すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

単一乾電池で折り目をつけながら

2020年06月20日 | 雑記帳
 今年は図書館のリーフレットを作りたいと考えていた。思い出してみると、2月頃から大枠を考えていて3月半ばにはほぼ原案が固まっていた。しかし、それから閉館やら事業延期やらが続き、せっかく構想したデザインが浸食されていくような状況だったので、心が萎えそこからなかなか手を付けられずいたのだ。


 ようやく通常に近い形で動きだし、新事業であるワークショップ計画が決まったところで、そう言えばそろそろと、もう一度見直し自前印刷で間に合わせる簡易版のような形で仕上げることにした。まあ利用の手引きに加え館の方針や目標などを記しただけだ。ただ、少しは特徴的なこともと思い表紙は編笠姿にした。



 もう一つ、A4の三つ折りという小さい版だがその一面を使って、元館長であった田口恭雄先生の言葉を入れた。実はこの部分を探すことにはやや時間を掛けた。図書館そのものか、文化全般に関する何かいい惹句はないだろうかと、数多い詩集をめくってみた。その結果、「あじさい」という詩にある次の一節とした。

 人間はにんげんの いきることと生きかわることについて考えます

 その詩のなかに、何度か出てくるフレーズなのたが、表記が変わっていたり余白が違っていたりして、統一されていない。おそらく作為的にそうしたのだろう。単純な言葉遣いではあるけれど、過去・現在・未来にわたって私たちがなすべきことを「いきる」と「生きかわる」という語に込めた思いが伝わってくる。


 むろん解釈の仕方は様々だろう。これを見て一瞬でも考えを巡らしてもらえば、それでいい。活字媒体を収めている図書館の役割を象徴しているとも言えよう。さて今後の変更予定もあり、とりあえず80部厚紙で印刷。折込の手作業に入る。ふと思い出し単一乾電池を使って仕上げる。ああ懐かしい。これは昭和以来か。