すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

足元の見つめ方

2009年09月15日 | 読書
 仙台の大型書店を2店まわって十分に立ち読みをしながら、10冊ほど買い込んできた。読書の秋全開、私的「秋の教育書まつり」状態か。苦笑。

 その中の一冊『校長の品格』(豊田ひさき著 黎明書房)に、かの宮崎駿監督が最近書いた文章の紹介があった。

 五百万人の子供に映画を送るよりも、三人の子供を喜ばせた方がいい。経済的活動は伴わないけれど、それが本当は真実だと思います。
 
 日本が世界に誇る才能であってもこんなことを思うのか、と考えてしまう。
 自分の創作や活動がどんなに評価、賞賛されようと、それは自ら直接的に関わる人を幸せにすることには及ばない…いや「自分の半径五メートル以内のこと」をきちんとしていることが出発点であり、創造の源なのだという意識だと思う。

 「足元を見よ」はよくある警句ではあるが、その瞬間だけは目がいってもまた周囲の甘言や雑音に振り回されるのが、私の常だった。
 自然体で教育の仕事を全うしていきたいと思っていても、どこか不自然な姿勢でなかったろうかと反省させられる。それを閉塞的な状況、混迷する政治的介入などのせいにしてはいけない。
 
 著者が大正時代の自由教育の好例として挙げた三国小学校の文章が実に心強い。
 
 制度の中にありて制度を離れ制度を離れんとして制度に入っている
 
 公教育の仕事における足元を見つめるとは、そういうことではないか。