すぷりんぐぶろぐ

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確かに『くだらない法律集』だ

2007年12月28日 | 読書
 作家の椎名誠が薦めていた『世界一くだらない法律集』(デビット・クロンビー)を読んでみた。

 確かに、笑える。
 帯に載っているものだけで想像がつくだろう。
 これらが法律として実際にあると言うのである。

 風に向かって鼻くそを飛ばしてはいけない(アメリカ・アラバマ州)

 おかっぱ頭の教師を昇進させてはいけない(アメリカ。アーカンソー州)

 バスに乗っているときに眠ってはいけない(イギリス・ロンドン)


 真偽を疑いたくなる文言だらけである。
 理由や経過などはいっさい付記されていない。
 しかし、実際に存在するのだろう。アメリカ諸州の法律が中心になっていることや、合間に収録されている「法律にまつわるジョーク集」を読むとそう思えてくる。

 「アメリカは訴訟社会」という言葉を聞いたことがある。
 このジョーク集に書かれている大半が、弁護士を揶揄、愚弄している事実からも想像できることだ。
 従って、ここに書かれてあるトンデモナイと思われる法律も、結局「それに絡む訴訟が、何かあった」→「今後の裁判のために、立法化しておく」という経過をたどったのではないか、と予想されるのである。

 それにしても、である。

 燃えている建物の中で食事をしてはいけない(シカゴ)

 こんな状況までが、(きっと)訴訟のネタになるアメリカっていう国は、いったいなんだと思えてくる。

 それと同時に、きっと言葉の範囲、解釈の難しさも伴うのだろうな、と想像をめぐらしてみる。
 つまり「燃えている」状態とは?「建物」とは何か?「食事」の種類は?などのように…。
 こうして言葉を操る人間が訴訟を勝ち抜いていく。弁護士はその象徴的な職業だということがわかる。

 途中から全然笑えなくなり、滅入ってくるような本だった。
 ジョークを解さない日本人だと笑いたけりゃ笑え。