すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

雪道を行く、師匠の言葉

2019年12月01日 | 教育ノート
 昨日は花巻の野口塾へ。前夜からの雪は残っていたが、秋田道は県境の峠を越えたあたりから、通常の道路状況だった。山脈を境にがらりと空が変わるこの季節を改めて痛感する。心が少しだらけてきたときは、野口芳宏先生の話を聞くことが何よりの薬になる。幼子抱擁と同様、発する気に触れると元気づけられる。


 研修会はまず模擬授業が4名。それぞれが個性的な進め方をしながら、学習用語をきちんと押さえている点はこの会ならではの骨幹が見える。お昼前の神部秀一先生の音読・朗読講座は楽しかった。喉の調子を崩されて苦しそうだったが、その理論と実演は見事だった。「自分の読み方」を変えさせられた時間となった。


 午後からは発問道場の実技篇と理論篇。題材は「ごんぎつね」である。今回の参加者について特筆すべきは、新任3年目までの方が十数人いたことである。先生はその方々を指名し、作った問いを黒板に書かせた。私のようなリピーターには実に愉快な(笑)時間となった。と同時に「問いに正対する」意味を改めて考えた。


 最後は「本音・実感の道徳授業」の講座。ここはまさしく野口節全快の一時間だった。先生のお話の特徴の一つに「造語」がある。印象付ける効果がてきめんで、参加者が今まで耳にしたことのない熟語等をズバリと語る。従ってメモせざるを得なくなる。今回は「良師良問」と「善行快感」の二つ。意味も明快だ。


 自主性、主体性、自発性等、教育界で尊重される美辞麗句を取り上げて、疑義を呈した。そしてキーワードとも言うべき「多様性」を、安易に初等教育で扱うことを批判、そのうえでこう語られた。「子どもは『真面目』の塊りでいいんじゃないか」。教師が「流行」にとらわれていると、心の体幹は強くできないと悟る。