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からだを動かしながら、言葉を探る

2006年12月28日 | 雑記帳
 「今、注目している実践家は?」
と上條晴夫先生に尋ねられたときに、
岩下修先生の名前を出したら、取材時の様子を教えてくださった。

 授業づくりネットワーク誌の1月号は、その岩下氏へのインタビューを中心に構成された巻頭論文である。

 上條先生が語られた強く印象付けられた場面が、まとめの部分にこう記されてあった。


 子どもたちに表現する際の言葉についてお聞きした時のことである。岩下氏はすっと立ち上がって、教室の前に出た。そして、まるでそこに子どもたちがいるかのように語りかけ始めた。先程までとはまったく違う表情だった。
 からだを動かしながら言葉を探っていた。
 ぞくぞくっとした。

 岩下氏のこの行為をどうとらえるか。
 表面的には、「教授行為の再現」を身体運動を含めて提示していると言えるのだが
「からだを動かしながら言葉を探っていた」という意味は
そこにもっと深い意味を見つけることができる。

 身体の動きによって言葉を呼び起こすという行為は、かなり役者に近いようなイメージである。
 さらには、スポーツの超一流アスリートが、独特の言語でプレーの瞬間を表現することにもつながるような気がする。

 目の前の子どもの反応を自分の全体で受け止めて
身体の動きを作り出し、言葉をのせていくという姿が思い浮かぶ。

 「表現の授業」に没頭していく中で、培われる教師自身の「からだ」なのかもしれない。

 文章だけでは物足りない、実際に目にしたいという思いが一層強くなった。