッサとは別なクルマなのだ」という、スバルからのメッセージがそこに隠されているのだろう。