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桜と絵本と豆乳と

缶詰話~そこに詰まっている想い

2020年07月19日 | 雑記帳
 『サライ』の特集の巻頭原稿は、かの小泉武夫氏が書いている。日本の食文化のトップランナーの一人だ。小さい頃からの缶詰好きのエピソードが綿々と綴られていた。缶太郎というあだ名で呼ばれた高校生の頃、帰宅が遅い時に食べたカレー缶の話など、食の博士を作り上げた缶詰の存在はずいぶんと大きいようだ。


 個別な違いはあるにせよ、六十代以上だったら缶詰に関わる記憶は結構持っているのではないか。小さい頃はミカンや桃の缶詰は貴重だったなあ、病気になるのが待ち遠しい(笑)時もあった。食卓にあがる魚系では、もちろん一つは鯖缶だ。水煮、味噌煮あまり今と変わらない。違いが大きいのは「クジラ」の缶詰だ。


 隣が魚屋だったせいではないと思うが、自分にとって一番ポピュラーな味だ。ゼラチン質に肉が合わさった部分は、舌がその感覚を覚えている。それが今ではこんなに高価になってしまい…。学生時代の自炊でお世話になったのはツナ缶、それにサンマの蒲焼。熱々のご飯に乗せてわしわし食べる感覚、もう戻れない。


 サライでは「日本上陸150年 いつの世も缶詰が日本人の食を支えてきた」とタイトルコピーをつけた。そこまでとは思うが、これからの時代「保存食」そして災害時の「救荒食」としての位置づけは益々大きい。ノミや斧、缶切りなどが無くとも開けられるし、今は実に多様な種類が商品化され、店先に並んでいる。



 自称「たべびと」としては色々試してみたい。なんせあの名店『分とく山』の野崎総料理長も缶詰の可能性を評価し、レシピを公開しているほどだから。初めての種類は試食をしてみよう。ちなみに一番身近な缶詰は、毎年春に夫婦で採ったタケノコを業者で加工するものだ。思うと、それには思い出も詰まっている。