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編集の失敗を重ねていくしか

2007年04月28日 | 読書
 藤原和博氏の『人間関係』(ちくま文庫)を読んだ。

 いつもながら読みやすく、それでいて独自の視点が明確に出されており一気に読みぬける内容だ。
 氏ならではの表現が、随所にちりばめられている。
 今回のテーマに関わることでは、次のような句が印象に残った。

 プラス・モードの話よりも、マイナス・モードの話のほうが人間関係を深めることができる

 あなたと相手との「エネルギー回路」がいちどつながってしまえば、人間関係は容易に崩れない

 だいじなのは、相手と共通の土俵で「たとえ話」をすること


 一般社会、企業社会を例にとった話なのだが、これらは全て教室の関係、つまり「子どもと教師」にも適応できることがわかる。
 こうした関係のつなぎ方をしていることは、子どもたちが自らそうした力を高めていくための大切な支えになるはずである。
 教師の人間関係力こそ鍵になる…やはり、そう言えそうだ。

 ところで、藤原氏が以前から主張している「情報処理力」と「情報編集力」のことがこの本にも出てくる。
 下記の文もどこかで読んだ気がする。

 私の感覚では、「情報処理力」対「情報編集力」の学習比は、小学校で9対1、中学校で7~8対2~3、高校で5対5くらいが適切だと考えます

 現実はどうなんだろうなと改めて思う。
 私の知る狭い範囲内では、藤原氏の考えとはずいぶんかけ離れた現実があるように思う。
 手前味噌的に言えば、小学校はまだいい。問題はそれ以降だろう。情報編集力に力を入れた授業…たしかに近いものを見たこともあるのだが、その頻度は多くない。
 それはなぜか。社会の現実と学校の現実のずれを、また考えさせてくれることになる。

 情報編集力の必要性について教師がどれほど考えているか…自分も含めて、自信のないところだ。そういったレベルでは相手と共通の土俵で「たとえ話」もできない。
 とすると、そういった点の情報処理についても劣っているのではないか。
 突き詰めていけば、もっと研修を、という話になるのだろう。
 しかし、それは免許制がどうのこうのという問題ではない。
 全国の学力検査の話題も、大枠の中で考えていかないと、振り回されるばかりである。
 その影響で不幸になっていくのは、子どもたちなのである。

 と、何だかずいぶん膨らみすぎてしまった。編集の失敗です。