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桜と絵本と豆乳と

ひなびたリズムで語れと言われても

2012年01月24日 | 雑記帳
 今学期はしばらく出前していなかった紙芝居を、いつくかの学級でやりたいと考えていた。
 降雪が再び本格的になってきた今日を,スタートにしようと朝に決める。

 手持ちの新美南吉と宮沢賢治のシリーズから、『手袋を買いに』と『雪わたり』を出し、下読みをする。対象は3年生だ。図書室にある本も紹介しながら進めようと思った。

 さて、『雪わたり』を読み始めて、下欄にある「演出ノート」に次のような一言があり、ひっかかってしまった。

 ひなびたリズムで

 本文ではこの部分の下にある。
 「かた雪かんこ しみ雪しんこ/四郎とかん子は、小さな雪ぐつをはいて、/キック キック キック/野原にでました」
 冒頭にあるので,この部分だけでなく、全体を通しての「演出」なのかもしれない。

 「ひなびた」はわかるが、「ひなびたリズム」とはどんなイメージなのか。

 検索してみたら、「ひなびた」と「リズム」がくっついている例はほとんどなく、わずかにAmazonのあるクラシックCDの説明に「鄙びたリズム」とあるだけだった。

 (略)1番のレントラーの鄙びたリズムにはいかにもウィーンらしい味わいがある。

 この解説は、ある分野の専門的知識がないと分からないことの証明のような気がする。
 しかし、そんなに頻繁に使われる表現でないことだけは、はっきりした。

 おそらく「都会的・洗練されている」と対比される「牧歌的・泥臭い」ということなのだろう。
 『雪わたり』の世界はまさしくそうだろうとは思うが、では具体的に「ひなびたリズム」とはどんなふうに表現するのだろうか。

 思いつくまま挙げてみる。

・音の長短という面では、長い方が主になる。
・強弱という面では、どちらかといえば弱いか。強くなるのは特定のときか。
・速度は遅いほうが主で、また一定しない面もある。
・軽快さではなく、重くモッタリとしたイメージ。しかし重厚とは少し違う。
・アクセントは個々の言葉でも違うが、語尾の方に持っていく場合が多い。
・濁音を混じらせて、訛りに近くしていく


 もちろん、実際に読んでみればこれらの原則?と異なる箇所もあるが、まずまずポイントをとらえていると言っていいだろう。

 ただ,どうもこの「ひなびたリズム」という表現は、読む場面では今一つしっくりこないなあと思う。
 音楽の場合だと,そんなに違和感は持たないのはどうしたことだろう。

 「都」と「鄙」を、異質ととらえるか落差ととらえるか、言葉と音楽では違いがあるのではないだろうか。そんな仮説がわいてくる。