すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

ダ・カーポはもうないのですか

2007年12月19日 | 読書
 かなりの雑誌好きを自称しているが、その中でも愛読していたのは『ダ・カーポ』である。様々な分野の話題があるのがいいし、本についての情報も豊富だ、何よりB5版というのが持ちやすい(風呂場でもトイレでも)。

 購読を始めてかなりの年数になるが、とうとう。
 そう、とうとう休刊である。実質、廃刊ということだろう。
 隔週刊で620号というから二十五年以上は続いたわけで、このご時世では偉いというべきか。

 雑誌好きは、特集よりも連載に惹かれることが多いと思うが、ダ・カーポで好きだったのは、昨年まで続いた「日記」だ。大崎善生、常盤新平、坪内祐三の三人のつれづれは実に楽しみであった。
 自分が書けない日記に、いやそう過ごせない日記的日常に惹かれたのかな。

 少し以前の連載だが、ドリアン助川による「自分相談」という巻末のコーナーも愛読した。
 この人の書く文章の切れ味と諧謔性には、到底叶わないと思わされた。
 その後、私の手に取る雑誌にはあまり登場しなくなったドリアン(今は、TETSUYAでしたったけ)
 はどこへ行ってしまったのか…。
 ネットで探したら、ホームページを見つけた。
 さすがである。

 ちょいと真面目なところでは、「メディア時評」も、勉強になった。
政治や世間の有様を決して表面だけでは見ない鋭い突っ込みには、なるほどと思わされることも多かった。
 齋藤貴男はその執筆者の一人であるが、編集部は意識して最終号の「ジャーナリスト入門」に取り上げたか。さもありなん。ダ・カーポの向ける社会への目は、明らかにこの齋藤氏に近い部分が多かったと思う。

 この仕事は強いものに逆らってナンボ。間違っても弱いものいじめはしない。

 それはともかく、現在連載している金田一一穂の「ことばのことばっかし」も愛読していた一つである。言葉もダ・カーポの大きなテーマであった。金田一氏も最終号にこの雑誌への思いを語っている。
 うんうん頷きながら、最後の連載を読んだ。

 このくらいの手軽さで、このくらいの質を維持することは、とても難しいのかもしれない。いやな時代になってきたように思う。