すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

プレゼントしたいのは…

2006年12月22日 | 教育ノート
五味太郎さんが、息子さんにクリスマスプレゼントの話をしたら
息子さんにこういわれたそうだ。
「あのさ、クリスマスって、ぼくのなんなの。」
このひどくまともな一言が気にいって、PTAの挨拶でも紹介してみた。
その時のことを取り掛かりにしながら、時節絡みのことを書いてみた。

---------------

 PTAの全体会の時、絵本作家五味太郎さんの著書を引用し「クリスマス」のことをお話しました。自分自身もそうだったなあと反省ながら、いわば商業主義に染められた年中行事のあり方を見つめ直したいと思ったのです。
 ただ振り回されるだけでなく、行事や催しにどんな意味があるのか、折々に話してやることも、子どもたちには「世の中」を知るいい手がかりになっていくのではないでしょうか。

 昨年の映画賞を総なめした『ALWAYS 三丁目の夕日』が、先月テレビで放送されていました。
 あの映画にもクリスマスにまつわるいいシーンがあります。主人公茶川と同居する淳之介という少年に、万年筆がプレゼントされるところです。不幸な生い立ちに育った淳之介の喜ぶ笑顔がなんとも言われません。
 茶川に依頼されサンタの恰好をした医師が、役目を終え居酒屋で「今日は楽しかった」とつぶやく場面にも心打たれます。空襲で妻子を亡くした医師にとって、誰かに夢を与える場こそ喜びだったのでしょう。
 それは茶川にしても同じであり、愛情を注ぐことに目覚めた彼がそこにいました。

 考えてみればクリスマスであれ正月であれ、「プレゼント」はもらえる方の喜びだけでなく、与える方の喜びがあって成り立つものだなあと改めて感じます。
 人はそうした場を常に求めており、それが様々な活動を生み出し、経済にも大きく影響しているのかもしれません。そして現在はあまりに拡大化し、形式化してしまいがちで、心の部分が見えにくくなっていると言えるでしょう。

 英語のpresentには「贈り物」の他に、「心に残る」という意味もあるようです。
 モノやお金ではなく、本当にこの子らにとって心に残ることを、今年一年、この二学期、プレゼントできただろうか…
 そんなふうにふりかえりながら、そしてまた来る年の希望を暖めながら、残った数日間を過ごしていきたいものです。
(12/22)