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鳥瞰は図に示されるからこそ

2013年06月16日 | 雑記帳
 修学旅行の引率で訪れた博物館で行われていた特別展示が面白かった。

 美しき東北の街並み  鳥のまなざし~吉田初三郎の世界~
 http://www.thm.pref.miyagi.jp/exhibition/detail.php?data_id=477

 よく目にする鳥瞰図ではあるが,一挙にいろいろな図に接する機会がなかったので,興味深く覗き込んだ。
 吉田初三郎という名前も初めて聞いたし,こうした地歴的なことに詳しいわけではない。こういういわばまったく素人をも惹きつけてしまう力が,この展示(鳥瞰図という方法が大きいだろうが)にはあったように感じる。

 吉田の手法は「ランドマーク的なものを目立たせる」とあった。他の製作者たちにもそれぞれ何かしらの手立てがあったのかもしれない。
 そんなことをつらつら思っていたら,この鳥瞰図を実際に描くときにどんなことに気をとめていくのだろう,原則はあるのだろうか,とまたいつものように頭の中で指を折っていくような感じになった。


 まず,鳥瞰と鳥瞰図は違うということ。
 つまり,実際に空中から見た景色そのものが描かれているわけではない。
 視点は定まっていても,実際に見えていないはずの部分も描き込まれている。それが図としてのわかりやすさになっている。

 実際に鳥瞰図で最初に決めていくポイントは,線路,道路,川…というところだろう。これらが,どんなふうに街を取り囲んでいるかをアウトラインとして示す。直線的,そして環状的なラインを作る。
 それからランドマーク的なポイントを置いていくことになろうか。


 これはやはりデザインなんだなと思う。
 となると,様々な計画づくりと共通するし,学べることも多い。
 大事な要素がみんな詰まっている。

 鳥瞰を図に表す時に,一視点のみではいけない。
 鳥なのだから動いて見た事物も,その位置にあることをしっかり示さねばならない。

 そして,何が基準になるのか,全体を取り巻いているものは何かを見定めて輪郭を示さねばならない。そして重点となるポイントが置かれる。

 さらにこの東北各地を描いた鳥瞰図の多くに,隣市や仙台,東京,北海道などが遠くにぽつんと,しかし確実に示されていたように,何にどこにつながっているのかも明らかにしておくことだ。

 そして何より,鳥瞰は図に示されるからこそ人を惹きつける。