すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

かるうく読んで,かるうくメモ

2013年06月03日 | 読書
 『「また,必ず会おう」と誰もが言った。』(喜多川泰 サンマーク出版)

 物語とはなっているが,小説とは言い難い。なぜなら悪人が登場しないから…なんて,至極単純な理由づけをしてみた。主人公の出会いが全て善人であるのは,いかにもサンマーク出版?らしい。穿った見方をしている自分もいるが,そういうふうに世界は出来ていると信ずることもまた,大きな才能なのだと思った。


 『天才は10歳までにつくられる』(横峯吉文 ゴルフダイジェスト社)

 数年前にテレビなどで取り上げられたことを思い出す。興味が惹かれたのは「ヨコミネ式95音」という文字学習。漢数字の「一」から始めるのはある意味論理に適っているかもしれない。読みとの関連は書かれていないが,検討するに値する。また薩摩の「郷中教育」の思想もなるほどだった。考えさせられる。


 『おれはやらない お前もやるな』(あゆかわのぼる イズミヤ出版)

 著者は,見方によっては我が県の一言居士のような存在でもあろうが,建設的な意見も少なくない。つい先日,遠足の引率でこの方の出演した公開生放送を見たばかりだ。地元を拠点にして発信し続けていることに敬意を表する。しかし同時に「地元文化人」ならではの「活動」は沈滞化しているのではないだろうか。


 『心に愛 唇に毒』(内館牧子 秋田魁新報社)

 地元紙に月2回連載しているエッセーの文庫化。震災前までの凡そ4年分で,大方は「地盤沈下」の著しい本県への叱咤,注文,激励などである。有名作家ともあって影響力は大きい。愛情も感じる。全体を通して本県の活性化した状態とはいかなる姿かを考えさせられる。読者は当事者性を持ち得ることができるか。