『TUGUMI(中公文庫)(電子版)』
親父(吉本隆明)の本は、七面倒くさいなあと思いつつ昔読んだ記憶があるが、たぶん、ばななの書いたのは初めてではないか?なんで読み始めたんだろう?たぶん、どこかで本書の主人公のつぐみの生き方が書いてあったからだと思うのだが。舞台が西伊豆の港町ということなので、なんとなくその風景が本書を読み進めるうちに浮かんできて面白かった。
つぐみはきっと著者自身だなと思いながら読んでいたので、あとがきであっさりと書かれていたから、なんだ、となった。著者は突っ張り続けたつぐみを内包しつつ更に成長していって創作活動ができたんだなと思う。本書は『キッチン』の次に書かれているのだけれど、おそらく、自身を振り返ってさらにジャンプしていったんだろう。作中主人公は遺書めいた手紙を書き残している。