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真剣に「語る」教師

2008年01月27日 | 雑記帳
 「語る」ということを考えていて頭に浮かんだテレビ番組の話題を。

 正月二日だったろうか、BSである海外ドラマが放送されていた。
 「先生はあきらめない~ロン・クラーク物語」という題名だったので、ああ、あの全米最優秀教師(ディズニー社が主催だそうです)のお話かと思い興味を持って見た。実話がもとになっているとはいえ脚色もあるだろうから、そのあたりは少し割り引きだが、なるほどと思わされるところがいくつかあった。

 まずは、やはり米国は「点数社会」だなあということ。テストの点数によって子どもも教師も評価が定まっていくことが露骨にわかる内容だった。ニューヨークの貧困層の住む地域にある教育困難校における成果が認められたのは、とりもなおさず「点数」であった。しかしそれは当然ながら「点数を上げようとする子」に育てることであり、状況を想像するにかなりの出来事だと考えられる。
 
 指導方法など詳しく描かれたわけではないが、全体を通して感じたのが「語る」ことの重要性だった。もちろん類まれな行動力があればこそであるが、言葉で納得させていくことがいかに大切か、何度か強調されているように感じた。それが、ベストセラー「あたりまえだけど、とても大切なこと」(草思社)に結びついたのだろう。

 さて、エピソードとして興味深かったのは、試験が迫ってきた大事な時期に肺炎にかかった主人公が教室で倒れ、それでもなお授業をしようと内容を自宅でビデオ撮りをし、そのビデオを教室で子供達が見る場面。
 説明や指示を出している途中でビデオの中のクラーク先生が、「ガムを出して」とか「今の質問は…」など、さも教室で話しているときのようにふるまい、それを見て子供達は「なぜ、わかるの?」とびっくりする。フィクション性が強い場面だが、似たようなことはあっただろう。
 授業のシュミレーション能力は教師の力量そのものだと強く感じさせられた。