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コントが教える辞典の遊び方

2021年06月03日 | 雑記帳
 今クールのお気に入りドラマ『コントが始まる』。毎回、主演3人のコント場面から始まる。今回は、無人島に流された3人が「無人島に一つだけ持っていくもの」を巡って展開する話だ。そのうちの一人が「国語辞典」を持ってきたことにより、非常時の状況を捉えず、交わされる語の解釈を読んだりして笑いを誘う。



 「無人島に一つだけ持っていくもの」ではなく「」だったら、自分も広辞苑か大型辞書だと若い頃から考えていた。だから、このコントにはシンパシーを感じてしまった。私たちが心で思い発する語について、普通に使っている語であっても、どんな意味なのか、どうつながる語なのか、知ることはとても楽しい。


 何度となく書いたが、電子辞書愛好者でもある。しかし紙辞書の魅力が消えうせたわけではない。今朝、たまたま読んでいた新書『知の仕事術』(池澤夏樹)にも、著者が紹介していたある書評の文章のなかに、こんな一節がある。「断っておくけれど、辞書なんてひくものじゃない、読んで遊ぶものだよ」(冨山太佳夫)


 この頃あまり辞書遊びをしていないなあ。思いつきで「遊ぶ」を引くと、まさに無人島へ持っていく絶好の物であることが、広辞苑に載っている。なんせ、冒頭にある「遊ぶ」の語義は「日常的な生活から心身を開放し、別天地に身をゆだねる意」である。本一冊に様々な可能性を秘める辞典ぐらい格好のものはない。


 遊び方を超えた辞典の面白さをこのドラマは語る。コントの台詞に出てくる「分かるの次の語は別れ」や、主人公の春斗と理穂子が話す場面では「辞典で『深酒』の前に何が載っているかわかるか」と問いかけ、それがは『不可抗力』であると、先夜の二人の出来事を語順で解説してみせる。この脚本家、なかなか凄いぜ。