すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

見返しの文章に惹かれて

2008年01月29日 | 読書
 『日本の行く道』というタイトルを見ると、人は「これからの日本の行く道を教えてくれる教科書のようなものだ」と考えるでしょう。そして人は「教科書のような顔をした本」を求めます。なぜなら「教科書ならよっかかれる。だから安心だ」と思うからです。しかしこの安心は生きるための選択肢を狭めることです――

『日本の行く道」(橋本治著 集英社新書)

 表紙カバーの見返しにある文章に、こんなに心惹かれたことがあったろうか。
 筆者が書いたものか編集者の筆によるものかわからないが、この本の意識がずばりと言い表されているのだろう。

 つまり「安定した知識」など通用しない世の中になっている、ということ。
 何かによりかかろうとする心は制限された道しか示さない、ということ。
 ひどく重要なテーゼを述べていると思う。

 書評家の永江朗は次のように書いている。

 橋本治は一貫して、ものごとについて考えるプロセスを読者に提示する思想家であり続けた
「波」(新潮社1月号)

 著書はほんのわずかしか読んでいないけれど、その高名は知っているし、おそらく現代における屈指の思想家の一人と言っていいのだと思う。

 その示された考え方を私が理解できるか、理解してどういうパラダイムを作りえるのか、つまりよりかからずに「自分の行く道」を作っていくことになるのか、ちょっと楽しみに、ゆっくりこの新書を読んでみようと思っている。