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『三丁目の夕日』が描く学校

2006年12月11日 | 雑記帳
 時代遅れといおうか、一般視聴者なみといおうか
あの『ALWAYS 三丁目の夕日』をテレビで視た。

 いろいろな目のつけ所があっておもしろかったが
職業上、関心がむくのは「学校」の描かれ方。

 この映画で、学校がでてくるシーンは一つ。

 鈴木家の息子一平が夏休みのある日、昼寝?をしていて
家族が「登校日」であることを思い出す。
急いで、学校へ駆けつけるが
教室に教師は居ずに、みんなみんな思い思い過ごしている。
あまりうるさかったのか、入ってきた女教師が
机に向かって書きものをしている淳之介を指差し
「淳之介くんを見習いなさい」
と叱って去ってしまう場面である。

 一平が学校へ向かうシーンに出た
当時流行っただろう?洋風建築の校舎。
 板張りの粗末な教室、二人がけのごつごつした机等々
住む場所は違えども、結構共通している点がある。
 それよりも何も、黒板に大きく書かれた「自習」の二文字である。

 結局、『三丁目の夕日』では、学校はこう描かれている。

夏休みにわざわざ登校日を設定したが、
課題も与えず「自習」とし
何をやっていてもかまわないが、
静かに座学をしてうるさくしないことがりっぱである
という学校
(しかし、子どもたちはそんなことお構いなしだ)

 見事に権威が働き、しかもやり過ごされている時代
とでも言えばいいのだろうか。

 当時、夏休みであれば学校に教師が揃う日など少なかったろうし
きっとその時間帯は「打ち合わせ」でもしてたんだろうか。
 それにしても「子どもたちが集う場」としての躍動感はあった。
ただ、同じことを平成の格好で描けば、
まちがいなく「学級崩壊」の教室場面である。

 安倍首相の著書に、この『三丁目の夕日』が取り上げられているという。

 「美しい国」の学校は、姿だけを見ればあまり変わっていないか…。
 変わったのは見方であり、人の心持ちである。